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大阪ミナミ「グリ下」・東京「トー横」、肩寄せる若者…「家にいたくない」SNSで集う

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 SNS上で「グリ下」と呼ばれる場所に、互いに見知らぬ少年少女が集まる現象が起きている。大阪・道頓堀の観光名所であるグリコの看板のたもとだ。新型コロナウイルス禍で、飲食店や商業施設が時短営業や休業を余儀なくされていた今年の夏頃から、若者たちの「居場所」となっている。一方、未成年の飲酒やけんかなど、トラブルにつながるケースもあり、大阪府警は見回りの強化などに乗り出している。(中西千尋)

「グリ下」と呼ばれるようになった戎橋下の遊歩道に集まった若者ら。キャリーケースを手にした若い男女も多く、夜の間に急性アルコール中毒で救急搬送された男性もいた(24日夜、大阪市中央区で)=杉本昌大撮影
「グリ下」と呼ばれるようになった戎橋下の遊歩道に集まった若者ら。キャリーケースを手にした若い男女も多く、夜の間に急性アルコール中毒で救急搬送された男性もいた(24日夜、大阪市中央区で)=杉本昌大撮影

初対面

 「仲良くしよなー」

 11月上旬の夕方。道頓堀の戎橋下の遊歩道には、10歳代の若者ら10人ほどが身を寄せ合うように座り込み、話に熱中していた。お菓子を食べたり、スマートフォンでゲームをしたり。友達同士のようだが、ほぼ全員が初対面。集まる約束をしたわけでもないのだという。

「グリ下」の周辺を見回る南署員ら。「居心地のいい場所が安全とは限らない」と注意を呼びかける(24日夜)
「グリ下」の周辺を見回る南署員ら。「居心地のいい場所が安全とは限らない」と注意を呼びかける(24日夜)

 「グリ下」は、今夏頃からツイッターなどのSNSで話題になり始めたキーワードだ。SNSでは「グリ下 友だち欲しい」などの投稿が相次ぎ、夕方から深夜にかけ、連日数十人が集まるようになった。

 神奈川県から来たという女子中学生(14)もツイッターで「グリ下」を知った。親に殴られたことがきっかけで家出。グリ下で出会った知人と近くのホテルに数日間泊まっているといい、「家にはいたくない」と言葉少なに語る。

 「お互い本名も知らないし、深く関わらなくていいから楽。傷つけ合うこともない」。週2、3回訪れるという大阪市内の男性(19)は仕事でミスをし、夏頃から休職。うつ病を患い治療中だが、同年代が集まるこの場所が心地よく感じるという。「『表面だけ』の人間関係だとバカにする人もいるかもしれないけど、グリ下を必要とする人もいる」と吐露した。

 親との関係に悩む大阪府内の17歳の少女はこう語る。「親に『ブス』『産んで失敗』と暴言を吐かれ、学校でもバカにされる。ここにはいつも誰かがいて、『友だちになろう』『かわいい』と声をかけてくれ、自己肯定感を高めてくれる」

居場所

 家庭や学校、職場などで悩みを抱える若者の「居場所」ともなっているグリ下。一方、地元の大阪府警南署は、警戒を強めている。飲酒やたばこを始めるきっかけになったり、口論からけんかになったりしたほか、ホテルに連れ込まれて性犯罪が疑われるケースも確認され始めたからだ。

 このため同署は、犯罪に巻き込まれることを防ごうと夜間の見回りを強化。未成年の場合は親に連絡するほか、家庭に事情を抱えているため地元の児童相談所に送り届けた事例は、今年9月末までに14件に上る。

 少年少女が親の同意なく近くのホテルに長期滞在していたケースもあり、同署は今月、周辺のホテル業者に宿泊者の年齢確認と18歳未満の場合、保護者の同意を求めるように要望した。

 同署は24日夜も見回りを実施。若者らは声をかけられるとその場を離れるが、しばらくすると戻ってくる。ある署員は「同じことの繰り返し。子どもたち自身の問題を解決しなければ終わらない」とつぶやいた。

 東京でも同様の現象が起きている。新宿・歌舞伎町の映画館「TOHOシネマズ新宿」周辺がSNSで「トー横」と呼ばれ、若者らが集まる。10月にはSNSで発信した「トー横」の様子に興味を持って連絡してきた女子高校生にわいせつ行為をしたとして、20歳代の無職男が逮捕された。

 なぜ若者たちはグリ下に集まるのか。「『グリ下』『トー横』という若者にしか分からないキーワードを使い、特別なつながりを作っているのでは」と分析する専門家もいる。若者の非行防止に取り組み、「夜回り先生」として知られる水谷修さんは「家庭で安心して過ごせない若者が、コロナ禍で学校や職場などの居場所も失いつつあるのが要因では」と話す。

 深夜はいかいが理由で補導される少年少女は近年減少しており、警察庁によると昨年は約18万人と10年間で3分の1になった。水谷さんは、SNSでつながりあえるようになったことが、背景にあるとみる。

 それでも、グリ下に集まる若者たち。10月下旬に道頓堀を訪れた水谷さんは「単なるたまり場ではなく、助けが必要な子どもたちが行き着く場所と認識すべきだ。犯罪に巻き込まれる前に、どのように手を差し伸べることができるのか。若者たちに関わる関係者全体で考えていかなくてはならない」と話している。

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使い方
2557074 0 社会 2021/11/29 15:58:00 2021/11/29 21:45:35 2021/11/29 21:45:35 戎橋下の遊歩道に集まる若者たち(24日午後7時32分、大阪市中央区で)=杉本昌大撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/11/20211128-OYT1I50035-T.jpg?type=thumbnail

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