民事の全判決、ビッグデータ化へ…紛争解決への活用目指し法整備議論

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 民事裁判の全判決をビッグデータとして活用できるようにするため、法務省が新たな仕組み作りに乗り出すことがわかった。近く省内に有識者会議を設け、必要な法整備を議論する。膨大なデータに基づいた判例分析を可能にし、紛争の早期解決や予防などにつなげる狙いがある。

 司法統計によると、最高裁から簡裁まで全国の裁判所が2019年に言い渡した民事裁判の判決は約20万件。社会的に注目を集めた判決や先例として重要なものは、裁判所がホームページに載せたり、判例雑誌に掲載されたりしているものの、全体の数%にすぎない。活用の場面も主には法曹界や研究者による調査・研究などで、限定的だった。

 新たな仕組みでは、各裁判所が言い渡した判決を公的な「情報管理機関」に集約。同機関でデータベース化し、原告ら訴訟当事者の個人名や住所、生年月日などを伏せた後、利用者に提供してビッグデータとしての活用を見込む。今は「手作業」で行われている個人情報のマスキング処理には人工知能(AI)を利用し、効率化と迅速化を図る。

 データの利用者は、損害賠償請求訴訟で認められる賠償額や、争点ごとに裁判所が重視するポイントといった事柄を分析できる。これにより、裁判の展開を予測したり、提訴や和解などの判断材料に使えたりする可能性も出てくる。

 現在は裁判所が判決を外部に一括提供するルールがないため、実現には新法の制定が不可欠だ。情報管理機関の位置付けや情報漏えい対策を整えるほか、データを直接国民が閲覧できるようにするのかを含めて、利用者の範囲を定める必要もある。訴訟当事者のプライバシーを保護しながら、データの価値を維持するマスキング処理を実現できるかも課題になる。

 有識者会議では法整備のあり方に加え、こうしたテーマも議論される見通し。民事裁判は今年5月、全面IT化を実現する改正民事訴訟法が成立し、これまで紙で作成されていた判決を電子データ化する規定が盛り込まれた。法務省はこの規定が施行される25年度に新法の制定・施行を合わせたい意向だ。

 内閣官房の連絡会議は20年3月、「民事裁判の判決は、より広く国民に提供されるべきだ」との考え方を提示。法学者らが参加する公益財団法人「日弁連法務研究財団」の検討会が議論を進め、今月、「法整備を早期に行うべきだ」との提言をまとめていた。

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