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北海道・知床半島沖で乗客乗員26人を乗せて沈没した観光船「KAZU I(カズワン)」は27日未明に作業台船「海進」の甲板上に引き揚げられ、同日午後2時45分、陸揚げのため網走港に到着した。

網走港では午後2時頃、うっすらと雲のかかった知床連山を背景に、早潮丸にえい航された海進が姿を見せた。港は波しぶきが立つほどの強風で、カズワンの船体を覆ったブルーシートも激しくはためいていた。木製とみられる台座に置かれた船体は、ロープで何重にも巻かれ、甲板に固定されていた。シートの隙間からのぞいた前方の窓や左側のドアは板でふさがれていたが、約1か月、海底に沈んでいた船体に激しい損傷や汚れは確認できなかった。カズワンは船体の水抜き後、陸上に移され、事故原因の解明に向け、本格的な調査が開始される。
港近くで作業を見守った網走市の無職女性(80)は、「このような形で観光船が戻ってきたのは、気の毒でならない。乗客家族が納得できるように、きちんと調べてほしい」と願った。
斜里町ウトロの現地対策本部の中山展宏・国土交通副大臣は、船体が一度、海底に落下したことを踏まえ、「事故原因の究明の第一歩だから、陸揚げ(の作業)をしっかり慎重に行ってもらいたい」と話した。
行方不明者の捜索に参加した漁業者の古坂彰彦さん(63)は「何とか無事に引き揚げてほしいと、テレビで(作業を)見ていた。早く原因究明につなげてもらいたい」と願った。