• やさしい猫 第79回

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     「なんかちょっと変なのよね」 と、ミユキさんが言った。 七月も終わりかけていて、わたしとミユキさんは二人でショッピングに出かけていた。バーゲンセールが終わってしまう前にと、大慌てで出てきて、クマさんはいっしょじゃなかっ…
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  • やさしい猫 第78回

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     そのあと、なんとかして自力で渋谷駅までたどり着いて、電車に乗って家に帰った。あれはなんだったんだろう。クマさん、どうしてあんなところにいたんだろうと、帰る道々、不思議に思ったけれど、家に戻ると、コンクール作品を出してき…
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  • やさしい猫 第77回

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     ホームセンターの本社があったのは幹線道路沿いで、わりに新しいビルの立ち並ぶあたりだったけれど、そのときわたしが迷い込んだ場所は、寂れた商店街だった。幹線道路からその商店街に入る角のところは、かなり広いスペースが白い鉄板…
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  • やさしい猫 第76回

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     あのころを思い出すのは難しい。何が起こったのか、何が変わってしまったのか、その時間を生きてたときは気づいていなかったから。でも振り返ってみると、奇妙なことはたしかに起こりつつあった。「占いによる結婚延期」騒ぎがあって二…
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  • やさしい猫 第75回 

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     「そんなの、いまさら言わないでよ。もう会場だってキープしてるし、友達にも知らせてあるんだし」 「ごめん」 「そんなに占いがだいじなら、まず、占い師に聞いてから、結婚パーティーの予定を決めればよかったじゃない」 「ごめん…
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  • やさしい猫 第74回 

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     絵画コンクールの締め切りのために、わたしは絵の仕上げに入っていて、部活もけっこう遅くなる日が続いていた。 あのころは、わたしが家に帰ってから夕食の支度をするのは負担だろうと、ミユキさんが食事の準備をしてから仕事に出るよ…
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  • やさしい猫 第73回 

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    あらすじ 夕陽(ゆうひ)に染まる江ノ島で、クマさんのプロポーズを受け入れたミユキさん。反対していた鶴岡のおばあちゃんも根負けし、大晦日(おおみそか)と元日は鶴岡で過ごした。2人はいよいよ結婚に向けて歩き出す。 いつだった…
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  • やさしい猫 第72回

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     二時間の飲み放題プランが終わり、場所を変えて二次会をということになった。ところがクマさんは表情を硬くして、行かないという。ミユキさんは説得を試みたが、 「帰ろう」 と言うなり、クマさんはミユキさんの手を引いてずんずん歩…
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  • やさしい猫 第71回

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     複数の人が「ナイストゥミーチュー」と言うので、クマさんはちょっと困ってた。 「日本語でだいじょうぶ。はじめまして」 とクマさんが答えると、感激して、 「わー、すごい、日本語うまい。ベリーグッド、ジャパニーズ」 と言った…
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  • やさしい猫 第70回

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     五 疑惑 あの年のことは、忘れない。どうしたって忘れようがない。 おばあちゃんが軟化して結婚が決まったあの年の初めから春ごろまでは、狭いアパートでちんまり生きてるわたしたちはみんな、ほんとに、心の底から、ハッピーだった…
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  • やさしい猫 第69回

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     三十日に鶴岡に行って、大晦日(おおみそか)と元日を過ごし、二日に帰京した。納豆餅はとうとう食べられなかったクマさんだったが、野菜や魚の天ぷらは、けっこう気に入ってて、わたしはちょっとほっとした。はたはたの焼いたのは、カ…
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  • やさしい猫 第68回

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     鶴岡のおばあちゃんが根負けしたのは、その年の暮れのことだった。 おばあちゃんとミユキさんは、憎み合ってるわけじゃない。しょっちゅうお互いの悪口を言いながら、おばあちゃんはさくらんぼとかお餅とかいろいろ送ってくれたし、ミ…
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  • やさしい猫 第67回

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     「んだ。世の中は、『おしん』の時代と変わってねえし。服とかだば変わっけど、人間の頭の中だばそげ変わらねろや」 「なんで変わってない世の中のせいで、わたしがあきらめなきゃいけないの。ばっかばかしい。ショックだよ。自分の親…
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  • やさしい猫 第66回

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     仏頂面のミユキさん、有頂天のクマさん、とりすましたおばあちゃん、ちょっとうんざりしてるわたし、というメンバーで、翌日は観光に出かけた。クマさんは、最上川を見るだけで胸がいっぱいになってしまって、おしんが筏(いかだ)でこ…
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  • やさしい猫 第65回

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     せっかく結婚の報告をしに鶴岡までやってきたのに、おばあちゃんが「認めね」とか言うもんだから、ものすごい険悪ムードが立ちこめた里帰りになり、ミユキさんは荷物も置かずに帰ると言い出した。 クマさんはいつのまにかいなくなり、…
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  • やさしい猫 第64回

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     「じゃ、スリランカのジャヤワルデネ大統領は、日本にとっては恩人ってこと?」 「そう。どうよ、これ、ばーちゃんにウケると思わない?」 ミユキさんは、一本の缶ビールで少し酔っているみたいだった。 「この話で、スリランカの人…
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  • やさしい猫 第63回

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     「ジャヤワルデネさんて、誰?」 「鎌倉で、石碑を見たでしょう?」 「あ、ジャヤワルダナ?」 クマさんが驚いたように言った。 「誰、それ」 「スリランカのずっと前のプレジデント」 「プレジデントって?」 「大統領よ。マヤ…
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  • やさしい猫 第62回

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     苗字(みょうじ)のことなんだけど、結局、わたしは「首藤」のままで、ミユキさんだけ「奥山」に戻ることになった。手続きしなければ「首藤」のままでいられるって話だったし、わりと気に入ってるしね。 ミユキさんにはお父さんとの思…
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  • やさしい猫 第61回

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     「お母さんがクマさんに騙(だま)されるの? 何を騙されるの?」 ミユキさんとわたしは、飛行機に隣同士で座って、「てら岡」の鯖(さば)寿司(ずし)を食べ、お茶を飲み、デザートの「博多通りもん」に取りかかったところだった。…
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  • やさしい猫 第60回

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     中二の夏に、四年ぶりで、福岡のおじいちゃん、おばあちゃんのところに出かけた。首藤家の墓にお参りして、おじいちゃんとお祭りを観(み)に行った。 きっちり精進料理ばかり作るおばあちゃんのお盆は、食べ盛りの中学生にはちょっと…
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