• 任侠シネマ 第232回 今野敏

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     だが、今なら阿岐本の言うことが理解できるような気がした。  阿岐本が言った。  「つまりさ、時間を見つけて人が集まる場所に足を運ぶ。それが、他人を知ることであり、社会を知ることの第一歩だと思うわけだ。そして、それが、ひ…
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  • 任侠シネマ 第231回 今野敏

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     「みんな忙しいとか言って、映画館に足を運ばなくなる。行き帰りのことを考えたら、半日つぶれちまうこともあるからな」  「だろう? なかなかそんな時間は取れねえよ」  「みんなそう言うが、きっと、何とかなるんだよ」  「い…
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  • 任侠シネマ 第230回 今野敏

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     「ああ。常務が土地と社屋を売却したがっているんだろう。……で、そいつは梅中仁志や『サイバーオン』って会社とつながっている。その辺に何か、からくりがありそうだ」  「だから、それを調べているんだよ。それが解決しない限り、…
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  • 任侠シネマ 第229回 今野敏

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     「俺たちにとっても死活問題なんだよ」  「なんでそれを、最初から言わねえんだ。おめえは結局、俺を利用しようとしたってことになるんだぜ」  「利用だなんて、滅相もねえ。うちの内部事情なんて余計なことだと思ったんだ。アニキ…
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  • 任侠シネマ 第228回 今野敏

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     「映画館を含めた『千住興業』の社屋は、優良物件だ。それに眼を付けねえ銀行はねえよ。あの土地と社屋に抵当権を付けて金を貸そうってわけだ。だから、『千住興業』と取引のある銀行としてはあの土地や社屋を売却されると困るというこ…
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  • 任侠シネマ 第227回 今野敏

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     「いや、アニキ。俺はそんなつもりはなかったんだ。梅中仁志だの『サイバーオン』とかっていう会社のことも知らなかった。本当だ」  「だからさ」  阿岐本が言った。「俺が妙だと思っていたのはさ、俺が映画館の存続に手を貸したと…
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  • 任侠シネマ 第226回 今野敏

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    16  永神が顔を上げて阿岐本を見た。  「知ってるわけじゃねえんだ。ただ、解(げ)せねえなとは思っていたんだ」  「何が解せねえんだ?」  「噂があったんだよ。『千住興業』が社屋を売りに出すっていう……」  「ほう………
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  • 任侠シネマ 第225回 今野敏

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     永神が眉をひそめる。  「どういうつながりだい?」  阿岐本が言った。  「説明してやれ」  日村は永神に説明を始めた。  「『千住興業』の常務取締役の犬塚ってやつを調べていたら、経済学者の梅中仁志と親しい間柄のようだ…
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  • 任侠シネマ 第224回 今野敏

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     永神が目を見開く。  「え? どういうことだ? なんで俺が知ってるって……」  「永神よ。俺はさ、別に腹を立てているわけじゃねえんだよ。ここに呼んだのも文句や怨み言を言うためじゃねえ。本当のことが知りてえんだ」  「知…
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  • 任侠シネマ 第223回 今野敏

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     阿岐本が言った。  「わざわざ足を運んでもらって、すまねえな」  「水くさい言い方すんなよ。何だい、話って?」  「おめえ、今回の話に、俺たちの同業者は絡んでねえって言ったな?」  「ああ。そのはずだ。間違いねえよ」…
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  • 任侠シネマ 第222回 今野敏

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     永神は、本人が言ったとおり、午後三時にやってきた。  日村は立ち上がって出迎えた。稔とテツも起立して頭を下げた。  「おう。アニキが呼んでるって?」  日村は組長室のドアをノックした。  「永神のオジキがおいでです」…
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  • 任侠シネマ 第221回 今野敏

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     稔はさっそく、どこかに電話をかけた。昔の仲間かもしれない。ヤクザ稼業は、ある意味、出家みたいなところがあり、盃をもらった時点で、昔つるんでいたワル仲間とはあまり連絡を取らなくなる。  それでも、昔の伝手(つて)で情報は…
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  • 任侠シネマ 第220回 今野敏

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     日村は言った。  「その写真は、三年ほど前のものらしいです」  「三年前……? 武井ってのは今、いくつなんだ?」  稔がこたえた。  「自分たちよりずいぶん上でしたから……。たぶん、今三十歳くらいだと思います」  「……
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  • 任侠シネマ 第219回 今野敏

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     だが、阿岐本が言うこともわかる。ヤクザにはいろいろなしきたりがあったり、付き合いがあったりと、何かと堅苦しい。  昔は礼儀作法にもうるさかったし、堅気には迷惑をかけるな、という親分も少なくなかった。  地回りは、町中の…
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  • 任侠シネマ 第218回 今野敏

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     日村が入室すると、机の向こうの阿岐本が言った。  「何事だい」  「『サイバーオン』の木島って社長が、半グレとつながっているらしいんです」  「ほう……。半グレ……」  「これ見てください」  日村はテツがプリントアウ…
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  • 任侠シネマ 第217回 今野敏

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     「ゾク時代の知り合いか?」  「そうです。まあ、知り合いと言うか……」  稔がわずかに顔をしかめる。その表情で、だいたい想像がついた。  「敵対組織のやつだな?」  「ええ、まあ……。十人ほどのゾクを束ねていましたけど…
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  • 任侠シネマ 第216回 今野敏

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     「なんだか怪しげなサイトだな……」  日村がつぶやくと、テツが言った。  「あ、わかりますか? 世の中の裏情報ばかり集めているウェブサイトで、かなり無責任な記事ばかりなんですが、記事の中の情報は意外と確かなんです」  …
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  • 任侠シネマ 第215回 今野敏

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     日村はテツに命じた。  「おまえ、その辺のことを含めて、さらに調べておけ」  「わかりました」  テツがすぐにパソコンの前に向かった。  テツと入れ替わりで、今度は真吉が張り込みにつくべく、出かけていった。  それから…
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  • 任侠シネマ 第214回 今野敏

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     正午過ぎに、真吉が買って来た牛丼を食べていると、テツが帰って来た。  「ただいまもどりました」  「ごくろう」  日村は尋ねた。「どんな様子だ」  テツは、出入り口付近に立ったまま、分厚い眼鏡の奥の眼を日村に向けて言っ…
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  • 任侠シネマ 第213回 今野敏

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     肉体は疲労しても、まったく疲れを感じず、喜びにあふれているときがある。  若い衆は、社会からのはみ出し者だ。おそらく子供の頃から、自分など世の中に必要ないのだと感じていたに違いない。  そんな彼らが、阿岐本組に来て、地…
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