• 海神の島 第300回 池上永一

    会員限定
     残りの時間は、これまでに発見した沈没船の地図を描くことに専念した。泉が発見した沈没船は既に二十六隻。範囲を広げれば百隻を上回るのは確実だった。この地図を新垣に残し、彼に研究を引き継いでもらおう。新垣に足りないのは、スタ…
    記事へ
  • 海神の島 第299回 池上永一

    会員限定
     「よし。ミッション・コンピューターを回収した。これでもう機体に用はない」  泉はポリカーボネイト製の風防で遊んでいる子クジラに、礼を言った。 「あなたのお蔭で見つけられたよ。もうお家を荒らさないから心配しないで」 *…
    記事へ
  • 海神の島 第298回 池上永一

    会員限定
     「コックピットの風防だ。クラゲと勘違いしているんだ」  泉は恐る恐る子クジラの下に近づいていった。そこにはJ20の機首が転がるように落ちていた。  「見つけた。ミッション・コンピューターは無事かしら?」  見る限り、機…
    記事へ
  • 海神の島 第297回 池上永一

    会員限定
     突如、泉の前に巨大な円筒形の物体が現れた。J20のエンジン渦扇15である。機体はバラバラになりながら、海底一帯に散らばっていた。この様子だと機体は垂直に海面に激突し、その衝撃でエンジンが外れたと考えるのが妥当だろう。エ…
    記事へ
  • 海神の島 第296回 池上永一

    会員限定
     中国海軍のダイバーたちは、すごすごと退却していった。しかしJ20の水没地点は特定した。次に潜ってくるダイバーたちは、泉と同じように飽和潜水してくるはずだ。それまでの猶予は約二十四時間。その間にJ20の機体を先に発見しな…
    記事へ
  • 海神の島 第295回 池上永一

    会員限定
     泉に挑発されたダイバーたちが、全方向から一斉に泉に向けて突進する。泉は十分にダイバーを引きつけてから、持っていた斧を振りかぶった。  「喰らえっ!」  泉は渾身の力で足元にある紐状の物体を断ち切った。その瞬間、海底に凄…
    記事へ
  • 海神の島 第294回 池上永一

    会員限定
     「ROVの信号を逆探知したんだ」  泉はすぐに退避しようとする。しかし水中スクーターの機動力は人間を上回る。あっという間に泉は中国海軍のダイバーたちに囲まれてしまった。  泉の潜水服は、海底を歩くように設計された重たい…
    記事へ
  • 海神の島 第293回 池上永一

    会員限定
     スイートスポットに溜まっている沈没船はざっと数十隻といったところだろうか。地形の凹凸で陰になっているところもあるからよくわからない。範囲を広げれば百隻はあるだろう。泉は数百年前の人々が海を渡った思いを想像し身震いした。…
    記事へ
  • 海神の島 第292回 池上永一

    会員限定
     ここは頭の固い古い人間の面目躍如をしておきたいところだ。  「レイノルズ中佐に義理もあるし、ちょっとは仕事しておくか」  泉はROVのカメラの死角をつくように回り込んだ。ROVのカメラは可視光線しか捉えられない。即ちラ…
    記事へ
  • 海神の島 第291回 池上永一

    会員限定
     その声に泉はクスッと笑った。子どもの時の自分の口癖だったからだ。恐怖の中に仄(ほの)かな温かさを感じた泉は、作戦を続行することにした。幸い、カプセル内には生命維持装置がある。カプセルに籠(こ)もれば二日は生きていられる…
    記事へ
  • 海神の島 第290回 池上永一

    会員限定
     潜水艦は通常、水の抵抗を減らすために涙滴型になっている。だが中国の095型原子力潜水艦は核ミサイルを積んでいるために背中にラクダのような瘤がついている。海上では中国海警局で穏便に対応している中国だが、海中には最新鋭主力…
    記事へ
  • 海神の島 第289回 池上永一

    会員限定
     「一心(いっしん)丸(まる)。日本の船だ」  しかし沈没船にしては奇妙だ。船体の中央部がほぼ消失している。これは爆発によるものではないか、と泉は考えた。  「涼、ネットで照合をお願い。戦時中に日本海軍に徴発された船のリ…
    記事へ
  • 海神の島 第288回 池上永一

    会員限定
     どれくらい時間が経っただろう。カプセル内の警報が止んでいた。海上の新垣からの通信で泉は目を開けた。  『花城先生、聞こえますか?』  「無事よ。上手く流されたようね。カプセルが横に倒れているから、ちょっとだけ巻き上げて…
    記事へ
  • 海神の島 第287回 池上永一

    会員限定
     泉のダイビング人生で、こんなに深く潜ったことはない。カプセルの照明器がなければ、宇宙空間と錯覚するほど何も見えない。深海は竜宮城とはほど遠い、命の気配が薄い世界だった。  カプセルが急にブランコのように揺れた。コンソー…
    記事へ
  • 海神の島 第286回 池上永一

    会員限定
     『ヴァン・ゴッホは目標の位置に停泊しました』  「アメリカ軍は?」  『作戦通り、海上自衛隊と共に五十キロメートル先で中国海警局と睨み合っています』  「こちらの動きを気取(けど)られないようにして」  『中国が接続水…
    記事へ
  • 海神の島 第285回 池上永一

    会員限定
     賢治は地方によくいる郷土史研究家の枠を超えていた。賢治の生きていた戦前、戦中、戦後は琉球史という体系的な学問が存在しなかった時代だ。当時あったのは郷土史で、民俗学と歴史学が明確に分けられていなかった。琉球史が学問の体を…
    記事へ
  • 海神の島 第284回 池上永一

    会員限定
     金庫を彷彿(ほうふつ)とさせる分厚い円形の扉が開いた。これから二十四時間かけて泉の体を二十気圧、水深二百メートルまで順応させる。  加圧室は潜水艦の内部のようだ。四畳半ほどの狭い室内にソファーや二段ベッドやトイレがパズ…
    記事へ
  • 海神の島 第283回 池上永一

    会員限定
     加圧室の前でシンガポール人の医師が、重大な健康障害が出る見込みを口頭と書面の両方で泉に示した。医師が次々とチェックシートにレ点をつけていく。  「あなたはこれまで飽和潜水をしたことがありますか?」  「いいえ。そこまで…
    記事へ
  • 海神の島 第282回 池上永一

    会員限定
     「花城先生、大丈夫ですって。お姉さんも妹さんもまだ気づいちゃいませんよ」  「涼(りょう)、あの二人は侮れないのよ。あいつらはいつも一足先に、私の手柄を掠(かす)め取っていくんだから」  新垣は、汀と澪の恐ろしさをイマ…
    記事へ
  • 海神の島 第281回 池上永一

    会員限定
     レイノルズ中佐は、軍人ばりの泉の作戦計画に、反論の余地がなかった。陽動といい、飽和潜水といい、ミッション・コンピューター奪取といい、実に手際の良い作戦だ。  泉がテーブルの上に手をつき、再び迫り出す。  “Am I h…
    記事へ
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 16

アクセスランキング

読売新聞購読申し込み_東京2020オリンピックパラリンピックキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
The Japan News
発言小町
OTEKOMACHI
ささっとー
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ