10代女性「親に知られたくない」、病院だけに身元明かし「内密出産」…法整備なく初の事例か

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 熊本市の慈恵病院は4日、昨年12月に10歳代の女性が、望まない妊娠などの事情を抱える人が病院以外に身元を明かさず出産できる独自の仕組み「内密出産」で出産したことを明らかにした。戸籍法は、出生届に父母や子の名前を記載するよう義務づけている。母親が行政に身分を明かさない内密出産は国内では法制化されておらず、現状では初の事例とみられる。

 同病院は2007年から育てられない子どもを匿名で託せる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を運営。妊婦が独りで出産する危険な状況に陥ることを避けることなどを目的に、19年に内密出産を導入した。

 内密出産では、女性は子どもを産む際に、病院の一部職員にのみ身元を伝える。女性に出生届を出す意思がなければ、病院が代わりに母親の身元を記載せずに提出することを検討する。子は一定の年齢になれば、病院から母親の情報を知ることができる。

女性の身元を示す書類が入る封筒を手に経緯を説明する蓮田理事長(4日午後2時9分、熊本市西区で)=林航撮影
女性の身元を示す書類が入る封筒を手に経緯を説明する蓮田理事長(4日午後2時9分、熊本市西区で)=林航撮影

 記者会見した蓮田健理事長によると、西日本に住む女性から昨年11月中旬、「妊娠9か月でもうすぐ生まれる。親に知られたくない」などとメールで相談があった。同12月、熊本市に向かう途中で出血が始まり、理事長らがJR博多駅(福岡市)で女性を保護。慈恵病院で翌日出産した。

 女性は母親との関係が断たれることを恐れて、個人情報を明かさないまま出産した。子どもの出自を知る権利を確保するため、新生児相談室長だけに名前などを明かし、健康保険証や、以前在籍していた学生証のコピーを封筒に入れて渡した。封筒は病院の金庫で保管されている。女性は退院し、赤ちゃんは病院で保護されている。

 熊本市はこれまで「適法と言えるか明確になったとは言いがたい」などとして、内密出産を控えるよう病院に要請。国は現行法上の問題の有無について明確な見解を示していない。

 女性は、赤ちゃんの特別養子縁組を希望する一方で、近く面会に来る意思を示しており、蓮田理事長が改めて意思確認を行う。

 蓮田理事長は「母子の安全を確保でき、(内密出産の)意義はあったと思う。同様の相談もあり、続く可能性がある。行政には現実的な対応をお願いしたい」とした。

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