寝そべっても平気なほど、手でピカピカに…観光トイレ日本一目指す「オピト」

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四つんばいになって床を磨く大井さん(奥多摩駅に隣接する観光トイレで)
四つんばいになって床を磨く大井さん(奥多摩駅に隣接する観光トイレで)
奥多摩駅に隣接する観光用公衆トイレの前でポーズを決めるオピトのメンバー。派手な縦じまのシャツが特徴だ
奥多摩駅に隣接する観光用公衆トイレの前でポーズを決めるオピトのメンバー。派手な縦じまのシャツが特徴だ
便器の清掃も手作業で行う
便器の清掃も手作業で行う
オピトからのメッセージが記された洗剤の容器(鳩ノ巣駅横の観光トイレで)
オピトからのメッセージが記された洗剤の容器(鳩ノ巣駅横の観光トイレで)

 東京都奥多摩町で登山や観光の途中、奥多摩駅前や鳩ノ巣駅前などに設置されているトイレを利用する人も多いのでは。自分が登山を始めた10年ほど前のトイレは、どこか薄汚れていて入りづらい雰囲気もあったが、最近はきれいで使いやすくなった。うれしい変化は、どのように起きたのか。(鈴木章功)

 「女性でも安心して利用できるし、観光客にも胸を張って薦められるトイレになりましたよね」

 昨年12月、取材先で知り合った地元の保育園に勤める女性(38)が、町内の観光トイレについてそう評し、「OPT(オピト)のおかげなんですよ」と教えてくれた。

 オピトは「オクタマ・ピカピカ・トイレ」の略。町内22か所の観光トイレを清掃する「奥多摩総合開発」の社員の愛称で、現在のメンバーは4人いる。

 リーダーの大井朋幸さん(47)は、同社がトイレ清掃を受託した2017年春採用の「オピト1期生」だ。当時は、清掃が行き届いておらず、便器に染みついたアンモニア臭のほか、観光客が持ち込んだごみの臭いが漂うトイレが少なくなかった。空き缶や瓶が散乱し、土で汚れて黒ずむ床が利用者を拒んでいるようだった。大井さんは「当初は臭いに吐き気をもよおしながら清掃していた」と振り返る。

     ◇

 町観光産業課によると、“街の顔”ともいえる観光トイレの新設や改修に本格的に乗り出したのは2015年度から。トイレ次第で観光地としての街の印象も変わると考え、トイレの洋式化や外壁の塗り替えなどを進めた。それに合わせて一部の清掃委託先を変更し、「日本一観光用公衆トイレがきれいな町」を目指すことにしたという。

 この動きの音頭を取った当時の町長の河村文夫さん(77)は「観光客から『奥多摩はトイレが汚い』という投書が町役場にも来ていた」と明かす。

 汚いトイレは、さらに落書きをされたり、ごみを投げ込まれたりする悪循環に陥っていた。トイレをきれいに保つため、トイレ清掃の契約を巡っては、清掃ノウハウの取得などを委託条件の一つに挙げたという。

     ◇

 オピトは通常、2~3人1組で1日10か所程度のトイレを回っている。町の玄関口の奥多摩駅のトイレには朝と夕の2回掃除に入る。汚れがひどい月曜日の朝と、週末前の金曜日は特に時間をかけて掃除する。利用客が増えるゴールデンウィークや秋の行楽シーズンは、1日5、6回行くこともあるという。昨年秋にオピトになった関舞さん(32)は最初、手仕事でこなす掃除のプロセスや頻度に驚いたが、すぐにトイレをきれいに保つためには必要なことだと気づいたという。

 昨年12月23日、「日本一かっこいい清掃員」を目標に掲げるオピトが、奥多摩駅前のトイレを清掃する様子を見せてもらった。

 派手な色違いの縦じまシャツを着たメンバーは、手分けしてスポンジで便器をこすり始めた。磨き漏れがないように、見えない便座の裏部分は手鏡でチェックする念の入れようだ。床は洗剤を使ってピカピカにし、残った水分は業務用掃除機で吸い取った。大井さんは「床に寝そべっても平気なほどきれいなトイレになった」と話し、実際に寝っ転がって見せた。

 登山をすると、靴底に泥がつく。これまで泥がついたままの靴でトイレに入り、無意識のうちに泥を落としてこなかっただろうか。そう自問すると、大井さんの言葉が頭をよぎった。「日本一きれいなトイレは、お客さんと一緒に作るんですよ」

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