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女性トイレにある「サニタリーボックス」(汚物入れ)を、尿漏れパッドの廃棄用として男性トイレに設置する動きが、さいたま市などの地方自治体や東京都内の民間企業で始まっている。前立腺がんなどの病気や加齢に伴ってパッドを利用する男性たちの求めに応じた取り組みだ。当事者らは「トイレへの設置を当たり前にして」と全国的な広がりを期待している。(岡田実優、写真も)

「汚れたパッドを持ち歩くのが嫌で、家を出るのがおっくうになることもある」。2020年10月に前立腺がんの手術を受けた埼玉県加須市の男性(63)が悩みを打ち明ける。尿意をコントロールするのが難しく、しゃがんだ拍子や、くしゃみをした時に漏れてしまうことがあり、パッドが日常生活で不可欠になった。
毎日数回交換するが、外出中は捨てる場所が見当たらず、使用済みのパッドはバッグに入れて持ち帰るという。男性は「恥ずかしさもあり、尋ねにくい。同じように悩む人もいるはず」と語る。
国立がん研究センターの統計によると、前立腺がんと診断された男性は、18年時点で約9万2000人。トイレの環境改善などに取り組む一般社団法人「日本トイレ協会」が今年2月、インターネットで行ったアンケートでは、パッドやおむつを使っていると答えた20~80歳の男性約40人のうち25人が、サニタリーボックスがなくて困った経験があると回答した。