• 任侠シネマ 第21回 今野敏

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     「昨今、ハロウィンとか年末年始のカウントダウンとかで渋谷あたりがひどいことになっていますよね」  「そうらしいね」  「町にヤクザがいなくなると、ああいうことになるんです」  「いや、それはどうかなあ……。商店街の人た…
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  • 任侠シネマ 第20回 今野敏

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     「そんなことをしたら、日本はめちゃくちゃになっちゃいますよ」  「かつて大きな抗争事件があったり、物騒な時代があったからね。それで警察の偉い人は頭に来たんじゃない?」  「抗争を起こすのは、常にヤクザの一部でしかありま…
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  • 任侠シネマ 第19回 今野敏

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     「『矢七寿司』の二代目は、自分らに出前をしたら、暴力団と契約を結ぶことになるので、処罰されると思い込んでいましたよ」  「排除条例で処罰されるのは、暴力団の資金源になるとかの利益供与をした場合とか、未成年を事務所に無理…
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  • 任侠シネマ 第18回 今野敏

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     「ちょっとうかがいたいことがありましてね……」  「何だよ」  「『矢七寿司』に出前を注文したんですよ」  甘糟が怪訝そうな顔になる。  「それで……?」  「断られたんです」  「どういうこと?」  「警察が暴力団排…
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  • 任侠シネマ 第17回 今野敏

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    2  日村が事務所に戻ったのは、午後四時十分頃のことだ。その約十分後に、甘糟がやってきた。  汗をかいている。十月も半ばで、汗をかくような気候ではない。おそらく、署から駆けてきたのだろう。  「どういうこと? 立場わかっ…
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  • 任侠シネマ 第16回 今野敏

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     日村は深々と頭を下げた。ヤクザには逆風が吹く世の中だけに、こういう言葉がことさらに心に染みる。  「ありがとうございます。では、よろしくお願いします」  「ああ、任しときな」  日村は、もう一度礼をして『矢七寿司』を出…
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  • 任侠シネマ 第15回 今野敏

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     日村は言った。  「いや、ご迷惑をおかけするわけにはいきません。警察から指導があったとおっしゃるのなら、それは仕方のないことだと思います」  大将が言う。  「日村さん。こうなりゃ、こっちも意地だよ。あんたが嫌だって言…
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  • 任侠シネマ 第14回 今野敏

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     二代目が言った。  「確認しなくたって、あんたらが暴力団だってことは明らかでしょう」  「事業の契約で、相手が暴力団とわかったときに、すぐに解除できるような特約を盛り込むようにと、条例では言っていますが、これはあくまで…
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  • 任侠シネマ 第13回 今野敏

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     日村は心の中で溜め息をついた。自分たちが反社会的な存在であることは自覚している。だからといって、昨今の警察のやり方はどうかと思う。  この国に俺たちの居場所はないということなのだろうか。  二代目の話を聞いて、大将の顔…
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  • 任侠シネマ 第12回 今野敏

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     二代目は作業を続けながらこたえる。  「忙しくてね……」  「忙しいだ? そりゃどういう了見だ。お客さんがいるから忙しいんだろう。そして、出前を注文してくださるのは、お客さんだろう。それを断って、忙しいってのはどういう…
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  • 任侠シネマ 第11回 今野敏

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     奥から大将が店先にやってきた。  「なんだ、代貸じゃねえか」  日村は頭を下げた。  「お休みのところ、すいません」  「……で? 何か用かい?」  「ちょっと様子を見にうかがったんです」  「様子を見に? 何でまた……
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  • 任侠シネマ 第10回 今野敏

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     何だか、取り付く島もない雰囲気だ。別に日村と二代目は仲が悪いわけではない。道で会えば挨拶をする程度には親しいと思っていた。  何か気に障るようなことをしただろうか。  日村は考えた。思い当たる節はない。  まあ、ヤクザ…
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  • 任侠シネマ 第9回 今野敏

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     『矢七寿司』は、駅から歩いて五、六分の住宅街の中にある。大将がここに店を開いてもう四十年近くになるそうだ。日村が生まれる前からやっているということだ。  店には「準備中」の札がかかっている。昼食の時間に一度店を開け、い…
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  • 任侠シネマ 第8回 今野敏

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     日村はしばらく考えてから言った。  「ちょっと行って様子を見てこようか……。電話でだめでも、直接頼めばなんとかなる場合もある」  ヤクザは諦めが悪い。どんなときでもしつこく食い下がる。それで素人が根負けするのだ。暴力だ…
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  • 任侠シネマ 第7回 今野敏

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     「他の鮨屋に当たってみましょうか」 「いや、『矢七寿司』の大将とオヤジは長い付き合いだ。オヤジはできればあそこの鮨を食いたいと思っているだろう」 「でも、出前ができないんじゃ……」 「電話に出たのは誰だ?」 「二代目で…
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  • 任侠シネマ 第6回 今野敏

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     志村真吉(しむらしんきち)は、優男(やさおとこ)だ。あまり喧嘩の役には立たないが、不思議なことに滅法女にもてるのだ。生まれついての女たらしだ。 見かけはいたって普通だ。特におしゃれをするわけでもない。なのに、幼女はなつ…
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  • 任侠シネマ 第5回 今野敏

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     組長室を出ると、日村は健一に鮨の出前を注文するように命じた。健一は若い衆の中では一番年上だ。 とにかく喧嘩が強く、地元の不良どもは「三橋」の名前を聞くと尻尾を巻いて逃げ出したという。今ではすっかり角が取れて、若い衆のリ…
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  • 任侠シネマ 第4回 今野敏

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     「どうした?」 阿岐本に訊かれ、日村はこたえた。 「今、永神のオジキから電話がありまして、今日の午後五時頃に、こちらを訪ねたいと……」 「永神が何の話だろうな……」 阿岐本はちょっと迷惑そうに眉間にしわを刻んだが、これ…
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  • 任侠シネマ 第3回 今野敏

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     永神が日村に電話をしてきたのは、いわば免罪符のようなものだ。永神は「文句はない」という日村の言質を取ったというわけだ。 さすがは永神のオジキだと日村は思った。いかにもヤクザらしいやり方だ。  「いつがよろしいでしょう」…
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  • 任侠シネマ 第2回 今野敏

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     「おう、変わりないか?」 「はい。おかげさまで」 「最近、アニキは忙しいのか?」 「特にでかいシノギを抱えているということはありませんが……」 「そうかい。ちょっとアニキに話があってな……」 「はあ……」 それなら、直…
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