• 夢幻 第292回 上田秀人

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     長島一向一揆は壊滅した。  じつに二万人もの信徒が焼き殺された。  「…………」  比叡山を思い出させる焼き討ちに、天下は息を呑んで、織田信長を怖れた。  「残るは石山本願寺」  信長は、石山本願寺の後詰めともいうべき…
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  • 夢幻 第291回 上田秀人

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     油断はしていなかった。  だが、武器を構えるわけにはいかず、なによりもさっさと織田の包囲を抜けたかった長島一向一揆勢は、襲いくる銃弾、降りかかる矢に対抗できなかった。  「ぎゃああ」  「助けて……」  たちまち血しぶ…
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  • 夢幻 第290回 上田秀人

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     長島城に入って、織田の攻撃に合わせ、裏切る。そう約束した篠橋城の一揆勢は、いつまで経っても動かなかった。  「父上っ」  織田信忠が信長を見た。  「わかったか。一向一揆は信じてはならぬ。いや、比叡山も同じであった。つ…
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  • 夢幻 第289回 上田秀人

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     織田によって占領されたところから逃げ出してきた一向宗徒まで受け入れた長島一向一揆は、たちまち兵糧不足に陥った。  「飢え死には嫌じゃ」  百姓にとって、田畑を捨てて城に籠もるのは、本意ではない。一揆もよほどのことがない…
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  • 夢幻 第288回 上田秀人

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     織田信長は、長島から撤収、畿内に残る足利義昭の残党ともいえる三好義継、松永久秀らへと矛先を変えた。  三好義継は足利義昭と義兄弟にあたる。そのため、京を追放された足利義昭を居城河内若江城へと迎え、信長へ叛旗を翻した。…
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  • 夢幻 第287回 上田秀人

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     朝倉と浅井を滅ぼした織田信長は、これを二度と裏切り者を出さないための見せしめとした。  朝倉義景、浅井久政、長政の首を信長は京で晒(さら)した。  さらに小谷城落城前に落とされた浅井長政が嫡男万福丸(まんぷくまる)を捕…
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  • 夢幻 第286回 上田秀人

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     羽柴秀吉は姉川の合戦以来、浅井家を抑える役目を担ってきた。  以来三年の間、浅井の家臣たちを寝返らせたり、砦を造ったりと苦労を重ねてきた。  そしてようやく、決戦となったのだ。この場にいて、相応の手柄を立てなければ、今…
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  • 夢幻 第285回 上田秀人

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     織田信長の予想はあたった。  大嶽砦に続いて丁野砦も落とした信長に怖れをなした朝倉義景が、軍を返した。  「今度は遅れるなよ」  奇襲に気づかず、寝ぼけていた部将を呼び出した信長が釘を刺した。  「よいな。今回で朝倉の…
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  • 夢幻 第284回 上田秀人

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     天正元年(一五七三)八月八日、織田信長は三万の兵を連れて、近江へ出陣した。  「まずは、浅井を小谷に押しこめる。途中で出てこさせるな」  信長は、まず浅井と朝倉の連絡を絶つことにして、山本山、月(つき)ヶ瀬(せ)、焼尾…
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  • 夢幻 第283回 上田秀人

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     若い男、それも大名といわれる武将の跡継ぎともなると、周囲の期待に応えなければならないという思いと自負が強い。  「父上、なにとぞ、ご同行をお許しくださいませ」  菅九郎信重は食い下がった。  「菅九郎よ。今回、朝倉を攻…
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  • 夢幻 第282回 上田秀人

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     勝ったとはいえ、足利義昭を殺すことはできない。織田の悪名を息子菅九郎信重に受け継がせるわけにはいかない。  織田信長は、足利義昭の息子義尋(ぎじん)を人質として要求したうえで、妹婿になる三好義継の河内若江(わかえ)城へ…
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  • 夢幻 第281回 上田秀人

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     謎に満ちた武田信玄の帰国の理由は、さほど日をおかず知れた。  「三年、吾が死を秘せ」  跡継ぎを心配したのか、征服した土地の叛乱を危惧したのか、武田信玄は死に瀕(ひん)して、そう遺言したと言われているが、人の口に戸は立…
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  • 夢幻 第280回 上田秀人

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     遠江を破竹の勢いで落とし、信濃、三河へと攻略の手を伸ばした武田信玄率いる軍勢が、突然引きあげた。  「なにがあった」  武田と対峙している徳川家康ならずとも、驚く。  「兵たちの士気は落ちていたか」  織田信長は、梁田…
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  • 夢幻 第279回 上田秀人

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     もう一つ、武田が動かない理由として思いつくのは、占領地の支配を確立するためというものであった。  比叡山を焼くような悪鬼羅刹たる織田を滅ぼし、将軍を助け、天下に善政を布(し)く。  どれだけ立派なお題目を並べたところで…
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  • 夢幻 第278回 上田秀人

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     またしても武田軍が動かなくなった。  二月の十日に三河野田城を攻略、城将菅沼定盈を捕虜とした武田信玄は、またしても行軍を停止、滞陣に入った。  「どういうことだ」  徳川家康から、さらには織田家が抱える忍、饗談衆(きょ…
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  • 夢幻 第277回 上田秀人

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     足利義昭に味方したため、家を焼かれた。昵懇衆の公家たちは、当然、その補償を足利義昭に求めたが、幕府にそれだけの金はない。  「建て直してくれるぞ」  織田信長の誘いに昵懇衆は落ちた。  「なにとぞ、勅をお使わしください…
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  • 夢幻 第276回 上田秀人

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     奇妙丸の元服から幾日、元亀四年(一五七三)二月、織田信長との決別をあきらかにした足利義昭は、近江の堅田城に磯谷新左衛門久次(いそがいしんざえもんひさつぐ)、石山城に山岡権大僧都景友(やまおかごんのだいそうずかげとも)ら…
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  • 夢幻 第275回 上田秀人

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     嫡男奇妙丸に織田菅九郎信重の名乗りを与え、元服させたのは、十七歳と遅かった。  次男茶筅丸が一年早く元服したのは、養子として押しこんだ北畠家が不穏な様子を見せたからである。北畠具教の娘雪姫と婚姻を約して、次期当主となる…
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  • 夢幻 第274回 上田秀人

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     武家の元服は厳かなものである。  元服をすることで一人前の武士として扱われるようになり、前髪を落とし、幼名を通称に、そして諱(いみな)を与えられる。  「奇妙丸。今後は菅九郎信重(かんくろうのぶしげ)と名乗るがよい」…
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  • 夢幻 第273回 上田秀人

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     勝ちにのって進むからこそ、軍は強い。一度止まると、その勢いは減る。  本来ならば、武田信玄も三方ヶ原の戦いで、織田、徳川の同盟軍を撃破した勢いをかって、浜松、そして三河、尾張へと進みたかった。  だが、武田信玄は遠江と…
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