倫理、政治・経済

 
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総評と分析

倫理分野では、かなり踏み込んだ知識まで問われた。政経分野では、オーソドックスな出題内容・出題形式が踏襲された。

倫理分野は、昨年度に引き続き8択問題はなかったが、クワインや徳富蘇峰、中江兆民など、盲点的事項からの出題が目立った。政経分野は、高校教科書に準拠したような出題(為替による決済の仕組みの問題など)が目立ち、オーソドックスな出題内容であった。また、昨年度にあった8択・9択の組合せ問題がなくなって、解きやすくなったと言える。

問題分析

大問数 大問数は昨年度と同じ6。
設問数 設問数は昨年度から1増えて37。
解答数 解答数は昨年度から1増えて37。

問題量

  • 倫理分野は、文章そのものは読みにくいものの、ほぼ昨年度通りの問題量。政経分野も、昨年度に減っていた図表読解問題の増加はあったが、全体の問題量は例年通り。

出題分野・出題内容

  • 第1~3問が倫理分野、第4~6問が政経分野という構成は昨年度までと変化なし。
  • 第1問(現代社会・青年期・心理学など)、第2問(東洋・日本思想)、第3問(西洋思想)とも、「倫理」の設問からの抜粋で、例年通り。
  • 第4問(平等)は「政経」第1問からの抜粋、第5問(宇宙船地球号)は「政経」第3問からの抜粋、第6問(自由民主主義)は「政経」第4問からの抜粋であった。

出題形式

  • 倫理分野は、昨年度と同様、すべての設問が4択もしくは6択形式という構成で、語句の穴埋め問題が3題あった。政経分野では、昨年度に登場した、すべてを選ぶ組合せ問題が1問出題されたが、昨年度にあった8択・9択の組合せ問題はなくなった。

難易度(全体)

  • 全体としては昨年度並み。倫理分野では、難易度は昨年度並みであるものの、内容に関してやや発展的な設問が多かった。政経分野では、今年度の「政治・経済」から易しめの設問が多く外されているが、得点率を大きく左右することはないと思われる。

設問別分析

第1問 (14点満点)

配点 出題内容 難易度
14 現代社会の諸問題(ロボットと仕事、「友達」のあり方について) やや難

「倫理」第1問からの抜粋が中心。ロボットと人間、友達のあり方をめぐる高校生同士の会話を題材に、現代社会や現代思想の分野から主に出題された。問1では普段の学習で馴染みの薄いクワインが出題されたが、文脈と消去法で解答可能。問2は昨年度には見られなかった図表読解問題だが、グラフ項目の文章量が多い。問3は資料文の読解問題で、引用はネル・ノディングズ『ケアリング』から。問4・5はやや一般常識的な題材だが、問5の「UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)」や「JICA(国際協力機構)」の内容の正誤判定は倫理受験者には細かい。またマララ・ユスフザイなど現代分野からの出題があった一方、頻出であるフロイトやエリクソンなどは扱われなかった。

第2問 (18点満点)

配点 出題内容 難易度
18 日本・東洋思想の総合問題(「武士道」と「茶道」にみる日本の伝統) やや難

「倫理」第3問からの抜粋が中心。「武士道」と「茶道」を通じて日本の伝統を考察する本文を題材に、日本思想と東洋思想分野から出題された。問1の大乗・上座部仏教については経典の名前など細かく発展的。問2は日本の古代思想に関する出題だが、慎重な検討が必要。問3の諸子百家はオーソドックスな問題。問4と問5の山鹿素行や徳富蘇峰は、盲点になりがちな人物。問6は空欄3か所の出題形式が復活。東洋のルソーと呼ばれた中江兆民の出題のため両者の知識を必要とする。幸徳秋水が社会主義者であるためやや紛らわしかったかもしれない。問7は本文読解問題。

第3問 (18点満点)

配点 出題内容 難易度
18 西洋思想の総合問題(生の謳歌) 標準

「倫理」第4問からの抜粋が中心で、昨年度から1問増加している。「生の謳歌」をめぐる思索について述べられた本文を題材に、西洋思想史分野から総合的に出題された。問1はキリスト教の基本的問題。問2の社会契約論者については誤答が極端で易しめ。問3の正解であるアリストテレス「中庸」の例は有名だが他の誤答もやや紛らわしい。問4は頻出のデカルトやスピノザから標準的な出題。問5、カントとヘーゲルの対立は知っていても問われた用語は馴染みがなく難しかったと思われる。6択だが配点は2点。問6のニーチェは標準的。問7は本文読解問題だった。

第4問 (22点満点)

配点 出題内容 難易度
22 平等(支配の正当性、難民、市場、需給曲線など) 標準

第4問は「政治・経済」第1問から8設問を抜粋して構成。高校教科書の多くに太字付きで掲載されている基礎知識だけで正答できる設問が問1(支配の正当性)、問2(アダム・スミス)、問3(寡占市場)と3問ある。問6(輸入商品の需給曲線)は応用力を要するが、難しくはない。それに対して、問4(消費者契約法など)・問5(最低賃金など)・問8(難民条約など)は、教科書によっては記載がない事項の知識が必要であった。また、七択で正しい記述の組合せを答える問7(地方公共団体)は、細かな知識(省令、国庫支出金の使途)を要するのでやや難しく感じる。

第5問 (14点満点)

配点 出題内容 難易度
14 宇宙船地球号(公共財、発展途上国、外国為替、資金調達など) 標準

第5問は「政治・経済」第3問から5設問を抜粋して構成。問1(非排除性)は「フリー・ライダー」という言葉を知っていれば簡単。問2(発展途上国)は、特恵関税を含むプレビッシュ報告の知識を要する標準的な問題。問3(外国為替の仕組み)は、2012年度本試験「政治・経済」にほぼ同じ問題が出題されており、過去問演習の重要性が分かる。問4(日米の企業の資金調達)は他人資本などの概念の理解を問う良問。問5(ODA)ではグラント・エレメントなどの知識が必要であった。

第6問 (14点満点)

配点 出題内容 難易度
14 自由民主主義(司法積極主義、選挙制度、大衆民主主義など)

第6問は「政治・経済」第4問から5設問を抜粋して構成。問1(司法積極主義)は、司法消極主義などの用語ではなく考え方の理解を問う良問であった。それ以外は平易な問題。問8(国民の自由や権利)には、不要選択肢に「フェイクニュース」が取り上げられた。

大学入試センター試験平均点(過去5年分)

年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度 2015年度
平均点 64.22点 73.08点 66.63点 60.5点 59.57点
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センター・国公立2次試験日程
1月18・19日 センター本試験
1月25・26日 センター追試験
1月27日~ 国公立2次出願受け付け
2月25日~ 国公立2次前期試験
3月1日~ 前期合格発表(公立大学)
3月6日~ 前期合格発表(国立大学)
3月8日~ 公立中期試験
3月12日~ 後期試験
3月20日~ 中・後期合格発表

※日程は変更になる場合があります

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