• 夢幻 第225回 上田秀人

    会員限定
     大名たちが織田信長を警戒し始めたのに比して、京の民たちの反応は鈍かった。  「織田……聞いたこともおへんな」  「尾張ですかいな。それはまた、辺鄙なところからおいやした」  京に住まう民たちは、洛中以外を田舎として、興…
    記事へ
  • 夢幻 第224回 上田秀人

    会員限定
     徳川家康、浅井長政の軍勢だけでなく、織田信長も麾下(きか)の部将を何人か本国へ帰した。  尾張と美濃を支配したとはいえ、国境を接する朝倉、伊勢長島の一向一揆など、周辺に紛争の火種は残っている。  足利義昭を奉じての上洛…
    記事へ
  • 夢幻 第223回 上田秀人

    会員限定
     新たな征夷大将軍が誕生した。  だが、それは天下の安寧に繋がらなかった。  織田信長が率いる軍勢も、畿内を完全に制圧したわけではなく、三好三人衆に率いられる阿波(あわ)三好家の勢力は、まだ大きい。  摂津はまだしも、河…
    記事へ
  • 夢幻 第222回 上田秀人

    会員限定
     幸い、今回は比叡山も敵に回らなかった。  「六角が一日で……」  昨今、浅井の勢力拡大で往事の力はないが、長年近江を支配してきた六角氏である。一代の英傑といわれた先代三好長慶でさえ、攻めあぐんだ六角氏ならば、相当の期間…
    記事へ
  • 夢幻 第221回 上田秀人

    会員限定
     上洛の障害を排除した織田信長は、永禄十一年(一五六八)七月、足利義秋あらため義昭(よしあき)を岐阜へ迎えた。  「上洛をいたすべし」  「はっ」  足利義昭の要請を受けた信長は、軍勢を起こした。  「不忠者を討ち、天下…
    記事へ
  • 夢幻 第220回 上田秀人

    会員限定
     永禄十年(一五六七)九月、織田信長の妹お市は、浅井新九郎長政(ながまさ)のもとに嫁いだ。  尾張一の美貌と謳われ、どこの誰が妻にするかと密かに競われていた市は、信長の思惑もあり長く手元に置かれていたため、二十一歳とかな…
    記事へ
  • 夢幻 第219回 上田秀人

    会員限定
     織田信長がまだ十歳になったばかりの嫡男奇妙丸をいろいろと連れ歩くようになったのは、かつての美濃領主一色龍興の影響であった。  「愚かにもほどがある」  佞臣(ねいしん)を生み出しただけでなく、それを寵臣として、諫言(か…
    記事へ
  • 夢幻 第218回 上田秀人

    会員限定
     生き残るには、それだけの努力と運が要る。桶狭間の合戦で勝利を掴んだ織田信長は、そのことを身に染みて知っていた。と同時に、その運を使えるだけの素養こそ大切だとも理解していた。  「わかったか」  軍議の席に信長は嫡男奇妙…
    記事へ
  • 夢幻 第217回 上田秀人

    会員限定
     かつて足利義秋がまだ近江にいたころ、六角氏、浅井氏、一色氏、織田氏に和睦を命じたことがあった。  足利義秋はこれらの勢力をもって、上洛し将軍宣下を受けようと考えたのだ。  「ご命とあれば」  尾張を統一し、本腰を入れて…
    記事へ
  • 夢幻 第216回 上田秀人

    会員限定
     上杉と武田が相争い、上洛の軍勢をおこせない。朝倉は東に一向一揆の国加賀があるため、そちらへの備えが要り、全力を出せない。近江の有力大名六角は、足利将軍家ではなく、三好に与している。  「残るは近江よな」  信長の目は京…
    記事へ
  • 夢幻 第215回 上田秀人

    会員限定
     隣に敵がある限り、油断はできない。足下を固めなければ、国はなかから崩れる。力のない名前は意味がない。  織田信長は、安寧の地を作るには、前に進み続けるしかないと悟った。  「吾一代ではとても届かぬ」  信長はため息を吐…
    記事へ
  • 夢幻 第214回 上田秀人

    会員限定
     美濃を獲ったからといって、織田信長の力は百万石を少しこえるていどでしかなかった。  近江と伊勢の一部を領する六角氏が五十万石、甲州と上州、信濃の一部を支配する武田氏の四十万石ほどと比すれば大きいが、京を支配している三好…
    記事へ
  • 夢幻 第213回 上田秀人

    会員限定
     織田信長が美濃の攻略に手間取っていた間に、天下は大きく揺らいだ。  今でこそ相(しょう)伴(ばん)衆(しゅう)という幕府の直臣になっているとはいえ、もとは管領細川家の重臣、すなわち陪臣に過ぎなかった三(み)好(よし)修…
    記事へ
  • 夢幻 第212回 上田秀人

    会員限定
     寵臣を重用し、功績ある家臣を遠ざける。  まさに亡国の典型を一色龍興はおこなっていた。  永禄六年(一五六三)四月、美濃攻略を進めるため、六千の兵を率いて越境した織田信長を三千五百と劣勢ながら敗走させた竹(たけ)中(な…
    記事へ
  • 夢幻 第211回 上田秀人

    会員限定
     森可成の話を聞いた織田信長は、納得した。  「吾も気をつけねばならぬの。織田も力でのし上がった家じゃ」  「ご当家は大丈夫でございましょう。先代一色左京大夫さまには、お一人しかお子さまがおられなかった。しかし、殿には三…
    記事へ
  • 夢幻 第210回 上田秀人

    会員限定
     斎藤道三、一色義龍、一色龍興と、戦国大名として三代を重ねた美濃の土台は腐り始めていた。  もちろん、腐り始めさせたのは織田信秀と信長の親子であった。  「やはり跡継ぎが問題だな」  信長は美濃を攻めながら、ため息を吐い…
    記事へ
  • 夢幻 第209回 上田秀人

    会員限定
     今川家の混乱に乗じて、岡崎城と領地を奪い返した松平蔵人佐元康もまた悩んでいた。  織田家同様、松平家もまさに四面楚歌であった。  もともと松平家は独立できる状態ではなかったことから、今川家の庇護下に入ったのだ。  その…
    記事へ
  • 夢幻 第208回 上田秀人 

    会員限定
     「息子に同じ思いをさせたくはない」  織田信長は小領主の跡継ぎとして、あらゆる苦労を経験してきていた。  同母弟を担いだ家臣たちによるお家騒動、岳父の討ち死に、家臣の裏切り、隣国からの侵略で、いつ死んでもおかしくはなか…
    記事へ
  • 夢幻 第207回 上田秀人

    会員限定
     織田信長の領土尾張は南を海に面し、東を三河に、北を美濃に、西を伊勢に接している。  信長は、その境を接しているすべての国々と仲が悪い。  つまり信長は、これ以上の勢力拡大を願ってどこかへ侵略しようとしたときに、残り二方…
    記事へ
  • 夢幻 第206回 上田秀人

    会員限定
     海道一の弓取り今川義元を討ち取った。  尾張半国の戦国大名でしかなかった織田上総介信長の名前を、天下に広めた。  「うつけが今川を……」  とくに信長と美濃の領有を巡って争いを続けている稲葉山城主一色義龍の受けた衝撃は…
    記事へ
  1. 1
  2. 3
  3. 4
  4. 5
  5. 15

アクセスランキング

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
The Japan News
発言小町
OTEKOMACHI
ささっとー
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ