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2019年に開催された国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の実行委員会(会長=大村秀章・愛知県知事)が、名古屋市を相手取って未払いの負担金約3380万円を支払うよう求めた訴訟の判決が25日、名古屋地裁であり、岩井直幸裁判長は請求通り、市に全額の支払いを命じた。

判決によると、市は19年、芸術祭にかかる経費約1億7100万円を負担すると決定。大半を実行委に支払ったが、20年に「事情の変更により特別の必要が生じた」として残りを支払わないと通知、支払いを拒んだ。
河村たかし市長は、いわゆる従軍慰安婦を象徴する少女像などの展示が国民に不快感を与える「ハラスメント」に当たり、公共事業として実施されたのに政治的中立性を欠くなどとして、不払いの判断は正当だと主張していた。
岩井裁判長は「芸術祭は公的側面を有するが、あくまで実行委が開くもので公共事業とは言えず、ハラスメントとも言うべき作品であるとまで断定できない」と退け、「事情の変更により特別の必要が生じた」時に該当しないと結論づけた。
25日夜、記者団の取材に応じた河村市長は「芸術祭が公共事業であるという大前提を事実誤認した、司法の信頼が大きく揺らぐとんでもない判決だ。市民を守る観点からしっかりと対応したい」などと述べ、控訴を前提に弁護士と協議する考えを示した。