ばあさんは15歳

  • ばあさんは15歳 第85回

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     「なんかわからんけど、長い髪の女性のそばに行ってはならない、さもないと取り返しのつかない不幸があなたの身の上に降りかかりますって言うんだ」  「嫌だわ。詐欺かなんかじゃないの?」  「いや、金を要求するわけじゃないんだ…
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  • ばあさんは15歳 第84回

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     「うーん、迷うなあ……」  菜緒はメニューに目を走らせながらも、ときどきせっちゃんの顔を窺(うかが)った。声の溌剌(はつらつ)さや親切なところは、家にいるときと変わりない。でも何かが違う。菜緒はハチ公前で会ったときから…
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  • ばあさんは15歳 第83回

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     「菜緒ちゃん、好きなとこ、座って! コートはあっちに掛けてね」  せっちゃんに言われ、菜緒は入り口近くのコート掛けに向かって走った。コートをフックに掛けながら振り向くと、せっちゃんがキッチンから出てきたエプロン姿のスリ…
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  • ばあさんは15歳 第82回

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     とにかくこのご恩はどこかでお返ししよう。どうやってお返ししようかと考えながら、菜緒は振り返り、車窓から外を眺めた。四ツ谷駅を過ぎたあたりから、外濠(そとぼり)に沿って続く桜並木が美しい。この二日間で一気に開花が進んだよ…
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  • ばあさんは15歳 第81回

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     驚きの連続に興奮していた菜緒は、電車に乗って一息ついて、しばらく黙って揺られるうち、じわじわと不安が募ってきた。  出かけるのはいいけれど、そこにかかる経費をどうやってまかなうか。菜緒の財布に使えそうなお金はもはやわず…
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  • ばあさんは15歳 第80回

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     なにしろ電車に乗る方法がまったく違うのだ。スイカやパスモのようなものはどうやら存在しないらしい。自動券売機も見当たらない。せっちゃんに促され、中に人のいる窓口で、厚紙でできた切符を買い、さらに改札口へ向かうと、改札ボッ…
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  • ばあさんは15歳 第79回

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     「まったく。オリンピックまでずっとこの状態が続くのかしら。うるさいわねえ」  「オリンピック?」  菜緒が首を前に突き出した。  「あら、菜緒ちゃんったら、まさか知らないってことはないわよね? 来年の秋に東京でオリンピ…
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  • ばあさんは15歳 第78回

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     「はああ……」  菜緒は口を半開きにして、せっちゃんの頭の先から白い中ヒールの足元までを視線で二巡した。  「変? あたし」  せっちゃんが眉尻を下げて心配そうに菜緒の顔を覗(のぞ)き込んだので、菜緒は焦った。  「ぜ…
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  • ばあさんは15歳 第77回

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    あらすじ 1963年(昭和38年)にタイムスリップしてしまった菜緒とばあさん。ばあさんの実家の仕出し屋を手伝いながら、周りの人たちになじんでいく菜緒は、お手伝いのせっちゃんから、神楽坂の喫茶店に遊びに行こうと誘われる。…
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  • ばあさんは15歳 第76回

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     黄色い電車がビルの壁面にまっすぐ吸い込まれていく。しかも地上よりはるかに高い位置である。  「あれって、もしかして、銀座線?」  菜緒は思い出した。四歳か五歳の頃だったと思う。ばあさんに連れられて渋谷駅まで買い物に来た…
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  • ばあさんは15歳 第75回

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     勝子さんの横から同じ顔が笑いながら現れて、「楽しんできな」と菜緒の肩をポンと叩(たた)いて通り過ぎていった。「ありがとうございます、清子さん」と礼を言うと、振り返らずに手だけ振って、  「あたしは勝子だよ」  ……とい…
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  • ばあさんは15歳 第74回

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     タイムスリップ三日目の朝、菜緒が別棟一階の洗い場で朝ご飯の後片づけをしていると、せっちゃんが走り寄ってきた。  「私、買い物があるので先に出るから、十一時に渋谷駅のハチ公前で会いましょう。ハチ公前ってわかる?」  「は…
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  • ばあさんは15歳 第73回

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     やめてよね……。菜緒が自分の妄想を振り払い、視線を夜空から東京タワーに戻したとき、  「そうだ!」  突然、ひらめいた。  明日、せっちゃんと出かけたついでに、東京タワーへ行ってみよう。もしかして平成に戻る手がかりが見…
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  • ばあさんは15歳 第72回

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     ばあさんが立ち上がり、タオルと着替えを持って部屋を出て行った。ふすまが閉まり、ばあさんの足音が消えると、部屋が静まり返る。菜緒はまた窓の外へ視線を向けた。はるか向こうに東京タワーが光っている。が、菜緒が知っている平成時…
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  • ばあさんは15歳 第71回

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     「私には似合わなかったし。だからあんまり着なかったと思う。でも、おじいさまがわざわざ日本橋の三越まで行って買ってきてくれたから捨てるわけにもいかなくて。おじいさまが亡くなったあとにせっちゃんに譲ったのよ、たしか」  「…
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  • ばあさんは15歳 第70回

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     「へえ。でも面白い。私も今度、使ってみよっと」  「いや、それ、ばあさんの前で使うと罰金取られますよ。下品な言葉、使うなって、いっつも怒られるんです」  せっちゃんが一瞬、目を見開いて、  「罰金?!」  「はい」  …
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  • ばあさんは15歳 第69回

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     あるいはエプロンのヒモに引っかけてあった雑巾をつかみ、そこらへんを突如、さかさかと拭き始める。  「なんでってことはないんだけど。お友達を一人連れて行くって、先方に約束しちゃったの。でも、最初に連れて行くつもりだったお…
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  • ばあさんは15歳 第68回

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     勝子さんが顔をほころばせた。  「で? 明日も手伝ってくれるの?」  清子さんが肘で菜緒の脇腹を突っついた。  「明日ですか?」  どうなのだろう。明日も来ていいのだろうか。期待されるのは嬉(うれ)しいけれど、自分で決…
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  • ばあさんは15歳 第67回

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     今まで菜緒の後ろでひたすら黙々と、詰め終えた弁当を菜緒から受け取ると直ちに蓋をして、『ウメ徳』と書かれた薄い紙と箸を一膳のせ、さらに紙のヒモで手際よく包装作業をしていた清子さんが、ヒモを片手に近づいてきた。 「この人、…
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  • ばあさんは15歳 第66回

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     勝子さんが、さっきの昼休みとは打って変わった厳しい口調で菜緒に指導した。  「はい」  「詰め終わったら、後ろの清子の棚に一つずつ移動させて。清子が蓋して包装作業やるからね。そんで、こっちの台が空いたら、横に積んである…
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