上司から送別会の「褒め言葉」で精神的苦痛、笑い誘う意図と国側は反論…国に6万円の賠償命令

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 送別会での「褒め言葉」として、上司から「多大なストレスを与えてくれた」と言われて精神的な苦痛を受けたなどとして、元航空自衛官の男性が国に165万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が9日、東京地裁であった。金沢秀樹裁判長は「許される限度を超えて違法だ」と述べ、国に6万円の賠償を命じた。

東京地方裁判所
東京地方裁判所

 判決によると、宮崎県内の航空自衛隊基地で勤務していた原告の男性が2017年3月、自身を含む退職者らの送別会に参加したところ、上司の施設小隊長が40~50人の参加者の前で「賞詞」を読み上げ始めた。

 当初は男性をねぎらう内容だったが、途中から「突然よくわからない発言をし、他の隊員に混乱と不安を招いた」「忙しいときに限って施設小隊長に多大なストレスを与え怒らせるなど、業務に及ぼした影響は大」とする言葉が続き、男性は訴訟で「侮辱された」などと主張していた。

 国側は「酒席の余興で、参加者の笑いを誘う意図だった」と反論。「酒席での冗談交じりの言動を違法と評価すれば、職場内の円滑なコミュニケーションを図れなくなる」として請求棄却を求めた。

 しかし、判決は「互いに冗談を言い合える間柄であれば許されるが、男性と小隊長とは上司と部下の関係で、特に親しくもない」と認定。「男性が感じた羞恥の程度は大きく、小隊長がからかったことは許されない」と判断した。

 さらに、男性が当初は参加を断っていたのに、別の上官から「主賓だから」と出席を求められていたと指摘。「送別会は職務と密接な関連性があった」として国の責任を認めた。

 井筒俊司・航空幕僚長は「国の主張の一部について、裁判所の理解が得られなかったと受け止めている。引き続き、適切な隊員指導に努める」とコメントした。

     ◇

 日本サービスマナー協会認定マナー講師の五十嵐由美子さん(61)は小隊長の行為について、「相手の気持ちを尊重せず、大勢の前で恥をかかせており、パワハラと言われても仕方ない」と指摘。「上司にとっては軽い発言でも、部下の心情を深く傷つけ、パワハラに該当する可能性もあり、自衛隊だけではなく、民間企業も含め注意が必要」と語る。

1

2

スクラップは会員限定です

使い方
「社会」の最新記事一覧
3071358 0 社会 2022/06/10 01:44:00 2022/06/11 12:22:02 2022/06/11 12:22:02 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/06/20220610-OYT1I50026-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)