• 海神の島 第236回 池上永一

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     「違います。僕はAVの制作なんてやってません! そのトラブルは青年マンガ誌のグラビア担当だった時のものです」  「どんなグラビアだ?」  「水着です」  「なんで青年マンガ誌に水着の女の子のグラビアが必要なんだ?」  …
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  • 海神の島 第235回 池上永一

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    *    台湾 台北(タイペイ)警察署  任意同行された澪と五十嵐(いがらし)は、容疑者扱いの取り調べを受けた。日本の警察庁に問い合わせたところ、澪と五十嵐が福岡県で国宝の青銅鏡を盗んだことがわかったからだ。西周圓渦夔紋…
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  • 海神の島 第234回 池上永一

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     泉は読み耽っているうちにだんだん背筋が寒くなってきた。  「収集品リスト? 水筒、靴、石油缶、櫛(くし)、時計、ベルト? 何これ? いつの時代?」  次に現れたのは、人名のリストだ。それらは全て、日本人の名前のようだっ…
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  • 海神の島 第233回 池上永一

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     貸切状態の館内に、無情にも閉館の音楽が流れてきた。泉は恨めしそうに天井のスピーカーを見つめた。  「あとちょっとだったのに! 涼、明日も朝から籠るよ」  「えーっ。僕は腱鞘炎(けんしょうえん)で手首が痛いです」  「私…
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  • 海神の島 第232回 池上永一

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     マイクロフィルムは、リーダーと呼ばれる装置の画面に拡大投影される。一見それは、昔のブラウン管のパソコンモニターに酷似していた。  「このダイヤルがページ送り。これが巻き戻しね。面倒臭いなあ。涼、私が翻訳するから、あなた…
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  • 海神の島 第231回 池上永一

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     泉は牧港補給基地のダイオキシン汚染の確たる証拠を得るために、公文書館を訪れていた。  これはただの土壌汚染ではない。枯葉剤がいつまで保管されていたのか、そしてどこに移動したのか、この二つを同時に示さなければ、米軍はのら…
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  • 海神の島 第230回 池上永一

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     泉は頭を抱えたまま壁に凭(もた)れかかった。  「戦争で使ったのよ。そして余ったものを基地内で『保管』していた」  海神の墓の周辺はかつてダイオキシンの貯蔵庫だったのだ。それが芝が生えない真相だ。ノッチ一帯はダイオキシ…
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  • 海神の島 第229回 池上永一

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     三日後、新垣が二重に真空パックされた金属を泉に返した。ゴム手袋を嵌(は)めた新垣の様子から、結果が予測できたが、念のために聞いておくことにした。  「で、どうだった?」  「花城先生の予想通りでした。あの付近の土はダイ…
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  • 海神の島 第228回 池上永一

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     新垣は、一点を見つめて車を運転する泉の様子に狼狽(ろうばい)する。  「花城先生、何があったんですか?」  「涼、私たち、とんでもない発見をしたかもしれない」  オープンカーの風切り音が泉の声を切り刻む。エンジンの唸り…
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  • 海神の島 第227回 池上永一

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     まずは現場の検証からだ。ここにある数少ない証拠を集め、科学的に迫る。空想で飛躍するのは、科学の裏付けができてからだ。  泉は足元の土をずっと見つめたままだ。何か既視感のようなものを覚える。  「花城先生、何か気になるこ…
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  • 海神の島 第226回 池上永一

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     泉は、自分でも冷たい言い方だとわかっていた。しかし無傷の研究者になりたいなんて虫が良すぎる。一歩前進するのに挫折を三十回味わうのが、研究者だからだ。  新垣は報道で、ここが発掘調査の対象となることを知っていた。  「さ…
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  • 海神の島 第225回 池上永一

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       沖縄県 浦添(うらそえ)市 牧港(まきみなと)補給基地内  泉は新垣とともに海神の墓を訪れた。聳(そそ)り立つノッチの岩が、小さき者を懐に抱くように、日陰を与えてくれた。  殺風景な米軍基地内とは思えないほど、ノッ…
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  • 海神の島 第224回 池上永一

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     泉はタブレット端末のフォルダから賢治の写真の画像を開いた。色褪せたモノクロの画像を拡大していく。何か手がかりになるものが写っているかもしれないと思ったからだ。  「地層はチャートか。琉球石灰岩ではこの地層は出ない。もっ…
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  • 海神の島 第223回 池上永一

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    *    東京 上野公園内 国立科学博物館  博物館の閲覧室に籠(こも)った泉は、河村(かわむら)コレクションの目録を総ざらいしていた。河村コレクションの一部は、東京の国立科学博物館にも寄贈されていた。泉が気になっている…
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  • 海神の島 第222回 池上永一

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     会話の端々で繰り返しどっと沸いていた趙大佐が、グラスを掲げたまま固まった。汀は機嫌を損ねるようなことを言ってしまったのかと気色ばむ。お酒の好みは合っている。タバコの銘柄も合っている。玲奈にも話を回しているし、趙大佐が気…
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  • 海神の島 第221回 池上永一

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     玲奈には気の毒だが、今夜は汀の監視付きで「係」についてもらうことにした。玲奈と趙大佐の雰囲気が親密になりかけたところで、汀が割って入る。  「趙大佐、聞いてくださる? 実はあたし、祖母の土地の相続問題を抱えているんです…
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  • 海神の島 第220回 池上永一

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     汀は決定的な証拠を掴まない限り、おいそれと動けないと感じていた。泉はこれ以上の確度で動いてくるはずだ。汀は何としても海神島に上陸し、賢治のお宝を探し当てないと相続人になれないと焦っていた。  「島の形なんてどれもこれも…
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  • 海神の島 第219回 池上永一

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     汀は漣オバァの口元に耳を寄せる。聞こえるのはか細い呼吸の音だけだった。もう、漣オバァは目覚めないかもしれない。そんな考えが脳裏を過ぎった汀は、声を立てずに泣いた。  「汀ママ、こういう時は心の声を聞くんですよ。お祖母(…
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  • 海神の島 第218回 池上永一

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     汀はバーキンから一房のイリガンを取り出した。イリガンとは琉球髪を結う時の付け毛のことだ。ウチナーカラジは途中まで日本髪と同じ結い方である。違うのは髷(まげ)の部分だ。この時に付け毛をして長さを足す。付け毛を縦に束ねれば…
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  • 海神の島 第217回 池上永一

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     伝統芸能なら、舞台で型通りにしか踊れない演舞者は、観客の厳しい目に晒される。それはちびっこの舞いであっても容赦はない。果たしてメディアは読者や視聴者の厳しい目を意識しているのだろうか、と汀は思う。  「下手クソなニュー…
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