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今年に入り、秋田県内で特殊詐欺の被害が急増している。5月までに確認された被害件数は前年同期と比べて倍増し、被害額も7倍以上に膨れあがっている。手口が多様化し、被害が幅広い年代に広がっているのも特徴で、県警は注意を呼びかけている。

県警によると、今年1~5月の特殊詐欺被害は22件(前年同期比13件増)で、被害額は4829万円に上る。特に被害額は前年同期の677万円と比べ、7倍以上になっている。
形態別の被害額をみると、未納料金などの名目で支払わせる「架空請求詐欺」が4106万円(同3548万円増)と大幅に増加した。還付金の払い戻しなどをかたる「還付金詐欺」も449万円(同349万円増)に上り、自宅を訪問して偽のカードとすり替える「キャッシュカード詐欺盗」も増えている。
県警組織犯罪対策課によると、架空請求詐欺では、電話で現金自動預け払い機(ATM)に誘導して金を振り込ませるだけでなく、電子マネーを購入させるなど手口が多様化している。高齢者だけでなく、若者にも被害が拡大している。
若年層では、アダルトサイトの閲覧費用の支払いを求められる事例が目立つ。被害者は見たかどうかはっきりしなくても、詐欺グループから「払わなければ裁判になるかもしれない」などと言われると、後ろめたさから金を払ってしまうケースがあるという。
同課の伝野幸衛次長は、「自分はだまされないと思っていても、犯人側は巧みな言葉で、被害者の良心を利用しながら、不安感をあおってくる」と指摘する。その上で、被害を最小限に食い止めるため、電気・ガス料金の引き落としなどに使う生活口座の預貯金額を普段から必要最小限にしておくことを推奨している。
また、被害に遭わないためには、「留守番電話に設定するのが効果的。口座番号など個人情報を尋ねる電話があったら、すぐに電話を切って、家族や知人、警察などに相談してほしい」(伝野次長)と呼びかける。
アダルトサイトの閲覧などで知り合いに相談しにくい場合は、最寄りの警察署に電話することをすすめる。「警察は無理に相談者の名前や連絡先を聞き出すことはしない。匿名でも相談を受け付けているので安心して電話をしてほしい」と話す。