「生理の貧困」支援広がる、学校や商業施設が無償提供

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 経済的な理由で生理用品を十分に購入できない女性を支える動きが広がっている。新型コロナウイルスの感染拡大による家計の困窮を背景に、「生理の貧困」問題として目が向くようになった。支援する団体は、理解の促進や、継続的な取り組みの必要性を訴えている。(樋口絢香)

食材に加え

 生活苦で食材の支援を受けている茨城県土浦市の女子大学生(24)の元には、今年から生理用品も届けられるようになった。「今月は生理用品を買わなくていいと思うと、ありがたい」。大学生はそう話す。

 大学生は進学を機に、一人暮らしを始めた。今年の年明け、体調不良から卒業試験がうまくいかず、学生生活を続けている。実家は美容室を営むが、コロナ禍で経営は落ち込み、頼るのは心苦しかった。毎月のアパートの家賃と生活費計7万5000円をスーパーのアルバイトでまかなう。

 生活費を切り詰める上で負担になったのが生理用品だった。毎月の出費は生理用品と生理痛を抑える薬代で月2000円弱だが、「トイレットペーパーで代用したこともある。支援がなければ、生活はもっと苦しくなったと思う」と話す。

 生理に関する啓発活動に取り組む若者らのグループ「#みんなの生理」が今年2~5月、高校生や大学生らを対象に行ったアンケートでは、回答のあった773人のうち、経済的理由で「生理用品を買うのに苦労した経験がある」と答えた人の割合は19・7%だった。「生理用品を交換する頻度を減らした」は36・5%、トイレットペーパーなど「生理用品以外のものを使った」との回答は26・2%で、グループ共同代表の谷口歩実さん(23)は「生理の貧困はコロナ禍以前からあった問題だが、当事者が声を上げづらく、放置されてきた」と指摘する。

専用アプリ

 こうした状況から、自治体が公立学校や公共施設のトイレで生理用品を無料で配る動きが広がる。内閣府が全国の自治体を対象に行った調査では、今年7月時点で支援を実施または検討しているのは581自治体で、全体の32%だった。東京都の杉並区や墨田区など、防災備蓄を活用した自治体が多いが、調布市やさいたま市などは予算措置をして、生理用品を用意していた。

 東京都教育委員会は今年9月から、都立高など約250校の都立学校の女子トイレに生理用ナプキンを置いている。5月に先行実施した7校では、月に70~300枚ほどが使用されたという。

「ららぽーと富士見」の女子トイレに設置された生理用品を提供する機器。スマホをかざして受け取る(24日、埼玉県富士見市で)
「ららぽーと富士見」の女子トイレに設置された生理用品を提供する機器。スマホをかざして受け取る(24日、埼玉県富士見市で)

 民間企業が支援に乗り出す動きも出始めた。埼玉県富士見市の商業施設「ららぽーと富士見」では8月末から、施設を運営する三井不動産(東京)とスタートアップのオイテル(同)が連携し、女性トイレの個室120か所に、無償で生理用品を提供する機器を設置した。利用者がスマートフォンの専用アプリをかざすと、ナプキンを一つ受け取ることができ、機器で表示する広告収入で購入費などをまかなっている。三井不動産の岸智弘さん(28)は「想定を上回る利用がある。問題解決に向け、企業も動く必要がある」と説明する。

コロナ契機「一過性」危惧

「理解欠かせぬ」

 ただ、こうした支援が一過性に終わるのではないかと危惧する声もある。内閣府の調査に支援を実施していると答えた自治体でも、すでに終えた所もある。窓口に直接来てもらって手渡すなど、利用者がちゅうちょしがちなケースもあるという。

 女性支援の団体や、要望のあった個人に生理用品を届けている一般社団法人「インテグリティ」(茨城県龍ヶ崎市)の支援先はコロナ禍前、月に1人か2人程度だったが、現在は100人ほどに増えた。生理用品は全国から寄付されたものを活用しているが、代表理事の佐野太一さん(53)は「今は『生理の貧困』への意識が高まって寄付も集まっているが、この問題はコロナ禍後も続く。当事者の女性を支えるには、行政や市民の理解が欠かせない」と話している。

無断転載・複製を禁じます
スクラップは会員限定です

使い方
2550261 0 社会 2021/11/26 15:09:00 2021/11/26 15:09:00 2021/11/26 15:09:00 「ららぽーと富士見」の女子トイレに設置された、スマホアプリを使ってナプキンを無料提供する機器「OiTr」(24日午前9時35分、埼玉県富士見市で)=須藤菜々子撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/11/20211126-OYT1I50077-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)