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弟は6歳の頃、失語症で障害者手帳を取得し、重い知的障害もあった。家にこもりがちで、夜遅くまでテレビを見るなど、昼夜逆転の生活をしていたという。

母親が7年以上前に死去してからは、兄は介護で就労が困難だとして生活保護を受給しながら一人で弟の面倒を見ていた。近所では、兄が弟を連れて散歩する姿がよく目撃されていた。
「自分が面倒見る」
一家は長らく介護への行政の支援を受けることはなかったが、弟の特性が影響していたとみられる。
母親は、周囲に「(弟は)他人を受け入れられない」と説明。施設や介護サービスを利用せず、亡くなる直前には、兄に「施設に入れないで」と言い残していたという。兄も「自分が面倒を見なければならない」と支援を拒んだ。
しかし、兄は生活保護担当の区役所職員に「介護がしんどい」「いつまで持つかわからない」と漏らすようになった。2018年から週2回程度、家の掃除や洗濯、食料の買い出しといった家事援助を受けるようになったが、入浴介助やショートステイのように第三者に弟を預けるサービスを利用することはなかった。
「兄が疲れている」。見かねた弟の主治医が相談支援センターに連絡し、入浴介助の話が進み出したのは昨年4月20日が初めてだった。