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京都府宮津市社会福祉協議会は、地域福祉活動に尽力する個人・団体向けに助成金を新設した。原資は、同市出身の元東京地検特捜部検事で、さわやか福祉財団の堀田力さん(87)が「生まれ故郷で地域の助け合い活動に役立てて」と市社協に寄付した2000万円。市社協の小田和夫会長(74)は、「故郷への熱い思いを感じた。堀田さんの気持ちに添い、助け合いの活動を広めたい」と喜んでいる。(松田聡)

堀田さんは、小学1年生まで市内で暮らした。検事としての活動後は福祉活動に尽力し、同財団の会長に就任。近年は、少子高齢化が進み、介護保険などの公的サービスだけでは高齢化社会を支えきれないと、住民同士で助け合う仕組みづくりを提唱しており、講演会などを通じて普及、啓発を行っている。
宮津市と市社協は2019年にフォーラムを開き、堀田さんを招いた。その際堀田さんは、地域のリーダーらの「助け合う活動は自分たちでやらないといけない」などの前向きな発言に、「元気で宮津を好きだという人たちが考え始めている。さすがわが故郷だ」と感激したという。
助け合い活動を経済的に支援する仕組みづくりは、全国的にもなかなか進まないと感じた。リーダーらの発言もきっかけの一つとなり、率先して寄付することを決意し、堀田さんは老後の資金から市社協に寄付した。
助成金は「宮津市民いきがい・助け合い基金」で、寄付金を元に年間100万円を利用。1団体・個人に10万円を上限に助成する。既に、市北部の公共交通が少ない地域で、移送サービスを行う社会福祉法人を対象に実施した。
11月1日に東京で行われた財団30周年の記念フォーラムに合わせ、小田会長から堀田さんに特別感謝状が手渡された。堀田さんは「住民がエネルギーも金も出して活動するのは無理だが、寄付するだけでも効果がある。宮津をモデルにし、助け合い活動を応援する寄付の仕組みが全国に広がれば」と期待している。