地学基礎
総評と分析
図表の読み取り問題が少なく、組合せ問題が多く出題され、知識を問う問題の比重が高かった。
大問数は第1日程やセンター試験2019年度以前と同じ3であった。複数の知識の組合せ問題が多数出題され、6択問題も多かった。平易な問題もあるとはいえ、正確な知識が必要とされていた。
センター試験・試行調査との相違点(第1日程との相違点)
- 設問数、解答数は試行調査の14題ではなく、2020年度センター試験や第1日程と同様の15題だった。第1日程と比べると6択形式の問題、知識の組み合わせ問題は増加した。宇宙分野からの出題が1題減少し、地球分野からの出題が1題増加した。また、試行調査に見られたような分野横断的な出題はなかった。
問題分析
大問数 | 3 |
---|---|
設問数 | 15 |
解答数 | 15 |
問題量
- 資料を読み取ったり、選択肢を検討したりする必要がある問題には解答に時間を要するが、解答を絞りやすい知識問題もある。また、図表が減った一方で、全体の文章量はやや増加した。これらから、問題量は時間に対して適当と思われる。
出題分野・出題内容
- 地球・大気海洋・宇宙分野から出題された。
- 第1問では地球分野から、Aは原始地球、プレート、地震、Bは地質断面図、Cは岩石と鉱物が出題された。
- 第2問では大気海洋分野から、Aはエネルギー収支と熱の輸送、Bは大気と海洋の鉛直構造から出題された。
- 第3問では宇宙分野から、太陽系の元素組成、地球の形成過程、小惑星が出題された。
出題形式
- 6択形式の問題が5題であった。また、複数の知識を組み合わせて解答する問題は10題であった。
難易度(全体)
- 前年度のセンター試験と比べても、試行調査と比べても、同程度の難易度だと思われる。新テストの傾向である科学的思考力、資料分析力を必要とする問題は少なめで、知識問題が多い印象である。図表の読み取りや選択肢の検討を必要とする問題はやや難しかったが、選択肢を絞りやすい問題も複数出題されていた。
設問別分析
第1問 (27点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
---|---|---|---|
A | 10 | 原始地球、プレート境界、地震のエネルギー | 標準 |
B | 10 | 地質断面図、示準化石、断層、不整合 | やや難 |
C | 7 | 岩石の特徴、鉱物のへき開 | やや易 |
Aの問3は、グラフを読み取ってマグニチュードごとの放出エネルギーの総和を比べる計算問題で、地震1回あたりの放出エネルギーの比である約32倍に、発生数の比である9分の1倍を掛ければよい。Bは地質断面図の読図問題で、問4と問5は、各地層、断層、不整合を時系列に整理することが重要である。問6の文bは,海面が上昇・低下しなくても地盤が沈降・隆起すれば不整合が形成されることに注意する。Cの問7は3つの岩石の観察結果と岩石名の正誤の組合せ問題だが、すべて正とすべて誤の選択肢がないので、6択問題になっている。
第2問 (13点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
---|---|---|---|
A | 7 | 地球のエネルギー収支と熱の輸送 | 標準 |
B | 6 | 大気と海洋の鉛直構造 | 標準 |
Aの問2は大気と海洋による熱の南北輸送量のグラフについての正文選択問題で、慎重な読図が要求される。特に、大気の熱輸送量と海洋の熱輸送量の大小を比較するときには、輸送量を示す縦軸の原点がグラフの下端ではなく中央であることに注意する必要がある。Bの問3は、気圧の減少割合から1 hPaと100 hPaに相当する高度を求めたうえで気温を比較する問題で、1 hPaである高度が成層圏と中間圏の境界であることから、100 hPaである高度の成層圏下層よりも高温と判断できる。
第3問 (10点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
---|---|---|---|
10 | 太陽系の元素組成、地球の形成過程、小惑星 | やや易 |
太陽系の元素組成に関する先生と生徒の会話文を通した出題である。問2は、太陽系の元素の個数比が問われ、多い方から3番目の酸素と4番目の炭素については、与えられた会話文の文脈から判断できる出題だった。問3は、4つの天体画像から小惑星を選ぶ問題で、探査機「はやぶさ」の調査対象であった小惑星イトカワの形状を知っていれば有利な問題であった。ただし、イトカワの形状を知らない場合でも、小さい天体は球体でないものが多いことと、彗星ではないことから正答できる。
大学入試センター試験平均点(過去5年分)
年度 | 2020年度 | 2019年度 | 2018年度 | 2017年度 | 2016年度 |
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平均点 | 27.03点 | 29.62点 | 34.13点 | 32.50点 | 33.90点 |