• 任侠シネマ 第341回 今野敏

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     一瞬の沈黙があった。  日村は言った。  「失礼します。ちょっとよろしいでしょうか」  阿岐本が言った。  「何だい? 言ってみな」  「木島さん。もしかして、それ、武井のことですか?」  木島が言った。  「あんたら…
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  • 任侠シネマ 第340回 今野敏

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     「守りたいものがありまして」  「ほう、それは何でしょう?」  「映画館です」  梅中が怪訝そうに眉間にしわを刻む。  「映画館? それは、何のことです?」  阿岐本がこたえた。  「『千住興業』の自社ビルには映画館が…
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  • 任侠シネマ 第339回 今野敏

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     やがて、彼は言った。  「一枚噛んで、甘い汁を吸いたいということなんでしょう? つまり、イチャモンというのは、そういうことですね」  阿岐本がこたえた。  「金なんざ、いりませんよ」  「じゃあ、何がほしいんです?」…
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  • 任侠シネマ 第338回 今野敏

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     梅中が木島に尋ねる。  「そうなのか?」  「犬塚常務は何とかするとおっしゃっています」  梅中がうなずいた。  「それならいいが……。こういう話はスピードが勝負だからね」  阿岐本が梅中に尋ねる。  「あなたが、北千…
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  • 任侠シネマ 第337回 今野敏

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     木島がこたえるより早く、阿岐本が言った。  「阿岐本組というちっぽけな組を構えております、阿岐本雄蔵と申します。こっちは、弟分の永神健太郎です」  「おや……」  梅中が言った。「組だの弟分だのと、今どき流行(はや)り…
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  • 任侠シネマ 第336回 今野敏

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     阿岐本が茶をすする。ヤクザの中には、何か入っているのではないかと警戒して手を出さない者もいるが、それは小者のやることだ。  木島は、何も言わない。何を話していいかわからないのだろう。阿岐本も永神も無言だ。妙な沈黙が続い…
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  • 任侠シネマ 第335回 今野敏

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     「腹を割って、ですか?」  木島は顔をしかめる。  妙だなと、日村は思った。木島は四十代という若さだが、海千山千のはずだ。でなければ、これだけ会社を大きくできるはずがない。  ヤクザが会いにきたからといって、これほどう…
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  • 任侠シネマ 第334回 今野敏

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     ドアをノックする音が聞こえた。先ほどの総務の男に案内されてやってきたのは、永神だった。  「あ、アニキのほうが先だったか。早かったね」  阿岐本が言う。  「おめえが遅いんだよ。俺は時間通りだ」  永神は、阿岐本の隣に…
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  • 任侠シネマ 第333回 今野敏

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     受付で来意を告げると、すぐに総務の者だと名乗る人物がやってきて、社長室に案内された。  ロビーは渋めのグレーで統一されていて、いかにも高級そうな印象だったが、社長室を一目見ると圧倒された。  阿岐本の部屋の十倍はあるの…
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  • 任侠シネマ 第332回 今野敏

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     「『サイバーオン』は見てのとおり、立派な会社だ。梅中も、まあ言ってみりゃあ、大物だ。そして、北千住の再開発となりゃあ、こいつはでかい話だ」  「はい」  「それに比べりゃ、潰れかけている映画館や、俺たちの組なんてのは、…
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  • 任侠シネマ 第331回 今野敏

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    23  午後六時に『サイバーオン』本社で待っていると、木島は言ったそうだ。梅中も同席するということだろう。  「俺は着替えてくるぜ。五時に車の用意をしな。誠司も一緒に来い」  阿岐本が言った。日村が稔を見ると、「了解した…
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  • 任侠シネマ 第330回 今野敏

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     稔は、はっと日村を見てこたえた。  「いえ、何でもないんです……」  「武井のことか?」  「あ、いや……」  否定しかけて、考え直したように言った。「ええ、まあ、ちょっと……」  「何だ? 言ってみろ」  稔は、一度…
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  • 任侠シネマ 第329回 今野敏

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     真吉が言った。  「自分も感動しました」  日村は尋ねた。  「甘糟さんのことか?」  「はい」  「いや、案外、本当にやばいと思っただけかもしれない。あの人は何より保身を考えるからな」  香苗にはああ言ったが、日村も…
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  • 任侠シネマ 第328回 今野敏

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     香苗が目を丸くした。  「当たり前じゃない。健さんは特別なのよ。代貸が健さんなわけないじゃない」  当たり前か……。ちょっと傷ついた。  「わかってりゃいいんだ」  「でも……」  「でも、何だ?」  「今日のあの刑事…
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  • 任侠シネマ 第327回 今野敏

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     仙川係長が事務所を出て行くと、甘糟が慌ててそのあとを追った。  二人が出ていくと、香苗が言った。  「何よ、あれ」  日村は言った。  「何よあれじゃない。おまえが事務所に来たりするから、警察に睨まれるんだ」  「私が…
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  • 任侠シネマ 第326回 今野敏

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     甘糟が、さらに泣きそうな顔になって言った。  「彼女の証言は充分に証拠能力があります。ここで全員検挙して、日村が言うとおり、出るところに出たら、困ったことになるんじゃないですか」  仙川係長が言った。  「困ったことに…
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  • 任侠シネマ 第325回 今野敏

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     仙川係長が言った。  「何をしているんです。全員検挙ですよ」  甘糟が泣きそうな顔で言った。  「いや、それはまずいと思います」  仙川課長が心底驚いたような顔で甘糟を見た。  「まずい? どういうことです?」  「日…
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  • 任侠シネマ 第324回 今野敏

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     出るところってのがどこなのか、実は日村自身よくわかっていない。もともとは、公判の場とかの意味なのだろうが、日村だって本気で裁判を望んでいるわけではない。  仙川係長が言った。  「何でも、映画館の利権に手を出しているそ…
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  • 任侠シネマ 第323回 今野敏

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     日村は香苗に言った。  「おまえ、強要されてここにやってきたのか?」  「キョウヨウって?」  「無理やりここに来いって言われたのかってことだ」  「あー、それはないわね。むしろ、いつも来るなって言われてる」  日村は…
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  • 任侠シネマ 第322回 今野敏

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     「誰が誰を逮捕・監禁していると言うんです?」  「一目瞭然でしょう。暴力団の事務所に、制服を着た女子高校生がいる」  「このタイミングでいらっしゃるということは、この事務所を張り込んでおいでだったんでしょう。ならば、明…
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