親は「3歳になれば、月数万円分の負担減でラッキー」…園長「幼稚園枠に移らないと親が損する」

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 認定こども園の一部が「保育園枠」の園児を「幼稚園枠」に移すことで通常の約2倍の給付金を得ている問題は、2019年10月に始まった幼児教育・保育の無償化に絡み、幼稚園枠の方が、利用料が無料になる時期が早いという制度上の「ズレ」も利用されていた。園が親側にもメリットを提示して給付金の高い幼稚園枠に促した事例もある。

 利用料が無料になるのは3歳からだが、適用時期が保育園枠と幼稚園枠で異なる。4月生まれの園児だと、保育園枠は翌年の4月まで待つ必要があるのに、幼稚園枠は3歳となった誕生日から無料となり、最大1年近くのズレが生じる。

 「3歳の誕生日を迎えたら、1号認定(幼稚園枠)に変更すれば保育料は無料になりますよ」

鹿児島県鹿屋市の幼稚園枠の園児数を示す資料。複数の園で、定員(10人または15人)を超えて増えていた
鹿児島県鹿屋市の幼稚園枠の園児数を示す資料。複数の園で、定員(10人または15人)を超えて増えていた

 昨年3月、鹿児島県鹿屋市内の認定こども園で開かれた入園説明会。1歳の娘と参加した20歳代の女性は、全体での説明の後、ベテラン風の保育士から教室の隅に呼ばれ、そう切り出された。夫と共働きで、保育園枠での入園先を探していた。

 女性はその後、娘をこの園に入園させた。園の意向を妻から聞いた夫は「3歳になれば月数万円の負担がなくなる。正直、ラッキーだと思った」と振り返る。

 読売新聞が入手した鹿屋市の20年度の資料では、複数の認定こども園で幼稚園枠の園児が月ごとに増えていた。市は3歳を迎えたタイミングで次々と移ったとみており、年度末には定員の3倍を超えた園もあった。

 定員を超過したある園長は「(幼稚園枠に)移らないと親が損をする。『無料にしてくれる園に移る』と言われるのも怖かった」と変更した理由を語った。

 保育園枠からの変更を促す方法は、ほかの地域でもみられる。

 島根県のある園では、比較的、変更に支障が少ないとみられる保護者を選んで声かけしていた。園長は「『保育料が安くなるので、くら替えをしてもらえないか』とお願いしている。おおやけには、できることではないが……」と明かした。この園は、園に入る給付金が増えることは保護者に説明していないという。

 京都市のある園長は「親が得をして、園にとってもプラスになること。(給付金は)職員を増やすことに使っている」と語った。

制度「不公平」

 無償化の時期が二つの枠で違っていることについて、内閣府は「もともと異なる幼稚園と保育園の制度の違いから生じているもので、現時点で一元化は難しい」と説明。幼稚園枠への変更が相次いでいる点は、「無償化が目的であろうと、保護者が希望するなら認められる」としている。

 保育政策に詳しい日本総合研究所の池本美香上席主任研究員は「同じ保育を受けているのに無償化の時期に差があることは、利用している親の間で不公平感があるうえ、自治体の混乱や負担となっている。公平な制度づくりを行うべきだ」と指摘する。

  ◆幼児教育・保育の無償化 =消費税10%の引き上げ分を財源に、小学校就学前の3年間の利用料を無料にする制度。保育園枠は3歳児クラスに上がった4月から始まるのに対し、幼稚園枠は、従来の幼稚園が3歳になった日から入園できることなどを理由に、誕生日から対象としている。

スクラップは会員限定です

使い方
「社会」の最新記事一覧
2818353 0 社会 2022/03/08 10:03:00 2022/03/08 10:48:43 2022/03/08 10:48:43 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/03/20220308-OYT1I50045-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)