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カフェや銀行、病院などに本棚を置き、無料で本を貸し出す「まちじゅう図書館」と題するプロジェクトが香川県琴平町で進んでいる。同町には公立図書館がなく、街角に本棚を並べ、町全体を図書館にしようという取り組みだ。開始から今年で5年。「小さな図書館」は24か所に上り、読書を身近なものにしている。(浦西啓介)

町中心部の商店街にある交流施設「ちょっとこ場」。まちじゅう図書館の活動拠点の本棚には、漫画「じゃりン子チエ」や「シートンどうぶつ記」といった子ども向けから、東野圭吾さんや宮部みゆきさんら人気作家の小説、「歌舞伎入門」など地元にちなんだ多彩な本が並んでいる。
「公立図書館がないと、地域の歴史や文化を調べることも難しい。ここには気軽に読んでもらえるだけでなく、郷土史関連の本もそろえることで、公立図書館の役割も担えるようにしたんです」。プロジェクトを発案した嶋田貴子さん(60)はそう言って本棚を見つめた。
高松市出身の嶋田さんは1996年、この町に引っ越してきた。当時、小学生だった息子2人に読ませる本を借りるため、2週間に一度、車で20分ほどかけて丸亀市立図書館に出向き、まとめて10冊借りる生活が続いた。
その後、司書の資格を取得し、坂出市立大橋記念図書館で働くように。夏休みになると、子どもたちが開館前から入り口で列を作り、開くと同時にお目当ての本を探し始める姿を見つめ、「琴平町にも図書館があれば」という思いを募らせた。
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