読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

幸村を討て

  • 幸村を討て 第292回 今村翔吾

    会員限定
     吉政だけが独りで探し始めた。己もまた、 ――探し出しますので泣き止んで下さい。 と、茶々を慰めていたからである。 びいどろ玉を失くしたと気付いたのが正午の頃。吉政は迎えに来た森家の家臣を、姫様との約束事があると告げて待…
    記事へ
  • 幸村を討て 第291回 今村翔吾

    会員限定
     ともかくこのようなことは初めてであり、殿としても是非、吉政を傍に置いておきたいとのこと。己の小姓という名目で、小谷城に詰めて欲しいと命じた。 「あり難き幸せ」 父は歓喜に震えて頭(こうべ)を垂(た)れた。 大小三百を超…
    記事へ
  • 幸村を討て 第290回 今村翔吾

    会員限定
     苦手だが吉政も逆らうつもりはない。場所を移して手合わせをする。これも茶々が三本中、三本を見事に取った。最後の一本で額を強(したた)かに打たれた吉政は、 「参りました。お見事です」 と、痛さからくる涙を懸命に堪(こら)え…
    記事へ
  • 幸村を討て 第289回 今村翔吾

    会員限定
     「吉政、弓の稽古(けいこ)に付き合え」 翌日、茶々は会うなりいきなり命じた。通常、諱を呼称として用いることはない。身分が上の者がそう呼ぶのは悪いとは言わぬが、それでも些(いささ)か憚(はばか)られるものである。茶々とし…
    記事へ
  • 幸村を討て 第288回 今村翔吾

    会員限定
     だからといって男子をという訳にはいかない。分別も付かぬ童ならば、姫が相手でも喧嘩(けんか)に発展してしまうことがあり得る。むしろ姫のお転婆の度を増してしまう恐れすらあるのだ。何とか都合の良い相手がいないかと殿が頭を悩ま…
    記事へ
  • 幸村を討て 第287回 今村翔吾

    会員限定
     そのような吉政が六歳となった元亀四年(一五七三)の正月。吉政は父の部屋に呼ばれた。父の様子がいつもと異なり、不安と高揚の入り混じる顔をしていたのをよく覚えている。 「はあ……」 話を聞き終えた吉政の呆(ほう)けたような…
    記事へ
  • 幸村を討て 第286回 今村翔吾

    会員限定
     毛利勝永は永禄(えいろく)十一年(一五六八)、近江国長浜(おうみのくにながはま)に生まれた。その頃の姓は毛利ではなく森(もり)と謂った。別に他家に養子に入った訳ではなく、後に秀吉により命じられて変えたものである。 諱(…
    記事へ
  • 幸村を討て 第285回 今村翔吾

    会員限定
     「話されましたか」 幸村は消え入るような声で聞いた。流石に憚(はばか)られると思ったか。いや、返ってくる答えが朧気(おぼろげ)に見え、己の心情を汲(く)んでのことだろう。 「いや、何も」 「よいので」 「なかなか」 開…
    記事へ
  • 幸村を討て 第284回 今村翔吾

    会員限定
     幸村もまたこの戦は、これまでのものと大きく違うと考えているという。負ければ戦国最後の戦となるからであろう。各々がそれぞれの目的を達しようとしていた。それを幸村は仕方のないことだと思っているし、止める気もさらさらない。…
    記事へ
  • 幸村を討て 第283回 今村翔吾

    会員限定
     この出撃策の中で討ち死にする将が出るだろうことは、口に出さずとも皆が気付いている。それでもその中に己たちが含まれぬように、少しでも多くの兵を残せるようにすべきだと幸村は主張した。 「だが後藤殿は得心するまい」 後藤又兵…
    記事へ
  • 幸村を討て 第282回 今村翔吾

    会員限定
     家康さえ討ち取れば勝てるなどとほざいている者もいるが、それはあり得ない。家康は権力の半分を秀忠に移譲しており、幕府の体制は盤石となっている。二人同時に討ち取り、天下の乱れを誘うほか、豊臣家の生き残る道は残されていない。…
    記事へ
  • 幸村を討て 第281回 今村翔吾

    会員限定
     その幸村に己の想いを見抜かれた。誰にも気付かれぬと思っていたから驚いたものである。些細な目の動き、言葉の端々から感じ取り、これはと思って配下を使って己の過去を探らせたというのだ。幸村は此度の戦に優れた忍びを多く連れてき…
    記事へ
  • 幸村を討て 第280回 今村翔吾

    会員限定
     何故このような行動を取るに至ったか。端的に言えば、己と幸村の利害が一致した。味方どうしで利害が相反することなどあるのか――。大坂城の内情を知らぬ者が聞けばそう思うに違ない。だが現実として諸将の目指すものが食い違っている…
    記事へ
  • 幸村を討て 第279回 今村翔吾

    会員限定
     「目算よりも合戦の始まりが遅うございます。今少し足を落としましょう」 「解った。庄右衛門」 勝永が呼びかけると、庄右衛門は小さく首を縦に振った。 「霧のせいでぬかるんでいるところもあります。決戦に備えて馬に大事を取らせ…
    記事へ
  • 幸村を討て 第278回 今村翔吾

    会員限定
     「拙者(せっしゃ)は真田左衛門佐家臣、望月(もちづき)重内(じゅうない)。豊前守(ぶぜんのかみ)様に、主君より言伝(ことづて)があります」 戦場の倣(なら)いにて、伝令は馬から降りずとも良いことになっている。勝永を官職…
    記事へ
  • 幸村を討て 第277回 今村翔吾

    会員限定
        六文銭 毛利の恋 まるで一間先に白亜の壁があるかのような深い霧の中、毛利(もうり)勝永(かつなが)は粛々(しゅくしゅく)と軍を進めていた。 甲冑(かっちゅう)がじっとりと湿っているからか、擦(す)れて立つ音がやや…
    記事へ
  • 幸村を討て 第276回 今村翔吾

    会員限定
     父が想いを込めて付けた己の「信幸(のぶゆき)」という諱。それを徳川家と縁付くにあたって「信之」と改めてしまった。相談しても猛反対をされただろう。故に己の一存で変えたが、父は烈火の如く怒った。その後、父の居室に改めて詫(…
    記事へ
  • 幸村を討て 第275回 今村翔吾

    会員限定
     それを止めたのは御屋形様であった。新たに生まれくる弟にその諱を用いれば、生涯に亘って己が苦しみ続けると考えたのだろう。 「俺が見たことは口が裂けても父上に言えない。そもそも家臣の子の名にまで口を出すのは、流石に御屋形様…
    記事へ
  • 幸村を討て 第274回 今村翔吾

    会員限定
     やがて一年が過ぎ、捜索に一区切りをつけると決めた父の顔に、悲愴(ひそう)ともいえる覚悟の色が浮かんでいることにも気付いていた。 父とこのことについて語ったことはない。いつでも源四郎が戻れる家を守るという意味で、家名を保…
    記事へ
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 15

アクセスランキング

読売新聞購読申し込み

新着クーポン

NEW
参考画像
お買い上げ金額から10%OFF
NEW
参考画像
1ドリンクサービス(お一人様1杯)
NEW
参考画像
1,000円以上お買上げの方に「とうきび茶」プレゼント
NEW
参考画像
「ふぞろいの牛タン・切り落とし」一品プレゼント!
NEW
参考画像
ファーストドリンク一杯無料

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)