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5月の「自転車月間」に合わせ、埼玉県警が自転車利用者にヘルメットを着用するよう呼びかけている。県内では昨年1年間、自転車事故による死者は全国最多の34人で、死亡した全員が被害を軽減するヘルメットを着用していなかった。死者の大半が頭部を負傷している実態を踏まえ、県警が啓発に力を入れている。

自転車月間は、自転車活用推進法に基づき、自転車の安全利用などを集中的に訴える期間。県警は、埼玉スタジアム2002(さいたま市緑区)や、鉄道博物館(同市大宮区)など大勢の人が集まる場所を中心に啓発活動を行う。

また、ホームページ上では、県内全39署の管内で自転車事故や一時不停止などの違反が多い道路や地域を示した地図を公開する。特に注意が必要な場所を市民に周知するのが狙いだ。
県警が啓発に力を入れるのは、昨年の自転車事故による死者が全国最多だったため。県警交通総務課によると、昨年死亡した自転車利用者34人の年代は、65歳以上の高齢者が23人と最も多く、全体の6割以上を占めた。40歳代が4人、50歳代と30歳代が各3人と続いた。死亡事故の類型では、出合い頭の事故(16件)や右左折時の事故(6件)が目立つ。自転車の人身事故は4880件で全国5番目に多かった。
県警は対策として、ヘルメットの着用を呼びかけている。死亡した34人は全員、ヘルメットを着用しておらず、そのうち20人が頭部を負傷して致命傷となった。警察庁の分析では、自転車乗車中にヘルメットを着用していない場合、着用した場合と比較して、事故による致死率が約3倍にはね上がるという。県警幹部は「ヘルメットをしていれば最悪の事態を免れた可能性もある」と話した。
県警の関根孝史交通安全対策推進室長は「万が一の事故に備えて、ヘルメットの着用をお願いしたい」と呼びかけている。