• 任侠シネマ 第172回 今野敏

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     できることは何でもやってみるべきだ。日村は健一に言った。  「よし、やってみよう。二人一組でやるんだ。健一、おまえ、ローテーションを作ってくれ」  「了解しました」  日村は言った。  「張り込みとなれば、車がいるな……
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  • 任侠シネマ 第171回 今野敏

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     「張ってみますか……」  健一が言った。  「犬塚常務をか?」  張り込みは警察の専売特許なわけではない。ヤクザも必要とあれば、張り込みをやる。借金の取り立てなどでは、対象者が姿をくらまそうとすることが多いので、そうさ…
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  • 任侠シネマ 第170回 今野敏

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     健一が聞き返す。  「そういうのはナシ……?」  「そうだ。オヤジが言うには、映画館自体には何の問題もなさそうだということだ」  「今言った常務が問題なんですか?」  「それはまだわからない。だが、気になるだろう。何で…
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  • 任侠シネマ 第169回 今野敏

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     組長室を出てドアを閉めると、日村はテツに命じた。  「『千住興業』の常務取締役で、犬塚昭吉というやつがいる。調べられるか?」  テツが、分厚い眼鏡レンズの奥の目をパチパチさせて言う。  「何を調べればいいんですか?」…
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  • 任侠シネマ 第168回 今野敏

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     「だったら、その犬塚って常務は、何で映画館を閉めたがったり、本社ビルを売ろうとするんだろうな……」  日村はしきりに考えを巡らせた。だが、理由がわからない。  「調べてみる必要がありますね」  「そうだな……」  阿岐…
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  • 任侠シネマ 第167回 今野敏

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     日村は考えた。  「普通に考えれば、会社の利益率を上げようってことでしょう。赤字部門を処分して、コンパクトな社屋にしてランニングコストを軽減するという……」  「ランニングコストの軽減? ばか言うな。『千住興業』の本社…
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  • 任侠シネマ 第166回 今野敏

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    12  「おう、誠司。ちょっと来てくれ」  香苗が出ていくと、阿岐本が言った。  「はい」  阿岐本は組長室に戻った。机ではなく、ソファに向かった。腰を下ろすと、日村に言った。  「こっちに来て座れ」  「はい」  日村…
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  • 任侠シネマ 第165回 今野敏

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     船渡川と増原社長が事務所を出て行くとき、香苗はまだ残っていた。  戸口まで見送りに出た阿岐本が香苗に言った。  「おや、まだいたんだね」  「どうなったか、心配で……。私、余計なことしちゃった?」  「いやいや、お嬢の…
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  • 任侠シネマ 第164回 今野敏

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     「今回は違いますよ」  阿岐本がそう言って、にっと笑った。すると船渡川が青くなった。  「今回は……?」  「そうです。ですが、そういうことをやるやつらの手口はよくわかっています。ですから、私らの出番なんです」  船渡…
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  • 任侠シネマ 第163回 今野敏

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     「でも、クラウドファンディングでも資金は集まっていないんでしょう?」  その増原社長の言葉に、船渡川が慌てた様子で言った。  「いや、まだ始めたばかりなので……」  まったく説得力がないなと、日村は思った。  阿岐本が…
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  • 任侠シネマ 第162回 今野敏

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     増原社長が言った。  「好きなことを後ろめたいと思う必要はないという阿岐本さんの言葉には、心が動かされた思いです。しかし、今申したとおり、社内には映画館不要の声があるのです」  「社員の声をちゃんとお聞きになったことは…
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  • 任侠シネマ 第161回 今野敏

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     「そういう意見は多数派なんですか?」  「多数派かどうかは、あまり考えたことがありません。役員の一人がそう主張するので、それに同調している者も多いのではないかと思っています」  「その役員の方は、どなたです?」  増原…
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  • 任侠シネマ 第160回 今野敏

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     「それは社内でのことですか?」  「ええ、そうです。実は、本社移転の話もありまして……」  増原社長の言葉に、阿岐本は表情を曇らせた。  「移転……?」  「はい。わが社は現在、事実上、不動産管理の会社です。今使ってい…
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  • 任侠シネマ 第159回 今野敏

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     「『千住興業』は、不動産でいちおう経営は安定しておいでなんですね?」  「はい。不動産部門の業績は悪くありません。ですから、不採算部門である映画館を処分すれば、経営はさらに安定するはずです」  「ただの不動産屋をおやり…
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  • 任侠シネマ 第158回 今野敏

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     増原社長が言った。  「おっしゃるとおりかもしれません。映画館をこのまま続けることに、一抹の後ろめたさを感じていたことは事実です」  「それならいっそ、映画館に有終の美を飾らせたい……。そんな思いがおありなんじゃねえで…
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  • 任侠シネマ 第157回 今野敏

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     増原が阿岐本を見て尋ねた。  「そうなんですか?」  阿岐本がこたえる。  「映画館の経営を立て直すという話を聞いてね、まず、映画館そのものの改善策だとか、遠のいた客足を引き戻す方策だとかを考える必要があるのかと思った…
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  • 任侠シネマ 第156回 今野敏

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     船渡川がほっとした表情になって言った。  「私も驚きました」  地獄に仏といった心境だろうか。  増原が阿岐本に言う。  「さすがですね。やることが早くていらっしゃる」  「いや……。実は、船渡川さんにお越しいただいた…
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  • 任侠シネマ 第155回 今野敏

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     阿岐本はソファに体をあずけて、やや視線を上に向け、動かない。何か考えているようでもあり、ぼうっとしているようでもある。  そんな時間がどれくらい続いただろう。ノックの音がして、日村は救われたような気分になった。  健一…
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  • 任侠シネマ 第154回 今野敏

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     「お話ししたとおり、私らは増原社長とお話をして、映画館の存続に一役買うことになっています。いろいろ事情をうかがったところ、ファンの会と協力することが何よりだと思ったわけです」  船渡川は目を見開いた。  「ファンの会と…
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  • 任侠シネマ 第153回 今野敏

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     阿岐本は何度もうなずいた。  「しかし、思うように資金が集まらない……」  「まだ始めたばかりですから……」  「なるほど……。おっしゃるとおり、この先どうなるかは、誰にもわかりませんね」  船渡川は何も言わずに視線を…
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