在宅勤務でストレス、元夫に「軟禁」された妻…コロナがうつると歯医者通いも禁じられる

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 法務省が24日に公表した犯罪白書では、新型コロナウイルス下での犯罪動向も浮き彫りになった。児童虐待や家庭内暴力(DV)の相談・通報が増加する一方、空き巣や自転車盗が大幅に減少しており、外出自粛で在宅時間が延びたことが背景にあるとみられる。コロナ禍で家庭内の被害が見えにくくなっているとの指摘もあり、相談体制の充実など支援の強化が求められる。

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夫が土下座強要

法務省の「女性の人権ホットライン」ではDVや虐待など被害相談に応じている(21日、東京都新宿区で)
法務省の「女性の人権ホットライン」ではDVや虐待など被害相談に応じている(21日、東京都新宿区で)

 「外で飲み歩けなくなってストレスをためた元夫から、5時間も暴言を吐かれた。『ウイルスを家に持ち込むな』と外出も禁止され、何度も死のうと思った」。東日本に住む女性(40)は、元夫からDVを受けた当時の心境を語った。

 緊急事態宣言が発令中だった昨年春以降、家の中で一緒に過ごす時間が増えた。元夫は毎日自宅で酒を飲み、ストレスを発散するかのように女性に説教をし続けた。「稼いでないのに文句を言うな」「寝るなら、掃除を済ませてからにしろ」。午前3時すぎまでどなられ、土下座を強いられたこともある。

 「コロナがうつる」と歯医者へ通うのも禁じられた。現金自動預け払い機(ATM)で生活費を引き出す時も元夫が同行して「監視」し、その場で没収されて酒代に消えた。今年に入り、離婚。「外出自粛をうまく利用され、軟禁状態にされた。言うことをきかないと何をされるか分からなかった」と振り返る。万一のことを考え、後に地元の警察署に相談した。

空き巣は3割減

 犯罪白書によると、昨年の刑法犯の認知件数は61万4231件で戦後最少を更新。このうち41万7291件と7割近くを占める窃盗の減少幅が特に大きく、2015年から19年までは前年比8・5~11・2%の幅で減っていたが、昨年は21・6%減った。手口別では空き巣が前年比29%減、自転車盗が同28・4%減で、コロナ禍による外出自粛の影響が表れたとみられる。

 一方、配偶者からの暴力などDVに関する警察への相談は前年比0・5%増の8万2643件に上った。殺人や傷害、暴行などの検挙件数は8702件で、前年から388件減ったものの、10年前の3・7倍となり、高止まりの傾向が続く。

 児童虐待に関する事件の検挙件数も増加しており、昨年は前年比8・2%増の2133件で、03年の10倍に達していた。

SOS出しにくく

 DV被害については、内閣府が昨年、新たな相談窓口「DV相談+(プラス)」を設置し、電話(0120・279・889)やメール、チャットで相談に応じる。法務省も「女性の人権ホットライン」(0570・070・810)で、法務局職員や人権擁護委員が対応している。コロナの感染拡大を受け、各地の自治体や民間団体でも相談窓口の開設が相次いだ。

 しかし、NPO法人「全国女性シェルターネット」によると、コロナ下ではそもそも被害者が外部に助けを求めにくくなっているといい、相談できても、関係機関を紹介されるだけのケースも少なくないという。

 実際、在宅勤務が増えた夫から暴力をふるわれたという関東地方の30代女性は、「スマホをのぞき見られて外部にSOSを出せなかった」と明かす。

 同法人の北仲千里共同代表は「コロナの影響で被害者側も失業したり収入が減ったりして、逃げたくても自立できない事態に陥っている」と指摘。「相手の隙を見て必死に相談してくる被害者については、素早く警察と連携したり、すぐにシェルターに案内したりする必要がある。相談からその後の支援まで一貫して対応できる仕組みが必要だ」と指摘している。

給付金詐欺の立件額14億円

 今回の犯罪白書は、詐欺事件の特集を組んだ。新型コロナウイルスに関連した詐欺も取り上げ、個人事業主や中小企業を支援する国の「持続化給付金」について、今年7月末現在の検挙件数が1445件、立件額は総額14億4200万円に上ることが明らかになった。

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