• 夢幻 第333回 上田秀人

    会員限定
     織田信長が甲州派兵をしようと考えた天正八年(一五八〇)四月、正親町天皇の勅意を奉じる形で、石山本願寺が和睦を受け入れた。  「今後、織田とは争わず、信心にのみ生きる」  石山本願寺法主の顕如は大坂を離れ、紀州鷺森(さぎ…
    記事へ
  • 夢幻 第332回 上田秀人

    会員限定
     織田信長にとって娘婿の松平三郎信康の価値は、当初に比して大きく下落していた。  そもそも信長は徳川との同盟を強固なものとするために、娘を嫁がせた。  徳川との同盟が確立したとなれば、信長は背中を気にすることなく、美濃攻…
    記事へ
  • 夢幻 第331回 上田秀人

    会員限定
     北条氏政の臣従で織田信長の天下は、夢ではなくなった。  「東が楽になった」  信長は安堵していた。  「右近衛権少将(うこんえごんしょうしょう)も愚かなまねをした」  徳川右近衛権少将家康は、前年嫡男三郎信康を切腹させ…
    記事へ
  • 夢幻 第330回 上田秀人

    会員限定
     石山本願寺はかろうじて孤立を免れていた。  毛利が水軍を派遣して、石山本願寺に物資を補給してくれていた。  その毛利水軍が鉄甲船という新兵器を装備した九鬼水軍によって、駆逐された。  石山本願寺との陸路を確保しようと考…
    記事へ
  • 夢幻 第329回 上田秀人

    会員限定
     織田信長は、天上の間へ戻った。  「菅九郎の正室に皇女の降嫁を求めるには、それなりの地位がいる。少なくとも五摂家の嫡子と肩を並べるところまで行っておかねばの」  嫡子菅九郎信忠は、十一歳のとき武田信玄の六女松姫(まつひ…
    記事へ
  • 夢幻 第328回 上田秀人

    会員限定
     信長の考えた未来は、力と権威を織田家に集約し、永遠にこの国に君臨することであった。  「織田に従うことこそ正義、どうやっても織田には敵わぬという畏れ。これらをなしてこそ、織田は末代まで安泰となる」  余人に聞かせていい…
    記事へ
  • 夢幻 第327回 上田秀人

    会員限定
     織田が朝廷に代わって、天下の主になる。  力で天下を支配するだけならば、信長の代では少し難しいだろうが、信忠が成し遂げられるだろう。  毛利、上杉、北条と一つずつ潰していけば、五年ほどで奥州と九州以外は、織田のものにな…
    記事へ
  • 夢幻 第326回 上田秀人

    会員限定
     支配する側というのは、される側を管理したいと考える。  いつでも消せるかまどの火は便利だが、人智ではどうにもならない火山の噴火は始末に負えないのと同じように、朝廷は織田信長をなんとかして臣下のくくりにおこうとしていた。…
    記事へ
  • 夢幻 第325回 上田秀人

    会員限定
     朝廷が天下の権を失って久しい。  地方の荘園を野盗から守るために雇い入れた武士が、いつのまにか年貢を押領し、朝廷の支配から脱したことが原因である。  年貢が入ってこなくなり、生活が苦しくなった朝廷は、ときの権力者にすが…
    記事へ
  • 夢幻 第324回 上田秀人

    会員限定
     天下に織田家と互角の力を持つ大名はいない。  中国の毛利、九州の大友(おおとも)、小田原の北条、奥州の伊達、四国の長宗我部(ちょうそかべ)、そして越後の上杉。どれも大きな力を持つが、単独で織田と戦えるほどではなかった。…
    記事へ
  • 夢幻 第323回 上田秀人

    会員限定
     織田信長にとって、配下の部将が個別に裏切るくらいは、問題ではなくなっていた。  「余にできることはどこまでか」  信長はすでに次代を見ていた。  今川義元を迎え撃つために出陣した日にも舞ったように、信長は幸若舞敦盛(こ…
    記事へ
  • 夢幻 第322回 上田秀人

    会員限定
     謀叛というのは、天下を狙う武将にとって、恐怖であった。  信頼していた配下が、後ろから襲ってくる。戦場で敵と対峙している最中に、矛先を反転させる。宴席など油断しているところで襲いかかってくる。  背中に気をつけなければ…
    記事へ
  • 夢幻 第321回 上田秀人

    会員限定
     本願寺を封じ込めるはずが毛利水軍の妨害によって失敗、さらに上杉に敗退した。  織田信長はまたも危難に陥っていた。  「崩れたわけではない」  信長は平然としていた。  「石山本願寺を干殺しにすることはできなかったが、毛…
    記事へ
  • 夢幻 第320回 上田秀人

    会員限定
     右近衛大将(うこんえのだいしょう)という地位は、そうそう与えられるものではなかった。  源氏でなければ征夷大将軍になれないという慣例があるため、平氏を称する織田信長に幕府を開かせるわけにはいかない朝廷の、苦肉の策であっ…
    記事へ
  • 夢幻 第319回 上田秀人

    会員限定
     そもそも本願寺は世俗との折り合いをつけようとしていた。  王法為本(おうぼういほん)、すなわち現在の王に従い、政と秩序を助けることこそが仏法のなすべき道であるという考えを本願寺は守ってきた。  しかし、南無阿弥陀仏と唱…
    記事へ
  • 夢幻 第318回 上田秀人

    会員限定
     いかに足軽に交じっているとはいえ、織田信長の身につけている鎧は目立つ。雑賀の鉄炮衆がそれを見逃すはずもない。  幸い、動きが速かったお陰で鉄炮の弾は足を傷つけるだけで終わっていたが、一つまちがえれば、信長は討ち死にして…
    記事へ
  • 夢幻 第317回 上田秀人

    会員限定
     手勢だけで石山本願寺勢一万余りの軍勢に取り囲まれた天王寺砦の救援に駆けつけた織田信長は、河内若江城に入って後続を待った。  しかし、急な出立だったために、配下たちが追いつかず、信長の本陣には三千ほどしかいなかった。  …
    記事へ
  • 夢幻 第316回 上田秀人

    会員限定
     織田信長は、武田を駆逐した勢いを利用し、信忠の関東征討を助けるための書状を出した。  「長篠城へ攻め寄せた武田を打ち破った。大膳大夫一人を逃したが、すでにその勢威は地に墜ちた。これより秋田城介を将として、甲斐へ侵攻する…
    記事へ
  • 夢幻 第315回 上田秀人

    会員限定
     嫡男信忠に家督を譲ると宣言した織田信長は、さっさと岐阜城を出て、城下の佐久間信盛の屋敷へと移った。  「上様」  行くほうはいいが、受け入れるほうはたまったものではない。  長篠城を巡る戦いで武田を打ち破って以来、殿で…
    記事へ
  • 夢幻 第314回 上田秀人

    会員限定
     天正三年(一五七五)十一月二十八日、織田信長は正式に家督を信忠に譲ると天下に公言した。  「秋田城介(あきたじょうのすけ)に任じる」  織田の惣領となる信忠が無位無冠では困る。岩村城攻略の功績をもって、信忠は秋田城介に…
    記事へ
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 19

アクセスランキング

読売新聞購読申し込み_東京2020オリンピックパラリンピックキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
The Japan News
発言小町
OTEKOMACHI
ささっとー
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
挑むKANSAI
読売新聞社からのお知らせ