• 任侠シネマ 第253回 今野敏

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     それを聞いて、阿岐本が言った。  「ようやく、テツの言うことがわかったような気がする。誰かがどこかで楽しそうなことをやっていれば、自然とそちらに足が向くってことだな」  「みんなの、そういうものに対する嗅(きゅう)覚(…
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  • 任侠シネマ 第252回 今野敏

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     「船渡川さんも、掲示板に書き込みしてくれますよね?」  香苗が念を押すような口調で言った。船渡川は、戸惑ったような様子でうなずいた。  「ああ……。まあ、書き込むだけなら……」  「『千住シネマ』についての、素直な思い…
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  • 任侠シネマ 第251回 今野敏

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     船渡川が言った。  「まだ、脅迫している連中が誰かわからないんだろう? そんなことを掲示板に書き込んでいていいんだろうか……」  阿岐本が言った。  「だからこそ、やるんですよ」  「え? だからこそ……?」  「こっ…
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  • 任侠シネマ 第250回 今野敏

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     テツが言う。  「ファンの会だから、今さら映画館に対する思いなんて書かなくていいとか、なんだか熱く語るのが照れくさいとか、あと、面倒くさいとか……。書き込む前にいろいろなことを考えてしまうんです。そういうのをナシにして…
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  • 任侠シネマ 第249回 今野敏

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     阿岐本はしばらく腕組みして考えていたが、やがて香苗に言った。  「お嬢、どう思う?」  「そうねえ……。ネットに書き込むのは簡単だし、ファンの会の人が映画館に集まるのは、それほど特別な感じはしないよね」  船渡川が難し…
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  • 任侠シネマ 第248回 今野敏

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     「だがな……」  阿岐本が言う。「ネットだけじゃなんだかもの足りねえ気がするんだがな……」  それに対して、テツが言う。  「ファンの会が『千住シネマ』で何か集まりをやればいいと思います」  「それって、イベントってこ…
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  • 任侠シネマ 第247回 今野敏

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     「それなら、自信がありますよ」  船渡川が言った。「コーラとポップコーンを買い、劇場のシートに座って予告編を観るときの気持ちは、何にも代え難いものがあります」  「そういう率直な言葉が必要なんです」  「何となくわかっ…
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  • 任侠シネマ 第246回 今野敏

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     阿岐本と香苗が顔を見合わせた。二人ともぴんときていない様子だ。日村も同様だった。テツはさらに言った。  「ファンの会のウェブサイトに、会員が自由に書き込める掲示板がありますよね?」  「ああ」  船渡川が言った。「そこ…
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  • 任侠シネマ 第245回 今野敏

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     「何かやりようがあるってことかい?」  考えをまとめるためだろうか。テツはしばらく間を取った。やがて、彼は言った。  「人間には好奇心があります」  阿岐本が聞き返す。  「好奇心?」  「はい。だから、つい興味を引か…
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  • 任侠シネマ 第244回 今野敏

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     「た……、たいていのイベントって、労多くして結果がついてこないんです。主催者側は疲れ果て、イベントを開催したというだけで満足してしまいます。参加者は、その時だけ盛り上がったとしても、会場を離れればすぐに忘れてしまうんで…
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  • 任侠シネマ 第243回 今野敏

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     日村も思わずテツの顔を見つめていた。テツが言った。  「興味もないことに、学校の行事だからといって引っ張り出されるのは、とても苦痛でした」  「あ、それ、わかるなあ」  香苗が言った。「面倒臭いのよね」  まあ、学校に…
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  • 任侠シネマ 第242回 今野敏

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     テツはかぶりを振った。  「誰かに映画館に引っ張って行かれても、ただ苦痛なだけです。映画が始まったら、ずっと席に座っていなきゃならない。トイレにも行けない。食べたり飲んだりだって、制限があるでしょう。それって、とても辛…
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  • 任侠シネマ 第241回 今野敏

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    17  日村は、テツがどんなことを言いだすのか心配でならなかった。いや、それ以前に、オヤジの前でちゃんと話ができるのだろうかと不安だった。  案の定、立ったまま口をぱくぱくさせるだけだ。  いいから黙って座ってろ、と日村…
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  • 任侠シネマ 第240回 今野敏

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     阿岐本が言った。  「俺の部屋でもいいが、こういう話はみんなにも聞いてもらいてえ。ここで話をするか……」  阿岐本が来客用のソファに向かった。日村は、船渡川と香苗をそこに案内した。  腰を下ろすと、さっそく香苗が言った…
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  • 任侠シネマ 第239回 今野敏

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     「おう、お嬢」  香苗が言う。  「あ、親分さん。こんにちは」  「はい、こんにちは。船渡川さんも、ようこそおいでくださいました」  船渡川は無言で頭を下げた。  香苗が言う。  「親分さんがいろいろとやってくださって…
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  • 任侠シネマ 第238回 今野敏

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     たしかに、香苗の後ろに誰か映っている。船渡川を追い返すわけにはいかない。日村は溜め息をついてから言った。  「ちょっと待ってろ」  玄関を解錠すると、まず香苗が入ってきた。  「こんにちはー」  日村は言った。  「こ…
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  • 任侠シネマ 第237回 今野敏

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     「あれ……。香苗ですよ」  健一が返事をしようとした。それを制して日村は言った。  「いい。俺が出る」  インターホンの画面をのぞくと、たしかに香苗の姿があった。私服姿だ。  日村はインターホンのボタンを押して言った。…
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  • 任侠シネマ 第236回 今野敏

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     午後六時半になると、稔が言った。  「三橋さんと交代する時間です」  日村はこたえた。  「わかった。行ってくれ」  稔が事務所を出て行く。  それから、約一時間後、健一が戻ってきた。  「ただいま、戻りました」  「…
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  • 任侠シネマ 第235回 今野敏

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     たしかに永神が言うとおりだ。  地元のヤクザがしっかりしていれば、半グレの特殊詐欺や暴力沙汰を黙って見過ごしはしない。だが、今、暴対法と排除条例で、ヤクザはその力を奪われている。  まあ、その点、自業自得という面もある…
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  • 任侠シネマ 第234回 今野敏

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     永神が稔に尋ねた。  「武井のフルネームは何だっけ?」  「武井亮治です」  永神は稔の話を聞いて、メモも取らなかった。だが、必要なことはすべて頭に入っているはずだ。一人前のヤクザというのは、そういうものだ。  永神が…
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