化学基礎
総評と分析
試行調査で見られたような実験を考察する大問形式の総合問題が出題されたが、センター試験と同様の小問も引き続き出題された。
センター試験と同様の小問集合については、基本的で得点しやすい出題が多かったが、グラフを用いた設問では、小問が連動した正解しにくい出題もあった。試行調査(2018年度実施)と同様に、第2問ではリード文から情報を得て考える、思考力を要する出題が見られた。
センター試験・試行調査との相違点
- センター試験に見られた小問集合と、試行調査(2018年度実施)に見られた大問形式のいずれも出題された。大問形式や実験考察に慣れていないと戸惑うかもしれないが、各問は基本的なものもあったので、落ち着いて取り組めば問題ないだろう。
問題分析
大問数 | 2 |
---|---|
設問数 | 10 |
解答数 | 17 |
問題量
- 比較的長文の問題が出題されたが、全体の問題量としてはほぼ適当。また、計算問題の設問数は5問であった。
出題分野・出題内容
- 第1問は物質の構成、化学結合、結晶、酸化・還元、第2問は酸・塩基を中心に出題された。
- 第1問は、教科書レベルの基本問題が中心であるが、問3の原子番号、陽子、中性子、価電子の関係を表したグラフ読み取りで悩んだ受験生が多かったのではないか。
- 第2問は陽イオン交換樹脂に関する出題で、その原理が理解できたかどうかがポイント。
出題形式
- 比較的長文の問題文が出題され、それに関する問をいくつか配置する大問形式の問題が出題されたが、センター試験と同様、小問集合形式の問題も出題された。また、答えの数値自体を解答させる問題が出題された。
難易度(全体)
- 昨年度のセンター試験と比べるとやや難、試行調査(2018年度実施)とは同程度。第2問の総合問題形式の実験考察問題は共通テストで特徴的なものでやや難しい。他にも考察的なものが出題されたが、センター試験で見られたような基本的な小問もいくつか出題され、それで難易度のバランスが取られている。
設問別分析
第1問 (30点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
---|---|---|---|
問1 | 3 | 物質の分類 | やや易 |
問2 | 4 | 物質量 | 標準 |
問3 | 6 | 原子の構造 | やや難 |
問4 | 3 | 結晶の性質 | やや易 |
問5 | 3 | 金属の反応性 | やや難 |
問6 | 4 | 酸化数変化 | やや易 |
問7 | 3 | 溶液の質量パーセント濃度 | 標準 |
問8 | 4 | 燃料電池 | 標準 |
問1は物質の分類に関する基本的な問題。問2は物質量に関する問題で、分子式に注意すれば平易。問3のaは価電子のように特徴的なところから見ていけばわかりやすい。問3のbは質量数や原子番号をマークする問題で、今まで見られなかった形式。問4は結晶の特徴がわかれば解ける。問5の金属の反応性の問題は細かい知識が必要でやや難しい。問6の酸化剤を選ぶ問題はセンター試験でも何度も出ているもの。問7は質量パーセント濃度と密度の意味がわかるかがポイント。問8は正極の電子の係数を2に変えて量的関係を考える。
第2問 (20点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
---|---|---|---|
問1 | 8 | 塩の分類、イオンの価数 | 標準 |
問2 | 12 | 中和反応、溶液の調製、中和滴定 | やや難 |
本問は共通テストの特徴である、新規の題材に関する実験考察問題。イオン交換樹脂については、化学を履修していれば知っている人も多いと思うが、化学基礎しか履修していない生徒には初見となるため、やや戸惑ったかもしれない。問1のaは塩の分類の問題で、知識があれば平易。問1のbは金属イオンの価数と流出する水素イオンの関係が把握できているかがポイント。問2のaは中和反応に関するもので平易。問2のbはよく出る実験器具の使用法に関するもの。問2のcもカルシウムイオンの価数と水素イオンの量的関係がポイントとなる。
大学入試センター試験平均点(過去5年分)
年度 | 2020年度 | 2019年度 | 2018年度 | 2017年度 | 2016年度 |
---|---|---|---|---|---|
平均点 | 28.20点 | 31.22点 | 30.42点 | 28.59点 | 26.77点 |