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山梨県道志村の山中で発見された子供の後頭部とみられる骨について、県警は12日、近くのキャンプ場で2019年に行方不明になった当時小学1年の小倉美咲さん(千葉県成田市)の母とも子さん(39)の親族のものとみて矛盾しないと発表した。母系の血縁関係を調べる「ミトコンドリアDNA型鑑定」で判明した。県警は、周辺で見つかった他の骨の鑑定も進める。とも子さんは12日夜、ホームページに「美咲と断定された訳ではないので、無事に戻ってくると信じている」とつづった。

骨は4月23日、キャンプ場の東約600メートルに位置する水のかれた沢で、捜索ボランティアの40歳代男性が発見した。県警は細胞核からDNAの採取を試みたが、死後数年が経過して骨の傷みが激しく、個人を特定するのに十分な試料が得られなかった。このため、骨の細胞内のミトコンドリアに含まれるDNAを採取して鑑定を実施。その結果、DNA型がとも子さんと一致した。
鑑定結果について県警は「親族関係にあることに矛盾はないが、個人が特定されたわけではない」と説明。「他の骨の鑑定結果などを含め、総合的に勘案して身元を特定していく」としている。

沢の周辺では、県警などの捜索で肩や腕とみられる骨のほか、美咲さんが当時履いていたものと特徴が一致する運動靴や片方の靴下、ハイネックシャツも見つかっている。
「ミトコンドリアDNA型鑑定」…試料劣化でも検出しやすい
「ミトコンドリアDNA型鑑定」は、母から子に受け継がれる細胞内のミトコンドリアDNAを調べることで、母系の血縁関係を判別できる。個人の識別が可能な細胞核のDNAを用いる鑑定に比べて精度は劣るが、細胞内にはミトコンドリアDNAが1000個以上存在するため、試料が劣化していても検出しやすい。
千葉大法医学教育研究センターの岩瀬博太郎教授は「DNAを骨から取り出すこと自体が難しく、野外にあれば微生物などで分解されることもある。個人を特定するには、さらに調べていく必要があるだろう」と話している。