• ばあさんは15歳 第171回

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     「そうか、都電に乗る手があるぞ」 菜緒は片手に風呂敷包みを抱えながら、都電が停まる場所を探す。 並木橋停車場。 「あった。ほら、ばあさん。あそこから都電に乗るよ!」 菜緒はばあさんを引き連れて、停車場へ向かう。まもなく…
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  • ばあさんは15歳 第170回

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     「なに言ってるの。帰り方知らないくせに。ダメダメ。今日、帰らないとダメなんだってば。今日が限度なの!」 菜緒が必死の形相で、手を上下させながら説得するが、ばあさんは木戸の両端を左右の手でつかみ、足を広げ、頑として動こう…
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  • ばあさんは15歳 第169回

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     「あら、どうしたの、菜緒ちゃん?」 勝子さんが菜緒に気づいて声をかけた。 「今日はおばあさんとお出かけかい?」 清子さんの声が続く。菜緒は「すいません」と頭を下げながら、作業場を小走りで通り抜ける。 「すいません……」…
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  • ばあさんは15歳 第168回

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     菜緒は思いつく。せっちゃんに借りていた真っ赤なスカートと白いブラウスを入れた風呂敷包みの中に隠しておこう。この部屋にはせっちゃん以外の人は掃除に来ないはずだし、きっとせっちゃんは、私たちが帰ってこないとわかったら、ここ…
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  • ばあさんは15歳 第167回

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     ようやく息ができるようになった菜緒がコップをお盆に戻しながら、 「ちょっと、忘れ物しちゃって。用事を済ませたら、また出かけますので。すみません」 「また出かける? 冗談じゃあないよ。あたしは出かけませんよ。もう疲れちゃ…
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  • ばあさんは15歳 第166回

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     「ウチに決まってるじゃない、この方角なんだから」 菜緒が思わず金切り声をあげたとき、 「どうしましたかあ?」 警察官が二人、近づいてきた。ヤバい! 「いや、何でもないんです。ちょっとウチに忘れ物しちゃって。急いで取りに…
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  • ばあさんは15歳 第165回

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     あらすじ せっちゃんは山口家のお手伝いをやめ帰郷した後、水害に遭い行方不明になっていた。ばあさんはそうならないよう歴史を変えようとしているらしい。だが、せっちゃんが東京に居続け、たか坊と結婚したら、自分が生まれなくなる…
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  • ばあさんは15歳 第164回

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     ミャオーと猫が一声鳴いて、二人を見送った。 表通りに出て、まだときおり冷たさの残る朝の風を受けながら渋谷駅に向かってしばらく歩くと、渋谷駅手前の大きな交差点の角に立つ建物を見上げ、菜緒は一瞬、身を引いた。 「なに、ここ…
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  • ばあさんは15歳 第163回

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     菜緒自身、この家に戻ってきたい気持は大いにある。しかし、この先、何が起きるかわからない。ポリ公がこの家に居座ってしまったら、戻ってこられなくなる。最悪、このまま東京タワーに直行できる準備もしておこう。忘れ物はないかしら…
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  • ばあさんは15歳 第162回

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     いつも口数の少ないみど里さんが、民話を語るおばあさんのように念を押しながら訥々(とつとつ)と語りかけるので、菜緒は大きく頷(うなず)いた。 「わかってますよ、みど里さん。恨んだりしませんから大丈夫!」 笑って返し、そっ…
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  • ばあさんは15歳 第161回

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     「じゃ、あたしは先に寝ますよ。電気、消していいかい?」 「いいよ。スタンドの明かりで大丈夫」 菜緒が答えた直後、ばあさんの顔がすぐそばに来ていた。 「ああ、びっくりした!」 菜緒はまたもや慌てて便箋を両腕でおおう。 「…
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  • ばあさんは15歳 第160回

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     「とりあえず……、避難しよう! 朝のうちに出かけて、途中で公衆電話から電話を入れてときどき様子を窺(うかが)ってさ。お巡りさん来ましたかって。それで大丈夫そうだったら、戻ってくればいいじゃん」 思いつくまま言葉にして、…
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  • ばあさんは15歳 第159回

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     「何してるんだい、そんなとこで?」 風呂から出てきたばあさんが、浴衣姿で菜緒のそばへ近づくと、上から覗(のぞ)き込んだ。たちまち菜緒は便箋に両腕を乗せ、隠す仕草をした。 部屋の隅に置かれた小机に向かうのは、この家に来て…
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  • ばあさんは15歳 第158回

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     せっちゃんが振り向いて、ニッコリ笑った。 「少し元気になった?」 菜緒に優しく声をかける。菜緒は無言で頷(うなず)くと、せっちゃんに近づいた。 「ちょっと手紙を書きたいんですが、便箋と封筒を貸してもらえないでしょうか」…
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  • ばあさんは15歳 第157回

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     「おばあさん、心配しないで。大丈夫ですよ。私たちが守ってあげるから」 和(なごみ)の手がばあさんの肩にそっと置かれた。ばあさんがビクッと身体を震わせる。 「そうだよ。大丈夫さ。あたしんどぎも、和お嬢様やこのウチの方がみ…
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  • ばあさんは15歳 第156回

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     そのとき、階段を駆け上がってくる足音がした。次は誰だ!? 菜緒とばあさん、治子ねえさんとみど里さんが互いに顔を合わせる。そこへ、 「治子さん、みど里さん。もう大丈夫。お巡りさんは帰ったよ」 開いていたふすまの外に顔を現…
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  • ばあさんは15歳 第155回

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     「そうなったら完璧に歴史は変わっちゃうんです! 勝手にそういうことしちゃいけないんです! これはタイムスリップの鉄則なんだからね!」 「鉄則? 誰が決めたんだい?」 「誰がって、常識でしょう、そんなこと!」 菜緒がとう…
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  • ばあさんは15歳 第154回

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     「で、話を戻すとね」 菜緒が居ずまいを正して改めてばあさんに話しかけた。 「なんだよ。あたしゃ、お風呂行きたいんだから」 ばあさんが迷惑そうに顔をゆがめた。 「あと三分で終わるから。あのさ、ばあさんがせっちゃんを死なせ…
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  • ばあさんは15歳 第153回

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     「どうだろうねえ」とはぐらかしながらもばあさんは、 「アイツ、相変わらずシーチョーで、スカしやがって。久しぶりに会ったけど相変わらずいけ好かないヤツだね。あんないい加減な生き方がいつまでも通用するから不思議だよ。どうし…
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  • ばあさんは15歳 第152回

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     菜緒が改めて問うと、 「ああ……」 ばあさんは花札を畳の上に一枚ずつ並べながら、 「花札占い」 「占い? ばあさん、占いなんかできたっけ?」 「あんなのはどうとでも言えるんだよ。どのカードが出たって、それなりに理屈つけ…
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