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昨年10月に東京都調布市の市道が陥没して中断している東京外郭環状道路のトンネル工事について、東日本高速道路などは、陥没現場周辺を除く工区で工事を再開させる方針を固めた。来年1月にも地元自治体に対し、工事再開に向けた再発防止策の説明を始める。

工事が中断しているのは外環道の東名高速と関越道をつなぐ16・2キロ・メートルの区間。本線トンネル2本(南行、北行)と、大泉、中央ジャンクションで計7機のシールドマシン(掘削機)を使いトンネル掘削中だった。工事主体の東日本、中日本高速と国土交通省は、陥没現場近くの2機を除いた5機を順次再開させる方向で調整している。
陥没現場は、全国的にも珍しい大深度地下利用法の適用を受け、地下約47メートル付近でトンネル掘削工事が行われていた。
陥没が起きた後、東日本高速は有識者委員会を設置して原因を調査。有識者委は、陥没はトンネル掘削工事が原因と認め、掘削する際、地盤を軟らかくする薬剤が過度に浸透し、土を削り取り過ぎたことで地盤の緩みが生じたと推定した。
東日本高速では有識者委の調査結果や、今月21日に国交省設置の検討会が公表したシールド工法の安全性向上のための指針を踏まえ、24日にも再発防止策を取りまとめる。
土の圧力変化の監視を強化することや、削り取った土量の管理を徹底することなどを盛り込む見通しで、来年1月からその対策を示し、地元の自治体や住民に工事再開への理解を順次求めていく。
ただし、前例の少ない工事である上に、地元では再発を懸念する声もある。東京女子大の竹内健蔵教授(交通経済学)は「工事を再開するのであれば、安全を最優先にするのはもちろん、可能な限り情報を開示して理解を得ることが必要になる」と指摘している。