• 夢幻 第232回 上田秀人

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     明智光秀は三好の襲来を摂津からと予想した。  「まず、摂津の守護として和田さまを」  「よいのか、和田は甲賀(こうか)の出であろう。摂津に縁などあるまい」  明智光秀の案に織田信長が危惧を覚えた。  土地に執着する武士…
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  • 夢幻 第231回 上田秀人

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     山科言継の要求は、朝廷の安全であった。  「足利義昭を討たせるわけにはいかない」  武家の頭領として君臨する足利将軍家だが、自前の軍勢を保持してはいない。  家臣も三淵藤英(みつぶちふじひで)、細川藤孝(ふじたか)の兄…
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  • 夢幻 第230回 上田秀人

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     天皇への崇敬、将軍への忠義。  日の本の武士ならば、全員が持っていなければならないものであった。  しかし、その両方が危うくなっていた。  そもそも天皇への崇敬は、国人以上、大名ぐらいでないと明確な形を取ってはいなかっ…
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  • 夢幻 第229回 上田秀人

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     今の世の乱れは、過去の朝廷に原因があると織田信長に言われた山科言継が肩を落とした。  「上総介よ。なんとかならぬか。たしかに我らの先祖が悪いと認めるゆえ。主上さまはなにもご存じではなく、ただひたすら天下の安寧を願ってお…
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  • 夢幻 第228回 上田秀人

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     公家は長く続いた戦乱で、全国にあった所領のほとんどを失って、落魄(らくはく)していた。  天皇の御料所でさえ、国人によって押領されている。  「即位ができぬ」  その困窮は、即位の礼さえできないところまで来ていた。  …
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  • 夢幻 第227回 上田秀人

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     数百石から数千石ていどでは、出せる軍勢にも限界がある。寄らば大樹の陰ではないが、どこかに守ってもらわなければ、明日にも滅びかねないのだ。  当たり前のことだが、土地に密着して生きている。国人にとって土地ほど大切なものは…
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  • 夢幻 第226回 上田秀人

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     京を支配するつもりはないという、織田信長の返答を聞いた山科言継が笑った。  「なにか、ほな、上総介はんは、まったくの善意で足利を助けたと」  「まったくの善意というわけではございませぬが」  信長が苦笑した。  「ほな…
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  • 夢幻 第225回 上田秀人

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     大名たちが織田信長を警戒し始めたのに比して、京の民たちの反応は鈍かった。  「織田……聞いたこともおへんな」  「尾張ですかいな。それはまた、辺鄙なところからおいやした」  京に住まう民たちは、洛中以外を田舎として、興…
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  • 夢幻 第224回 上田秀人

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     徳川家康、浅井長政の軍勢だけでなく、織田信長も麾下(きか)の部将を何人か本国へ帰した。  尾張と美濃を支配したとはいえ、国境を接する朝倉、伊勢長島の一向一揆など、周辺に紛争の火種は残っている。  足利義昭を奉じての上洛…
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  • 夢幻 第223回 上田秀人

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     新たな征夷大将軍が誕生した。  だが、それは天下の安寧に繋がらなかった。  織田信長が率いる軍勢も、畿内を完全に制圧したわけではなく、三好三人衆に率いられる阿波(あわ)三好家の勢力は、まだ大きい。  摂津はまだしも、河…
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  • 夢幻 第222回 上田秀人

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     幸い、今回は比叡山も敵に回らなかった。  「六角が一日で……」  昨今、浅井の勢力拡大で往事の力はないが、長年近江を支配してきた六角氏である。一代の英傑といわれた先代三好長慶でさえ、攻めあぐんだ六角氏ならば、相当の期間…
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  • 夢幻 第221回 上田秀人

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     上洛の障害を排除した織田信長は、永禄十一年(一五六八)七月、足利義秋あらため義昭(よしあき)を岐阜へ迎えた。  「上洛をいたすべし」  「はっ」  足利義昭の要請を受けた信長は、軍勢を起こした。  「不忠者を討ち、天下…
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  • 夢幻 第220回 上田秀人

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     永禄十年(一五六七)九月、織田信長の妹お市は、浅井新九郎長政(ながまさ)のもとに嫁いだ。  尾張一の美貌と謳われ、どこの誰が妻にするかと密かに競われていた市は、信長の思惑もあり長く手元に置かれていたため、二十一歳とかな…
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  • 夢幻 第219回 上田秀人

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     織田信長がまだ十歳になったばかりの嫡男奇妙丸をいろいろと連れ歩くようになったのは、かつての美濃領主一色龍興の影響であった。  「愚かにもほどがある」  佞臣(ねいしん)を生み出しただけでなく、それを寵臣として、諫言(か…
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  • 夢幻 第218回 上田秀人

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     生き残るには、それだけの努力と運が要る。桶狭間の合戦で勝利を掴んだ織田信長は、そのことを身に染みて知っていた。と同時に、その運を使えるだけの素養こそ大切だとも理解していた。  「わかったか」  軍議の席に信長は嫡男奇妙…
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  • 夢幻 第217回 上田秀人

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     かつて足利義秋がまだ近江にいたころ、六角氏、浅井氏、一色氏、織田氏に和睦を命じたことがあった。  足利義秋はこれらの勢力をもって、上洛し将軍宣下を受けようと考えたのだ。  「ご命とあれば」  尾張を統一し、本腰を入れて…
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  • 夢幻 第216回 上田秀人

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     上杉と武田が相争い、上洛の軍勢をおこせない。朝倉は東に一向一揆の国加賀があるため、そちらへの備えが要り、全力を出せない。近江の有力大名六角は、足利将軍家ではなく、三好に与している。  「残るは近江よな」  信長の目は京…
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  • 夢幻 第215回 上田秀人

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     隣に敵がある限り、油断はできない。足下を固めなければ、国はなかから崩れる。力のない名前は意味がない。  織田信長は、安寧の地を作るには、前に進み続けるしかないと悟った。  「吾一代ではとても届かぬ」  信長はため息を吐…
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  • 夢幻 第214回 上田秀人

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     美濃を獲ったからといって、織田信長の力は百万石を少しこえるていどでしかなかった。  近江と伊勢の一部を領する六角氏が五十万石、甲州と上州、信濃の一部を支配する武田氏の四十万石ほどと比すれば大きいが、京を支配している三好…
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  • 夢幻 第213回 上田秀人

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     織田信長が美濃の攻略に手間取っていた間に、天下は大きく揺らいだ。  今でこそ相(しょう)伴(ばん)衆(しゅう)という幕府の直臣になっているとはいえ、もとは管領細川家の重臣、すなわち陪臣に過ぎなかった三(み)好(よし)修…
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