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千葉県富津市富津の漁師

署によると、転落事故は4月21日午前7時50分頃、富津漁港にある桟橋で発生した。82歳の男性が軽トラックのアクセルを踏み間違え、桟橋の車止めを乗り越えて海に転落した。
魚介類の仲買人もしている大嵩さんは、貝漁を終えた船から「まもなく戻る」との電話を受け、桟橋で船が入港するのを待っていた。その時、「背後でものすごい音がした」という。振り向くと、軽トラックが前から海に落ちていた。
転落現場に近づき、男性が運転席のドアを開けて車の外に出たのを見た大嵩さんは、手にしていた漁船の係留用ロープを海へ投げ入れた。「5メートルぐらい先にいた男性がつかめる辺りにちょうど届いた。潮が満ちていて桟橋上から海面までが数十センチほどだったので、自分一人で引き上げることができた」と説明する。男性にけがはなかった。
救助した男性とは顔見知りだった。大嵩さんは当日、すぐ仕事に戻ったが、翌日になって男性から「昨日はありがとう」と礼を言われたという。大嵩さんは「もし潮が引いていたら海面との高低差が数メートルにはなるので、無傷ではいられなかっただろう」と振り返り、「周囲に誰もいなかった。たまたま自分が漁船を待っていてよかった」と笑顔を見せた。
大嵩さんに感謝状を手渡した富津署の竹嶋司署長は「自らの危険を顧みない勇気ある行動で人命を救助してくれた」とたたえた。