完了しました
参院選は22日に公示され、選挙戦は本番を迎える。物価の高騰、ロシアによるウクライナ侵攻、長引く新型コロナウイルス禍……。争点には待ったなしの課題が並び、それぞれの現場から切実な声が上がっている。
100円ショップ 努力限界

「安いうえに品ぞろえも良いので、いつも助かっています」。21日、東京都千代田区の100円ショップ「ビーワン」を訪れた会社員、小川雅弘さん(62)は、笑顔で話した。店内には、文房具やオフィス用品など数千種類の商品が所狭しと並ぶ。
円安に伴う原材料の高騰などを受け、ビーワンには4月以降、仕入れ先から連日、値上げを知らせるメールが届くようになった。20円以上、高くなった商品もあるが、価格には転嫁してこなかった。代わりに、商品を覆うプラスチックの包装をやめ、100枚入りだったポリ袋は80枚に減らして販売。工夫を重ねて値段を据え置いてきたが、それも限界に近付いている。
店の担当者は「物価がどこまで上がるか見通せない。国には、早急に歯止めをかける施策をとってもらいたい」と要望する。
原油価格高騰の直撃を受けているのが、プラスチックハンガーなど、多くの石油製品を使うクリーニング店だ。千葉市稲毛区の「野沢クリーニング店」では3月中旬から、代金の5~10%値上げに踏み切った。
スチームアイロンの燃料となる灯油の代金は今月、すでに昨年6月より7万円も増えている。社長の野沢勝義さん(74)は「売り上げの減少幅に応じて補助金を支給するなど、仕事が続けられるようにしてほしい」と話した。
避難民支援「本気度は」
ウクライナ侵攻
2月に始まったロシアの軍事侵攻後、ウクライナから日本に逃れてきた避難民は、今月19日時点で1342人に上る。「短期滞在」(最大90日間)の在留資格で入国後、希望すれば国内で1年間の就労が可能な「特定活動」に切り替えられ、既に1064人が変更した。
約40人の来日を手助けした「ウクライナ学生支援会」(大阪市)によると、避難民の大半は母国で就いていた仕事の経験を生かせる職場を望むが、日本語能力を求められるケースが多く、かなったのはごく一部。代表の平岡憲人さん(55)は「言葉が就労のネックになっており、日本語教育を充実させるための支援を」と訴える。
「ウクライナ・日本の架け橋」(東京)の日本代表で、医師の海江田純彦さん(68)は「高齢の避難民の中には、言葉が話せず家に引きこもる人も多い。心のケアや就労、教育などの課題にどう取り組んでいくのか、本気度が試されている」と語り、選挙期間中の論戦に期待する。
飲食店 まだまだ苦戦
新型コロナ

21日午後7時、東京都新宿区の居酒屋「酒食三昧 紅梅」にいた客は1人だけだった。店主の吉沢輝治さん(72)は「コロナの前はいつも、お客さんの笑い声が絶えなかったのに」と、ため息をついた。
1952年にオープンした店で、2代目の吉沢さんは約50年前から
だが、コロナ禍で状況は一変。大学はオンライン授業になり、客足は半分以下に落ち込んだ。対面授業が再開し、昼の客は戻ってきたが、夜の惨状は変わらない。週に1度は、客がゼロの日がある。
吉沢さんは「自宅での飲酒が定着したためか、周りの店も夜は苦戦している。飲食店の利用を促す施策をもっと打ち出してほしい」と求めた。