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川村&近藤のおしゃべりな部屋 対談<7>

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 片づけコンサルタント・近藤麻理恵さんの片づけ体験談を基に、小説家・川村元気さんが編み出す共作小説「おしゃべりな部屋」は、明日から始まる「写真が言付ける部屋」が最終章。「片づけとモノと記憶」をめぐるこの連載の集大成となるエピソードです。まずは米国在住の近藤さんと日本の川村さんのリモート対談をどうぞ。

「写真が言付ける部屋」11日まで連載

近藤麻理恵(左、写真:OGATA)/川村元気(右、写真:WATARU YONEDA)
近藤麻理恵(左、写真:OGATA)/川村元気(右、写真:WATARU YONEDA)

正しい順番

 川村 この連載は、「モノ別」に必ず正しい順番で片づけるという、近藤さんの片づけ法“こんまりメソッド”に準じて進めてきました。

 近藤 はじめに衣類、それから本類、書類、小物類、そして最後に思い出品。

 川村 最後のエピソードは、思い出品である写真にしようと最初から決めていました。

 近藤 写真は、思い出品の中でも、みなさんが普通に片づけをしようと思うと、最も難易度の高いもの。1枚1枚が純粋な思い出ですし、枚数が多くてひるんでしまう方も多い。ただ、モノ別に正しい順番で片づけを重ねてときめきの判断能力を磨いた状態、つまり片づけの基礎力と胆力をつけた後に取り組むと、意外とスムーズに片づけられる。片づけの集大成として取り組んでいただくことをおすすめしています。

 川村 たとえばアルバムはどう片づけるんですか。写真は全部出すんですか。

 近藤 ケース・バイ・ケースです。ちゃんと選んでアルバムを作っている場合や、剥がすと写真がいたんでしまうような場合は、そのままにすることが多いですが、現像屋さんでもらうような簡易なものになんとなく残してある場合は、全部出します。1枚1枚見返すのは大変ですが、冷静に見ると、なぜ撮ったのかわからないブレブレの写真や記憶にない風景、それから似たような写真もたくさんあって、そうした中からベストを選ぶ感じで厳選していくと、「こんなにいらないものがあったんだ」とみなさん、驚かれます。

 川村 選ぶ時のポイントは?

 近藤 片づけを通して、過去の思い出を消化、あるいは追体験した上で、何を未来に持って行きたいか、ということ。モノ別の片づけに取り組んできた方は、自然にそういう観点で選べるようになっていますね。

 川村 走馬灯みたいな感じですよね。自分の人生について、写真を片づけながら一気に振り返る。自分の記憶を1回出して、それの中からときめくモノと、ときめかないモノをり分けて、もう1回自分の中に収納していくという感覚ですよね。根気のいる作業だと思います。

 近藤 体力も使いますし、感情も結構動く。だから片づけの集大成としてどんと取り組んでいただけると、片づけをした意味というのが本当に明確になってくるんだと思います。

計算外

 川村 僕は、最近フィルムカメラに戻っているんです。デジタルだと、ピントが合ってて、明るくて、フレームがちゃんとしてる写真以外はすぐに消してしまいがち。でも、フィルムの場合、結果は現像しないとわからないし、36枚撮りフィルムの半分くらいはダメな写真なんですよね。でも、ピントが合ってなくても、すごくいい表情の写真とかがある。狙い通りじゃないことで、逆にすごくよくなる写真があったりするんですよね。

 近藤 はい。

 川村 それって人生そのもの。みんながピントが合ってて、フレームに入っててというものではなく、あの時、すごく道に迷ったよねとか、あの時すごく喧嘩けんかしたねとか、なんか、そのピンぼけしてたり、フレームがずれたりしているもののほうが最後は残るのかな、と。最終エピソードはそういうものを選んでいくような展開にしたいと思いました。

 近藤 とてもすてきな、必要な終わり方。

 川村 計算外のことが起きるんです、フィルムの場合は。それがすごくいいんですよね。

「記憶集」

 川村 この連載を始めようと思った頃から、コロナ禍での日常が続くことになったのですが、それによって(家の中に)「閉じ込められた」と後ろ向きにとらえず、自分の持っているモノを改めて見直してみれば、記憶を見直すことになるのではないか――という仮説に基づいて、部屋の中だけで完結する七つの物語を、近藤さんの記憶やメソッドをお聞きして、ディスカッションを重ねながら作ってきました。どのエピソードについても、結末は実は見えていなかったんですが、書きながら僕自身、何を忘れたくて、何を忘れたくないのかに気づいていきました。そのプロセスそのものがドキュメンタリーみたいに、小説という形になった感じがします。今でしかできないことを、新聞という今を伝えるメディアでやれたということで、すごく思い出深い作品になりました。

 近藤 私も、この連載を通して、これまでやってきたことや、お客さんの思い出を、川村さんに引き出してもらって、「記憶集」を作っていただいたと感じていて、とても感謝しています。自分の記憶を、ある意味、ひとつの作品として片づけられた面があると思います。この物語を通してみなさんの人生を見直し、「片づけ」のきっかけにしていただけたら、とてもうれしいです。

 あらすじ 家の片づけを手伝う仕事をするミコには不思議な能力があり、部屋の中のモノの声が聞こえる。依頼人やミコと相棒の小箱ボクスが織りなす物語が片づけノウハウを交えて描かれます。

 かわむら・げんき 「告白」「悪人」「君の名は。」などの映画を製作。小説家として「世界から猫が消えたなら」「億男」「四月になれば彼女は」「百花」などを発表。初めて翻訳を手掛けた世界的ベストセラー「ぼく モグラ キツネ 馬」を先月刊行。

 こんどう・まりえ 著書「人生がときめく片づけの魔法」が40か国以上で翻訳され、Netflixで冠番組を持つ。近著は「Joy at Work(ジョイ・アット・ワーク) 片づけでときめく働き方を手に入れる」。

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1959250 0 おしゃべりな部屋 2021/04/04 05:00:00 2021/04/04 05:00:00 写真:OGATA(左)/WATARU YONEDA(右) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/04/20210403-OYT8I50023-T.jpg?type=thumbnail

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