• 海神の島 第111回 池上永一

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     「澪ちゃん、この入間基地の風景をよく覚えておくんだよ」  と五十嵐がそっと耳打ちした。  「なんで?」  「澪ちゃんが相続する予定のアメリカ軍の基地の土地とほぼ同じ大きさなんだよ」  「アキサミヨー(ひええっ)!」  …
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  • 海神の島 第110回 池上永一

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     現場に立ち会っていた五十嵐がそっと澪に耳うちする。  「澪ちゃん、これが終わったら新宿のライブ。その後お宝探しだからね」  「わかってますぅ。お仕事が優先ですぅ」  自衛隊とロリは親和性が高い。例えば、いくら色っぽくて…
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  • 海神の島 第109回 池上永一

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     「汀ママ、話が逸れてますよ」  「カタログを眺めていてもしょうがないわね。一度宗像大社の神宝館に行ってみましょう。来週の予定は……と」  汀が手帳を開いた。日付欄にハートマークが多い、エロいスケジュール表だ。特に今週の…
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  • 海神の島 第108回 池上永一

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     汀のやることと言えば誑かししかない。山内正一をたらしこんだように、竜宮城並みの接待をすればよい。宮司が権威を欲しいのなら、宮内庁長官や内閣官房長官との縁を取り持ってやってもいい。こちとら本気を出せば、中国全人代常務委員…
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  • 海神の島 第107回 池上永一

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    *  午前零時、営業が終わったクラブ汀で、汀と隼人が相談していた。アフターのないホステスたちのフォローのお付き合いも忘れるほど、汀は次の作戦に手を拱(こまね)いている。  チーママの財前那月(ざいぜんなつき)が、汀のお気…
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  • 海神の島 第106回 池上永一

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     「当職は依頼者の花城漣(れん)氏から、海神の秘宝について大まかな説明を受けております。その黄金の勾玉は、故・石嶺(いしみね)賢治氏が昭和十二年に斎場御嶽で発掘したものだと手帳に記しております」  弁護士の男が曽祖父の賢…
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  • 海神の島 第105回 池上永一

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     「澪、およしなさい。泉が自殺するわ。処女のまま死ぬなんて可哀想でしょ」  「言ったなー、このエロ! あんたなんか死んでもアルコールで腐らないから、そのまま理科室に展示されちゃえばいい!」  「でもキリスト教では処女のま…
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  • 海神の島 第104回 池上永一

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     この喜びを知らせたかった澪は、すぐに五十嵐(いがらし)に電話した。お気に入りのゾウさんのポシェットをタスキ掛けにして、ネオンが点り始めた歌舞伎町の雑踏をスキップしながら話した。今、自分は世界一の果報者だと心から思える。…
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  • 海神の島 第103回 池上永一

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     歌舞伎町のライブハウスで出番を終えた澪が、楽屋に戻ってきた。これからチェキをして、二人分の深夜バス代を稼ごうというときだ。「花城澪さんへ」と宛名がついた差し入れが届いているのに気づいた。包装紙の中身はカバンか帽子だろう…
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  • 海神の島 第102回 池上永一

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     あまりの騒動に警備員がやってきて、四人とも守衛室に連行されてしまった。行き先がちょうど弁護士事務所ということで、引き取りに来てもらうことになった。  弁護士は久しぶりに会う姉妹の愚行に呆れ顔である。  「いくら相続争い…
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  • 海神の島 第101回 池上永一

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     二人の男が奇声をあげて駆け出していく。涼は汀の下半身にタックルし、隼人は紙コップの水を泉の顔にかけた。  「なにすんのよ!」  と姉妹が同時に悲鳴をあげる。ビルのエントランスは一時騒然となった。  「キンタマはどこ?」…
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  • 海神の島 第100回 池上永一

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     「もし花城先生のお姉さんが後を継いだらどうなるんですか?」  「トライトンを買えなくなって、また『ドブ板』の企業廻りよ」  「それだけは嫌です」  「涼、いいこと? 着物姿の女を見つけたらタックルするのよ。私はその間に…
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  • 海神の島 第99回 池上永一

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     隼人はすぐに拝石の裏側を確認した。やはりモルタルが無理に剥がされた形跡があった。  「隼人、一体どういうことなのかしら?」  「汀ママ、山内長介の骨壺は盗まれていますよ」  「そんなバカな。誰が盗んだっていうの?」  …
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  • 海神の島 第98回 池上永一

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     「いいこと? 山内長介の骨壺よ。他の御遺骨に手をつけちゃダメよ。だって……」  「だって?」  「バチが当たっちゃうじゃない? うふふ」  「俺たちは既に十分バチ当たりです!」  「やあね。残暑だし怪談でもしようかしら…
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  • 海神の島 第97回 池上永一

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     深夜二時、全身黒ずくめの二人の影が、宗像市の墓地に現れた。ヒソヒソ声で話しているのは汀と隼人だ。懐中電灯を点けようとする隼人の手を汀が遮った。  「明かりを点けちゃダメよ」  「見えるんですか? こんなに暗いのに」  …
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  • 海神の島 第96回 池上永一

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     鶏舎は錆びついたトタンの外壁が部分的に何箇所も補修され、ツギハギ状になっていた。敷地には補助輪つきの土埃(つちぼこり)に塗れたセーラームーンの自転車が捨てられていた。澪が同じものを持っていたことを思い出した。おそらく経…
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  • 海神の島 第95回 池上永一

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     「やっぱり海の見える町はサイコーね!」  首筋を掠(かす)める風が心地好い。海岸通りから見える玄界灘は、藍染の刺し子の道着を着た剣士のように凛々しい。と同時に思慮深さも感じさせる。知れば知るほど奥深い男のようで、泉の好…
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  • 海神の島 第94回 池上永一

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     玄界灘の内海で停泊するクルーザーの甲板で、新垣(あらかき)涼(りょう)は泉(いずみ)からの連絡を待っていた。泉からはこう命じられた。沖ノ島と宗像大社のどちらにでもいける位置で待機せよ、と。新垣は大島、地(じの)島(しま…
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  • 海神の島 第93回 池上永一

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     正一にとって卵焼きとは、母の作ってくれた甘くて焦げ目のついたものだ。だが汀のものはプリンのように柔らかく、ほんのり旨味があった。卵焼きは卵だけで作ると固くなる。だから汀の卵焼きは白身魚の擂(す)り身(み)と水を加えてい…
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  • 海神の島 第92回 池上永一

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     「山内長介様、お礼が遅くなって申し訳ございません。わたしの祖母がお世話になりました──」  まるで上(うえ)村(むら)松(しょう)園(えん)の美人画のように艶かしい曲線を描く汀の顔は、眺めているだけで深遠な気持ちになっ…
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