• 任侠シネマ 第351回 今野敏

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     「それなんですよ」  船渡川が言う。「金額がある程度に達したら、『千住興業』と話をして、協同出資とかを考えようとしていたんですが、『千住興業』じゃその必要はないって……。これからは会社としても力を入れると言うんです」…
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  • 任侠シネマ 第350回 今野敏

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     それから、ふっつりと仙川係長と甘糟の姿を見なくなった。  土曜日の午後のことだった。香苗と船渡川が事務所にやってきた。  日村は船渡川に尋ねた。  「どうなさいました?」  船渡川が、以前とは打って変わってにこやかに言…
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  • 任侠シネマ 第349回 今野敏

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     「梅中に関わりのある会社にアヤをつけている半グレを検挙したとなれば、男を上げますよね」  「管轄外の話だ」  「情報の出所は自分です。つまり、管轄内で情報を得たということでしょう」  仙川係長は、しばし考えてから言った…
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  • 任侠シネマ 第348回 今野敏

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     仙川係長が日村を見る。  「耳寄りな情報……?」  「『サイバーオン』という会社がありましてね。インターネットを利用したリース会社なんですが、不動産なんかも手がけているんです」  仙川係長が言った。  「それがどうした…
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  • 任侠シネマ 第347回 今野敏

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    24  事務所に戻ると、仙川係長と甘糟がいたので驚いた。もう八時半を過ぎている。  日村は仙川係長に言った。  「何のご用でしょう?」  「ここに来るのに、用がなきゃいけないんですか? 女子高生は用もないのにやってくるん…
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  • 任侠シネマ 第346回 今野敏

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     阿岐本は「そうですか」とだけ言った。  増原が気分を変えるように言った。  「社員の中から、映画館の担当者を募集してみたところ、応募が殺到しまして……。こんなことになるなんて、今まで考えてみたこともありませんでした」…
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  • 任侠シネマ 第345回 今野敏

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     『千住興業』に着いたのは、七時四十分頃のことだ。社長室を訪ねると、増原社長は笑顔だった。だが、その笑顔が淋しげだと、日村は思った。  「すぐにおいとまします」  阿岐本が言った。「社屋を買おうとしていた先方と話をしてき…
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  • 任侠シネマ 第344回 今野敏

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     『サイバーオン』の社屋を出ると、永神が言った。  「さすがアニキだ。これで社屋売却の話は潰れたわけだ」  「俺は何もしてねえよ。ただ、状況を梅中さんに説明しただけだ」  「いや、あれが交渉ってもんだよ。それで、『千住興…
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  • 任侠シネマ 第343回 今野敏

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     やがて、視線を上げて阿岐本を見てから、木島に言った。  「この話は、なかったことにします」  木島が目を丸くした。  「え……? どういうことです?」  「君は、武井とかいう半グレと組んで、何かよからぬことをやったわけ…
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  • 任侠シネマ 第342回 今野敏

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     「いや」  阿岐本が言った。「武井が、映画館のファンの会に嫌がらせをしているってのを聞いて、それをやめるように頼みに参りましたが、金の話なんざ、聞いておりません。そいつを、詳しくお聞かせ願えませんか?」  「あいつは突…
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  • 任侠シネマ 第341回 今野敏

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     一瞬の沈黙があった。  日村は言った。  「失礼します。ちょっとよろしいでしょうか」  阿岐本が言った。  「何だい? 言ってみな」  「木島さん。もしかして、それ、武井のことですか?」  木島が言った。  「あんたら…
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  • 任侠シネマ 第340回 今野敏

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     「守りたいものがありまして」  「ほう、それは何でしょう?」  「映画館です」  梅中が怪訝そうに眉間にしわを刻む。  「映画館? それは、何のことです?」  阿岐本がこたえた。  「『千住興業』の自社ビルには映画館が…
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  • 任侠シネマ 第339回 今野敏

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     やがて、彼は言った。  「一枚噛んで、甘い汁を吸いたいということなんでしょう? つまり、イチャモンというのは、そういうことですね」  阿岐本がこたえた。  「金なんざ、いりませんよ」  「じゃあ、何がほしいんです?」…
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  • 任侠シネマ 第338回 今野敏

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     梅中が木島に尋ねる。  「そうなのか?」  「犬塚常務は何とかするとおっしゃっています」  梅中がうなずいた。  「それならいいが……。こういう話はスピードが勝負だからね」  阿岐本が梅中に尋ねる。  「あなたが、北千…
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  • 任侠シネマ 第337回 今野敏

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     木島がこたえるより早く、阿岐本が言った。  「阿岐本組というちっぽけな組を構えております、阿岐本雄蔵と申します。こっちは、弟分の永神健太郎です」  「おや……」  梅中が言った。「組だの弟分だのと、今どき流行(はや)り…
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  • 任侠シネマ 第336回 今野敏

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     阿岐本が茶をすする。ヤクザの中には、何か入っているのではないかと警戒して手を出さない者もいるが、それは小者のやることだ。  木島は、何も言わない。何を話していいかわからないのだろう。阿岐本も永神も無言だ。妙な沈黙が続い…
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  • 任侠シネマ 第335回 今野敏

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     「腹を割って、ですか?」  木島は顔をしかめる。  妙だなと、日村は思った。木島は四十代という若さだが、海千山千のはずだ。でなければ、これだけ会社を大きくできるはずがない。  ヤクザが会いにきたからといって、これほどう…
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  • 任侠シネマ 第334回 今野敏

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     ドアをノックする音が聞こえた。先ほどの総務の男に案内されてやってきたのは、永神だった。  「あ、アニキのほうが先だったか。早かったね」  阿岐本が言う。  「おめえが遅いんだよ。俺は時間通りだ」  永神は、阿岐本の隣に…
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  • 任侠シネマ 第333回 今野敏

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     受付で来意を告げると、すぐに総務の者だと名乗る人物がやってきて、社長室に案内された。  ロビーは渋めのグレーで統一されていて、いかにも高級そうな印象だったが、社長室を一目見ると圧倒された。  阿岐本の部屋の十倍はあるの…
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  • 任侠シネマ 第332回 今野敏

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     「『サイバーオン』は見てのとおり、立派な会社だ。梅中も、まあ言ってみりゃあ、大物だ。そして、北千住の再開発となりゃあ、こいつはでかい話だ」  「はい」  「それに比べりゃ、潰れかけている映画館や、俺たちの組なんてのは、…
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