「容体悪化あっという間」高齢者の施設内療養「限界」…都内施設の死者急増、今月35人に

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 新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」による感染の第6波で死者が急増する中、東京都内の高齢者施設でも療養中の新型コロナウイルス感染者の死亡例が増えている。今月は、23日時点で35人が亡くなった。関係者からは、病床の 逼迫ひっぱく を受けて行われている施設内療養の「限界」を指摘する声も上がる。(佐藤果林)

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搬送先見つからず

高齢の感染者向けに設けられた臨時医療施設の病床(20日、東京都荒川区で)=西孝高撮影
高齢の感染者向けに設けられた臨時医療施設の病床(20日、東京都荒川区で)=西孝高撮影

 都内のある高齢者施設で今月4日、90歳代の女性入所者が息を引き取った。感染の判明は、その10日ほど前。軽症だったことや家族の希望もあり、施設内で療養することになったが、脱水症状を起こして食事の量が減り、衰弱していった。

 この施設での感染の広がりは、職員の発熱をきっかけに明らかになった。感染者は20人を超え、濃厚接触者となった入所者の一人は容体が急変。救急車を呼んだが搬送先が見つからず、車内で約4時間待って亡くなった。施設長は「高齢者の容体悪化はあっという間だ。入院できない上、入院が必要になっても受け入れ先が見つからないのは問題だ」と訴える。

「医療の場でない」

 都内では1月中旬まで大半の高齢者が入院できていたが、オミクロン株による感染の拡大で、次第に病床を圧迫。都は1月下旬、重症化しにくいという同株の特性を踏まえ、高齢者施設入所者であっても、軽症で、重症化につながる持病などがなければ、施設内での療養を認めた。

 都の発表を基に読売新聞が集計したところ、1月中に施設内で亡くなった高齢の感染者は3人だった。しかし2月に入ると、1~5日だけで3人、第2週(6~12日)では4人となり、第3週(13~19日)には12人と大幅に増えた。今週は23日時点で16人が亡くなっている。施設内で今年死亡した感染者は計38人で、全死者(352人)の約1割を占める。

 都は「施設内療養」の容認に合わせ、都内30超の医療機関と連携し、医師の往診体制を整えた。ただ、施設に出向く医師の一人、心越クリニック(品川区)の岩間洋亮さん(42)は「高齢者施設は生活の場で、医療の場ではない。限界がある」と指摘する。

 岩間さんによると、高齢者施設の中には、点滴や血液などの検査器具を十分に備えていない所も多く、岩間さんは「時間がたって入所者の体調変化に気づくこともある」と明かす。

150床の臨時施設

 こうした状況から、都と国は今月21日、高齢者を専門に受け入れる最大150床の臨時医療施設を旧東京女子医大東医療センター(荒川区)に設けた。国立病院機構などから派遣された医師らが治療にあたる。

 都内で約4000人の入院者のうち60歳以上は7割。新規感染者数は減少傾向に転じたが、病床使用率は6割近く、高止まりの状態は当面続くとみられる。

 高齢者施設などへの往診を行う悠翔会(港区)の佐々木淳理事長(48)は「さらなる病床逼迫を防ぐため、今後も可能な人は施設や在宅で療養せざるを得ないだろう。施設内で医療行為ができる環境を充実させるとともに、重症化の抑制が期待できる3回目のワクチン接種を進める必要がある」と話している。

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