警察犬と昼寝「県警のムツゴロウ」、全国で指導へ…「飼育員になりたかった」

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 兵庫県警鑑識課で警察犬による捜査に携わる警部補の横野雅彦さん(55)が4月、都道府県警の枠を超えて知識や技能を伝える「広域技能指導官」の指定を警察庁から受けた。現役の警察犬担当は全国で2人だけで、県警では初めて。犬に寄り添い、個性に合わせて訓練する姿から、動物番組で人気だった畑正憲さんの愛称になぞらえ、「県警のムツゴロウさん」と呼ばれる。今後、専門技能を生かし、各地の警察本部などで指導にあたる。(松山春香)

 「動物が好きで、動物園の飼育員になりたかった」というが、警察官だった父に憧れ、1989年に県警に入った。警察学校で警察犬の俊敏な動きを見て感動し、鑑識課の警察犬係を志す。93年に初めて担当して以来、異動を挟みながら計19年間、10頭の警察犬とペアを組み、事件や救助などで現場に出場した回数は約2900回に上る。

広域技能指導官に選ばれた横野さんとエルフ号(神戸市中央区で)
広域技能指導官に選ばれた横野さんとエルフ号(神戸市中央区で)
兵庫県警察本部
兵庫県警察本部

 訓練は、いつ起きるか分からない事件や事故を想定し、時間を決めずに実施する。早朝や夜間に行うこともある。「犬は、経験したことのない物事に対して臆病になる。能力を最大限に発揮させるには、いろいろな経験を積ませる必要がある」。捜索対象者の服装や移動経路などの条件を変え、足取りを追う練習を重ねる。

 そして、最も大切しているのは、犬と心を通わせることだ。

 人間と同じように、警察犬も体調を崩すと力が出ない。昼休みには体をくっつけて一緒に昼寝をしながら、体調に気を配る。訓練に集中できていないと感じれば、すぐに切り上げて一緒に遊ぶ。“一人”になりたがっていると察したら、そっとしておくこともある。

 同僚からは「犬と会話ができるみたい」「県警のムツゴロウだ」などと言われる。「適度な距離を保ちながら、一緒に過ごす。子どもと接する時と同じだと思う」と笑う。気持ちが分かるからこそ、現場で警察犬の動きがゆっくりになるなどの小さなサインを見逃さず、手がかりの発見につなげることができるという。

 ペアを組むシェパード「エルフ号」(雄6歳)とも息はぴったり。西宮市で昨年7月、行方不明になった高齢男性を警察官が数時間、捜しても見つからず、横野さんに声がかかった。エルフ号は男性の寝具のにおいを手がかりに、わずか5分で自宅から約150メートル先の植え込みに倒れている男性を見つけた。「エルフが『もう少し捜したい』という合図で行ったり来たりする動きに気づくことができて、発見につながった」と振り返る。

 今後は、指導官として各都道府県警や警察学校で講義や実技指導にあたる。「犬を理解するには、家で家族と過ごすように普段から触れ合い、観察することが大切。どんな環境でも警察犬が活躍できるように、自分の知識や経験を還元していきたい」と意気込む。

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