「手が回らない」保健所、濃厚接触者への連絡は感染者本人から…市民が業務「代行」も

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 新型コロナウイルス感染の急拡大で、保健所の業務が 逼迫ひっぱく している。沖縄や広島では、感染者の行動歴をたどって人との接触状況を探る「積極的疫学調査」を縮小する事態に追い込まれた。昨夏の「第5波」の教訓から、政府はすべての自宅療養者と「陽性判明の翌日まで」に最初の連絡を取るよう自治体に求めており、各地の保健所では必死の対応が続いている。

大阪府で新たに2576人コロナ感染確認…1週間前から748人減

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新型コロナ感染者が増加し、対応に追われる東京都練馬区の保健所職員ら(11日午後)=関口寛人撮影
新型コロナ感染者が増加し、対応に追われる東京都練馬区の保健所職員ら(11日午後)=関口寛人撮影

 「感染者への連絡も滞っており、濃厚接触者まで手が回らないのが実情」。那覇市の長嶺達也・健康部長は話す。

 市内の新規感染者は、4日の38人から、8日には10倍超の400人に急増。市は市役所本庁から職員27人を派遣して保健所を83人態勢に拡充したが、感染者の行動歴(2週間分)を聞き取り、濃厚接触者を特定する積極的疫学調査が追いつかない状況だ。

 このため、9日には、感染者本人に「誰が濃厚接触者にあたるか」を特定してもらい、濃厚接触者への連絡も行ってもらう運用に改めた。「市民に保健所業務の一部をお願いせざるを得ない」(長嶺部長)という異例の事態となっている。

 沖縄では、宮古保健所(宮古島市)や南部保健所(南風原町)でも、すでに窓口の一部を休止した。濃厚接触者については、病院や介護福祉施設、クラスター(感染集団)が発生した場合を優先して調査している。

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 第5波では、保健所からの自宅療養者への連絡が滞り、自宅で亡くなるケースも相次いだ。こうした反省から、政府は昨年11月、「陽性判明の翌日まで」にすべての自宅療養者と最初の連絡を取るよう自治体に求めている。

 東京都練馬区は、最初の連絡を確実に行うため、区内約170の診療所で陽性が判明した感染者については、各診療所に引き続き健康観察を担ってもらう。区内では、今月4日まで1桁台だった新規感染者が、8日には40人に急増。区は8日夕に緊急会議を開き、診療所の関係者らに健康観察の徹底を求めた。

 大田区は、感染者自身が健康状態などを入力する国のシステム「My HER―SYS(マイハーシス)」を積極的に活用する。陽性が判明すると、感染者の携帯電話にショートメッセージサービス(SMS)で自動的にシステムの案内が届く仕組みで、感染者が自身の体温や血中酸素濃度などを入力。その内容を、管轄の保健所や診察した医療機関が共有し、症状の変化を注視している。

 区の担当者は「保健所からの電話に出てくれない人もいる。何度も電話をかける手間を少しでも減らし、リスクのある人の見守りに力を入れたい」と話す。

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 新規感染者が4日連続で過去最多を更新し、10日は445人に上った広島市。積極的疫学調査では感染者の行動歴を「発症から2週間」から「2日」に短縮する措置を取った。市は年明けから、150人の応援職員を派遣する態勢を組んでいるが、それでも足りないという。

 保健所は、自宅にいる感染者を病院や宿泊療養施設に搬送する役目も担っている。同市では保健所の職員が自ら車を運転して搬送していたが、昨夏から地元のタクシー会社に運転手の派遣を依頼している。現在、広島県などが保有する車両を含めて9台を運用しており、市は「ルートを工夫してなるべく多くの患者を運ぶようにするなどして、何とかやりくりしている」と話した。

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