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若者を中心に近年、増加が続く大麻の乱用に歯止めをかけようと、福岡県と県警が啓発動画3本を制作し、専用サイトで公開中だ。県警が摘発した少年の6割近くが知人らに勧められて手を染めていたことから、誘惑の「断り方」を指南。若年層に関心を持ってもらうため、ゲームの実写版のような仕上がりにしている。(横山潤)

ある女子大生が悩んでいる。大学構内で不審な男に声をかけられ、怖くて大麻をもらう約束をしてしまったからだ。そこでゲームの主人公風な若い男性が対処法を助言する。「そんな時はとにかくその場から離れることだ」「親から電話がかかってきたふりをするといいぞ」――。動画「学校での誘い編」(約7分)の一場面だ。
県と県警が動画を企画したのは昨年春。ゲームを実写化した動画などが人気の動画クリエイターグループ「駒沢アイソレーション」に制作を依頼した。撮影は福岡市の中洲、天神地区などで行われ、県立大(田川市)の学生ら約20人も出演するなどして協力した。

県警が昨年、大麻を所持するなどしていたとして摘発した人数は、前年比71人増の399人(暫定値)と過去最も多かった。年代別でみると30歳未満の若年層が292人を数え、全体の73%を占めた。また、県警が2020年に摘発した未成年者62人を対象に調査したところ、大麻を使用した動機で最多だったのは「(友人らに)誘われたから」で36人(58%)にのぼった。

県警は「周囲からの誘いに応じ、安易な気持ちで使用するケースが後を絶たない。こうした傾向が若年層の大麻汚染の背景になっている」と分析。江島剛樹・少年課次席は「薬物には常習性があり、いったん手を出すと人生を棒に振ることになる」と強調。「誘惑に負けず、勇気を持ってきっぱりと断ってほしい」と呼びかける。
動画は残りの「大麻での逮捕編」「先輩からの誘い編」(ともに約4分)を含め、県薬物乱用防止啓発サイト( https://www.no-drugs-fukuoka.jp/ )で視聴できる。