ねむの木学園の「子ども」たち、新たな一歩へ…「母」宮城さんの死を乗り越え美術展再開

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 静岡県掛川市の障害者施設「ねむの木学園」は今年度、県外での美術展を再開する。2020年3月に創設者の宮城まり子さん(享年93歳)が亡くなってからの2年間は、“母不在”の喪失感と、新型コロナウイルスの感染拡大で思うような活動ができない日々が続いたが、教え子らが中心となって、新しい日常が動き始めている。

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コロナ追い打ち

宮城まり子さん(2019年10月撮影)
宮城まり子さん(2019年10月撮影)

 「生活の色々な場面で、お母さんならこう話すだろうなと想像することがよくあります」と、学園内のグループホームで暮らす男性(58)は話す。学園ではまり子さんは今も「お母さん」と呼ばれる。男性は幼少の頃から約50年間にわたり、まり子さんの「子ども」として学園で暮らしてきた。

 まり子さんを喪失した衝撃は、学園にとって大きかった。まり子さんから愛情を注がれ続けた子どもたちが、絵画などの創作意欲をなくしてしまう姿もあった。更に新型コロナウイルスの感染拡大で、コンサートなど学園の活動の多くが中止され、表現活動を披露する場が失われていった。

 そんな日々の中で、学園の関係者の心のよりどころとなったのは、まり子さんと過ごした日々や言葉だった。今も、かつての住居には、悩みを抱えた子どもたちがひっそりと訪れ、天国の“お母さん”に話しかける姿がみられるという。

 喪失感に沈んでいた学園は少しずつ前に動き出している。今年3月21日は三回忌だったが、学園の子どもたちの有志がデザインしたお墓を学園の敷地内に作った。墓碑には「やさしいことはつよいのよ」という生前の言葉が刻まれた。

静岡県以外での開催は4年ぶり

 学園では4月から子どもたちの作品を展示する美術館など2施設での来場者の受け入れを再開し、施設一帯を訪れる人の姿も戻ってきた。夏以降には長野県下諏訪町、岐阜県瑞浪市での美術展の開催を計画している。学園のある静岡県以外での開催は4年ぶりという。

創立記念日に中庭へ集まったねむの木学園の子どもたちと職員ら(4月6日、静岡県掛川市で)
創立記念日に中庭へ集まったねむの木学園の子どもたちと職員ら(4月6日、静岡県掛川市で)

 運営面では、まり子さんが担ってきた役職を、その思いを受け継いだ教え子らが分担する形に移行した。4月6日の創立記念日で、学校法人・ねむの木学園の梅津健一理事長は新年度について「コロナに十分に気をつけて、何でも挑戦していかなくては」などと、子どもたちに話した。創立から55年目を迎えた学園は次の一歩を踏み出しつつある。

  ◆ねむの木学園= 国内初の肢体不自由児のための養護施設として、女優の宮城まり子さん(故人)が1968年に開設した。「障害をもった子どもたちに教育の場を」と、個性や感性を尊重し、絵画、音楽、ダンス、茶道などを取り入れた教育を実践している。

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