• 任侠シネマ 第265回 今野敏

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     「だから、映画館なんだよ」  「は……?」  「自分の家で、DVDだのネット配信だので映画を観たって、そいつは日常の延長なんだ。だから、映画館に足を運んでしばし日常を忘れるってことだ」  「あ……」  日村は言った。「…
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  • 任侠シネマ 第264回 今野敏

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     そうなのだろうか。  日村が黙っていると、阿岐本は続けて言った。  「俺はさ、さっきテツの話を聞いて、感動したんだ」  「感動ですか?」  「大げさに言うとな、人は何のために生きてるかって話だ」  「はあ……」  それ…
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  • 任侠シネマ 第263回 今野敏

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     「はい」  「おめえの悪いところはそれだよ」  「はあ……」  それって、何のことだろう……。  「おめえは、何でもかんでも、こうしなきゃならねえとか、こうあるべきだとか、考えるだろう」  「そうでしょうか……」  自…
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  • 任侠シネマ 第262回 今野敏

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     「そうだな。『千住興業』が自分とこから金借りて、不採算部門の映画館にしがみついてほしいわけだ。映画館をやるには、今の社屋が必要だからな。そのうちに、さらに左前になっていって、いずれ土地ごと社屋を手に入れられたら御の字……
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  • 任侠シネマ 第261回 今野敏

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     「梅中仁志のやつは、その開発話を知っていたんだな……。政府との太いパイプを持っているようだから、やつがそういう情報を知っていても不思議はねえ」  「そして、その情報をもとに、自分が相談役をやっている『サイバーオン』を儲…
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  • 任侠シネマ 第260回 今野敏

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     「事務所には誰かいるのか?」  「真吉と稔は、張り込みです。健一とテツは帰らせました」  「じゃあ、おめえ一人だな?」  「はい」  「じゃあ、下りていく。ちょっと待っててくれ」  「はい」  電話が切れた。  それか…
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  • 任侠シネマ 第259回 今野敏

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     いくら働けと言っても無駄なやつもいるし、働くなと言っても仕事をしたがるやつもいる。  健一とテツが出ていき、事務所で一人になると、日村は阿岐本に電話した。  帰宅してから電話をすると嫌がられるかもしれない。それでも、大…
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  • 任侠シネマ 第258回 今野敏

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     懇談会の出席者の一人の談話という形で短い文章が掲載されている。その中に、たしかに「北千住再開発」という言葉がある。  日村は何度かその文章を読んで言った。  「これだけじゃ何のことかわからないな」  テツは何も言わない…
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  • 任侠シネマ 第257回 今野敏

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     日村は尋ねた。  「どうした?」  「ええと……」  テツは日村の顔を見つめた。何を考えているのかさっぱりわからない。  「何か見つけたのか?」  テツがこたえる。  「都市局都市再開発課なんですが……」  「トシキョ…
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  • 任侠シネマ 第256回 今野敏

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    18  午後九時過ぎに食事を終えて、香苗と船渡川が事務所を出ていった。それから、ほどなく、阿岐本も上の階の自宅に戻った。  テツはまたパソコンに向かっている。  日村はその姿を眺めながら思った。  やっぱりこいつはたいし…
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  • 任侠シネマ 第255回 今野敏

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     船渡川は難しい顔でうなずいた。  「そうかもしれません」  そのとき、インターホンのチャイムが鳴った。応対した健一が言った。  「『葉月庵』です」  阿岐本が言った。  「おう、ちょうどいい。方針が決まったところで、夕…
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  • 任侠シネマ 第254回 今野敏

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     船渡川が言った。  「そして、例の脅迫の件もあります。掲示板でああいうのを見ると、会員の心も離れていくでしょう」  阿岐本は何かに納得したように、何度もうなずいてから言った。  「ようやくわかりましたよ」  船渡川が怪…
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  • 任侠シネマ 第253回 今野敏

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     それを聞いて、阿岐本が言った。  「ようやく、テツの言うことがわかったような気がする。誰かがどこかで楽しそうなことをやっていれば、自然とそちらに足が向くってことだな」  「みんなの、そういうものに対する嗅(きゅう)覚(…
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  • 任侠シネマ 第252回 今野敏

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     「船渡川さんも、掲示板に書き込みしてくれますよね?」  香苗が念を押すような口調で言った。船渡川は、戸惑ったような様子でうなずいた。  「ああ……。まあ、書き込むだけなら……」  「『千住シネマ』についての、素直な思い…
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  • 任侠シネマ 第251回 今野敏

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     船渡川が言った。  「まだ、脅迫している連中が誰かわからないんだろう? そんなことを掲示板に書き込んでいていいんだろうか……」  阿岐本が言った。  「だからこそ、やるんですよ」  「え? だからこそ……?」  「こっ…
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  • 任侠シネマ 第250回 今野敏

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     テツが言う。  「ファンの会だから、今さら映画館に対する思いなんて書かなくていいとか、なんだか熱く語るのが照れくさいとか、あと、面倒くさいとか……。書き込む前にいろいろなことを考えてしまうんです。そういうのをナシにして…
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  • 任侠シネマ 第249回 今野敏

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     阿岐本はしばらく腕組みして考えていたが、やがて香苗に言った。  「お嬢、どう思う?」  「そうねえ……。ネットに書き込むのは簡単だし、ファンの会の人が映画館に集まるのは、それほど特別な感じはしないよね」  船渡川が難し…
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  • 任侠シネマ 第248回 今野敏

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     「だがな……」  阿岐本が言う。「ネットだけじゃなんだかもの足りねえ気がするんだがな……」  それに対して、テツが言う。  「ファンの会が『千住シネマ』で何か集まりをやればいいと思います」  「それって、イベントってこ…
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  • 任侠シネマ 第247回 今野敏

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     「それなら、自信がありますよ」  船渡川が言った。「コーラとポップコーンを買い、劇場のシートに座って予告編を観るときの気持ちは、何にも代え難いものがあります」  「そういう率直な言葉が必要なんです」  「何となくわかっ…
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  • 任侠シネマ 第246回 今野敏

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     阿岐本と香苗が顔を見合わせた。二人ともぴんときていない様子だ。日村も同様だった。テツはさらに言った。  「ファンの会のウェブサイトに、会員が自由に書き込める掲示板がありますよね?」  「ああ」  船渡川が言った。「そこ…
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