ばあさんは15歳

  • ばあさんは15歳 第261回

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     まして便利な渋谷のマンションで一人暮らしを始めたら、あのばあさんのこと、好き放題の生活をするに決まっている。菜緒をお目付役として送り込むのは悪くないアイディアだ。「いや、しかしそれは……」と小さく抵抗する伸次を差し置い…
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  • ばあさんは15歳 第260回

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     そして菜緒はある日、覚醒した。天啓と呼んでもいい。新型コロナウイルスがある程度収束の兆しを見せた頃、テレビのドキュメンタリー番組に映し出された医療従事者の決死の活躍ぶりを見て、身体(からだ)中に鳥肌が立ったのだ。 「め…
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  • ばあさんは15歳 第259回

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     あれから四年の歳月が過ぎた。二〇二三年の、今は夏である。今年も猛暑の予想が出ている。梅雨が明けたとたん、連日四十度を超える暑さだ。地球の温暖化はちっとも止(や)む気配がない。 菜緒はこの年の春、大学入試にまたもや失敗し…
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  • ばあさんは15歳 第258回

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     「遠慮しないで。チャーハンでよかったらすぐできるわよ」 「え?」と思わず反応したが、すぐさま否定する。 「いえ、ホントに大丈夫です」 「そうだ、冷凍の餃子(ギョーザ)も少し残ってたはず。餃子なら軽くて食べやすいから。ど…
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  • ばあさんは15歳 第257回

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     なぜこの家の家族がタイムスリップに動じないのか。長年、せっちゃんが家族に教え聞かせてきたせいだったのだ。 しかし、菜緒が確認したいのはそちらではない。菜緒はもう一度、大きく咳払(せきばら)いをして場を仕切り直す。 「つ…
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  • ばあさんは15歳 第256回

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     せっちゃんの懐かしい声色が頭の上で響いた。まもなく菜緒は顔を上げる。そして勇気を振り絞る。 「それはつまり、私の書いた手紙を読んで、岩手に逃れたってわけじゃなく?」 「ん?」 「だからその、私が手紙に書きましたよね。大…
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  • ばあさんは15歳 第255回

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     「じゃ、音信不通になっていたのは、借金してたからなんですか? 洪水は? だって、ばあさんの話によると、せっちゃんの家族は羽越豪雨で死んじゃったって、東京ではみんな信じてたみたいですよ」 するとせっちゃんは驚く様子もなく…
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  • ばあさんは15歳 第254回

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     「借りるときは簡単に返せると思うんだけど、それが大間違い。菜緒ちゃんも、今後どんなにお金に困っても、変なところで借りちゃダメよ。人生が台無しになっちゃう」 そう言いながらせっちゃんは、夏穂(なお)の母親が焼いたスイート…
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  • ばあさんは15歳 第253回

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     「若いあなたの前でこんな話をするのはどうかと思うけれど。実は主人が私とは別の女の人とお付き合いをしていたことがわかって。主人はそのことを長い間私に隠してたんですけどね。でもある日、バレたの。私が乳癌(にゅうがん)だと宣…
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  • ばあさんは15歳 第252回

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     そう言われると、食べてみないわけにはいかない。 「いただきます」 ぺこりと頭を下げて菜緒も一つつかむ。口に入れる。 「うわ、おいしぃー!」 「ね! よかったわ。菜緒ちゃんに気に入ってもらえて。ウチのお嫁ちゃん、料理も上…
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  • ばあさんは15歳 第251回

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     笑いながら夏穂(なお)の母親はそそくさと立ち上がり、「ではごゆっくり」と高い声で挨拶(あいさつ)して玄関へ消えた。「じゃ、あとでね」と夏穂も手を振りながら母親のあとに続く。せっちゃんと二人だけで話がしたいといった菜緒の…
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  • ばあさんは15歳 第250回

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     「へえ……」 とりあえず曖昧に答えておく。そのとき、 「お邪魔しまーす」 玄関で声がして、ぷっくりした体つきの背の高い女性が紙袋をぶら下げて廊下から現れた。 「ママ、この人が菜緒ちゃんでーす。バアバが十七歳のとき、バア…
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  • ばあさんは15歳 第249回

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     「さあさ、お上がりくださいな」 せっちゃんはここに住んでいたのか。 「マンションっていうのは、どうも息苦しくて。この家は築三十年以上経(た)ってるから、ご覧のとおりボロボロでね。そのスリッパ使って。冬なんかすきま風だら…
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  • ばあさんは15歳 第248回

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     この親子にとってタイムスリップはごく普通のことなのか。実はこの家族も他の時代からタイムスリップしてきた人たちだったりして……。菜緒は後部座席から、前に並んで座る二人の動きをじっと観察する。 観察の結果、タイムスリップに…
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  • ばあさんは15歳 第247回

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     さんざん考えた末、菜緒はせっちゃんと会う覚悟を決めた。まず夏穂(なお)にLINEをし、おばあさんと折り入って二人だけで話がしたいのですがお宅に伺ってもいいですかと聞いてもらう。 高校生の兄が二人いる末っ子で人見知りだと…
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  • ばあさんは15歳 第246回

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     ムッとして睨(にら)み返すと、西原の分厚い唇が緩み始めている。確実に興味しんしんだ。菜緒は萎えてきた。やはり話さないほうがいいか。しかし、誰かの意見は聞いてみたい。 「だから……。もう少ししたら大洪水が来るかもしれない…
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  • ばあさんは15歳 第245回

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     セルヴァンでの酔っ払い告白大会のあと、二日酔いはさておいて、ばあさんはすっかり心が晴れたように見えた。いちばんの懸案であったたか坊のことについてせっちゃんと言いたい放題ぶつけ合うことができたおかげで、今度こそ本当に積年…
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  • ばあさんは15歳 第244回

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     「……ちょこっと酔ったくらい。お嬢様だってだいぶ呂律(ろれつ)が回ってないですよ」 「あなたほどひどくはない!」 「ねえねえ、和(なごみ)お嬢様。でも結果的にはたか坊と結ばれて、ウメ徳を継いで、お二人で頑張られたわけだ…
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  • ばあさんは15歳 第243回

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     「あたしゃ、なにもいじわるで聞いてるんじゃないよ。なんで振られたのって聞いてるだけですよ」 「なんでって……。知りたいですか? だから、こうですよ。『僕は、せっちゃんのことは好きだ。大事な友達だと思っている。でも、いち…
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  • ばあさんは15歳 第242回

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     「あの人は四年前に他界しました。心筋梗塞(こうそく)で」 必要最低限のことしか言わない。しかしせっちゃんはすべてを納得したかのように俯(うつむ)いた。 「そうだろうと思っておりました。やっぱりお亡くなりになってたのね。…
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