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「許せなかった」
ある日突然、身に覚えのない問題や事件の「犯人」に仕立て上げられ、顔も見えない相手から攻撃される――。そんな被害は度々、繰り返されてきた。
茨城県の常磐道で2019年8月、あおり運転をした男が逮捕された事件では、車に同乗していた女だとして、東京都内の女性を名指しするデマがSNSで拡散。きっかけは、この女性のインスタグラムの内容や写真が「似ている」というだけの根拠のない情報だった。
今年1月には、テレビ番組に出演した料理人が「態度が悪い」とネットで批判が起き、似た名前の料理人の店が間違われた。グーグルの口コミ欄に「こんなシェフのいる店に行きたくない」などの投稿が相次ぎ、評価が下がったという。
問題の背景にあるのは、「特定班」などと名乗り、ネット検索で手軽に得られる断片的な情報を手がかりに、犯人捜しのような行動に走る人が増えている実態だ。SNSで公開される個人の情報が爆発的に増え、グーグルの衛星写真や画像検索機能などが充実していることも、こうした行動がエスカレートする要因になっているとみられる。
ネットの
山口准教授は「不適切な行為をした人らの情報を暴いたつもりになり、バッシングして『ゆがんだ正義感』を満足させる傾向がある。怒りの感情で何かを書いたり、拡散したりしそうになったら、一呼吸置いて『確かな根拠はあるか』と冷静になる必要がある」と話す。