ウクライナにもロシアにも「平和を」…両国で作品展を開いた切り絵画家の願い

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 「ウクライナやロシアの仲間は大丈夫だろうか」――。国際的に活躍する切り絵画家、久保修さん(70)は、連日、ロシア軍によるウクライナ侵攻のニュースに接し、切り絵を通して親しくなった現地の人たちの安否が気がかりでならない。「平和とは何か」を考えながら、自身の創作活動と向き合う中、ウクライナに一日も早く平和が訪れることを願った作品を完成させた。(デジタル編集部 長野浩一、加藤雅浩)

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真剣な表情で作品づくりに励む久保さん
真剣な表情で作品づくりに励む久保さん

 久保さんは山口県 ()() 市出身。大学の建築学科に在学中、紙を切る面白さに目覚め、独学で切り絵づくりを始めた。1995年の阪神大震災で被災し、自然災害が歴史や暮らし、人々の心に大きな傷痕を残す様子を目の当たりにした。それ以降、日本の四季の風物詩や、旬の食材などを題材にした「紙のジャポニスム」をテーマに、生命力にあふれた瞬間を作品に仕上げている。現在は東京を拠点に、和紙をベースにパステルやアクリル絵の具、布、コルク、砂などを組み合わせた独自の技法で、創作活動に励んでいる。

 国内外で作品の評価が高まる中、2009年に文化庁の文化交流使に指名され、切り絵を通じて日本文化を海外の人たちに伝える活動を始め、14か国を訪問。ウクライナには12年に1度、ロシアには12~14年に計3度訪れ、展覧会や切り絵の体験会を通じ、現地の人たちと交流した。

2012年、ウクライナで開いた切り絵の体験会で記念撮影する久保さん(前列右から2人目、本人提供)
2012年、ウクライナで開いた切り絵の体験会で記念撮影する久保さん(前列右から2人目、本人提供)

 「子供から大人まで、参加したみんなが笑顔で切り絵づくりを楽しんでくれた。歴史と文化が息づいた美しい街並みも印象的で、ウクライナの首都キエフにあるアンドレイ教会に続く石畳の坂道『アンドレイ坂』を題材に作品を作ったほど」と語る。

 連日、ウクライナの街並みが傷つけられ、多くの命が奪われていると報じられている。「どちらの国の人たちにも共通するのは、優しい笑顔。国の指導者の誤った言動で、彼らが目をつり上げて互いに争い、平穏な暮らしが奪われることがあってはならない」と憤る。

 両国に、今でも付き合いがある友人がいるが、ウクライナの仲間とはSNS上での連絡が途絶え、ロシアの仲間とはメールで連絡がついたものの「戦争反対」が文言からにじみ出ると、相手に迷惑がかかると思い、控えているという。

「ウクライナに平穏な日常が戻るように」と願いながら作った作品を手に、平和の大切さを訴える久保さん
「ウクライナに平穏な日常が戻るように」と願いながら作った作品を手に、平和の大切さを訴える久保さん

 作品づくりに励む中「切り絵画家として平和を訴えることはできないか」と考え、ウクライナの国旗と同色のハートの中に、平和を象徴するオリーブの枝をくわえ、翼を広げた白いハトを描いた作品を仕上げた。

 「ウクライナに一日も早く平穏な日常を取り戻せるよう、作品をステッカーなどにして、思いを同じくする人たちに届けたい」と考えているという。「ウクライナとロシアを知る者として、両国の人々が笑顔になる日が、一日も早くやって来ることを願わずにはいられない」

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