自覚なく「カスハラ」していませんか…職員疲弊「強いストレス7割」の札幌、ポスターで市民に問う

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 客などから理不尽な要求やクレームを突きつけられる「カスタマーハラスメント」(カスハラ)が自治体にも広がっている。職員の被害を受け、札幌市は今月から全国の自治体としては初めて啓発ポスターの掲示を始めた。(橋爪新拓)

9割が「ストレス」

 「過度な要求に職員も疲弊していて、心身に不調をきたしてもおかしくない」

 市民の声を聞く課の木村弘毅課長は、現状に危機感を募らせている。同課は市政に関する困りごとなどについて職員が電話やメール、面談などで対応する専門部署。1日30件ほどの「訴え」が届くが、最近は嫌がらせや過度なクレームが絶えない。数時間居座って関係のない話を続けたり、「このくらいは当然だ」「SNSに投稿する」といった言葉を浴びせられたりするケースもあるという。

札幌市の相談窓口に掲示されたカスハラ防止のためのポスター
札幌市の相談窓口に掲示されたカスハラ防止のためのポスター

 市が1月に窓口で対応する職員の実情を調査したところ、回答した42人のうち、「強いストレスを感じている」としたのが7割、「軽いストレス」を含めると約9割に上った。結果を踏まえ、市では今月から市役所本庁舎や区役所でのポスター貼りだしのほか、相手に説明した上で通話の録音を試行的に始めた。

 木村課長は「ポスターを見て『カスハラじゃないか』と見つめ直す機会になれば」と話す。

全国でも問題に

 こうした被害は全国的に問題になっている。2020年に自治労が全国の自治体や病院の職員などを対象に行った調査では、約1万4200人のうち、半数近くが過去3年間に被害を受けたと回答。影響で6割近くが「出勤がゆううつになった」と訴え、「眠れなくなった」という職員も約2割いたという。

 深刻な実態に自治労は「言い返すことができず、弱い立場にある公務員は狙われやすい。国や首長が 毅然きぜん とした対応を取って被害を防ぐことが必要だ」と指摘する。

 対策として、岡山市では23年度から5年間の「市消費者教育推進計画」でカスハラを「新しい課題」に位置づけた。適正な声を抑制しないよう配慮しながら、「正しい理解に向けた取り組みを進める」とする。

 福岡県警では今年5月、カスハラに当たる可能性がある行為が確認された場合、幹部職員に判断を仰ぎ、警告したり、対応を打ち切ったりするとした「要領」を作成。6月には正当な理由なく警察署に居座り続けた無職の男を不退去容疑で現行犯逮捕している。

業種問わず被害 執拗に電話 土下座要求

 北海道勤労者安全衛生センター(札幌市)が昨年11月~今年2月に初めて行った道内の調査では、業種を問わずカスハラ被害を受けている実態が明らかになった。

 連合北海道に加盟する自治体や製造、運輸など20業種が対象で、2541人が回答し、約6割がカスハラ被害にあったとした。迷惑行為をした人の性別では、男性が75.7%、女性が22.2%。推定年齢は50歳代(31.1%)が最も多く、次いで60歳代(26.8%)、40歳代(17.7%)と続いた。

 具体的な被害には「何度も 執拗しつよう に電話をかけてくる」(交通・運輸)、「土下座しろと要求される」(商業・流通)、「自身や家族を『包丁で刺すぞ』と何度も言われた」(公務員)といったものがあった。

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