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石川佳純「空港が駅みたい」な日々重ね4強に

卓球女子シングルス準決勝進出を決め、笑顔を見せる石川佳純(31日、エクセルで)=松本剛撮影

 ロンドン五輪卓球女子シングルスは31日、石川佳純(かすみ)選手(19)が、五輪の卓球シングルスでは日本人初のベスト4に進出。初出場の若きエースが、快挙を成し遂げた。

 準決勝で敗れたが、1日の3位決定戦で日本初の銅に挑む。

 4年前の北京五輪は、母の久美さん(48)と観客席にいた。目の前で試合を繰り広げる福原愛選手(23)と平野早矢香選手(27)ら。プロツアーや世界選手権では感じたことのない緊張感、一球一球にかける姿に感動した。「あの舞台で試合をしている人たちはすごい」。その時はまだ、4年後の五輪に自らが出場するとは、想像すらしなかった。

 元卓球選手の両親の影響で、小学1年で卓球を始めた。久美さんがコーチ役を務め、3か月後には、地元、山口県内の小学2年生以下の大会で2位になり、全国大会へ。当時の世界王者で、同じ左利きの王楠選手(中国)のビデオを毎日家で見て、世界に憧れを募らせ、「オリンピックに行きたい」と口にした。

 夢だった五輪を、現実感をもって意識し始めたのは、高校3年の2010年春。世界ランクの日本上位2人が代表に選ばれることが発表されると、「あの舞台に立ちたい」という一心で奮起した。

 当時、世界ランク上位にいた福原、平野両選手に追いつこうと、10代の〈強み〉を生かし、2人が出場できないジュニア大会で優勝を重ねてポイントを稼ぎ、成績を上げていった。海外遠征から戻ると、荷物を入れ替え、また別の国へ。「空港が駅みたい」な毎日だった。

 基礎的な体力、筋力を身につけるため、嫌いだった筋力トレーニングにも力を入れた。11年1月、準決勝で福原選手を破り、全日本選手権初優勝。世界ランクで日本人トップになり、同年5月の世界選手権ではベスト16に進み、五輪切符を手にした。

 ロンドンに同行した久美さんから前夜、「チャレンジ精神で行きなさい」と励まされた石川選手。準決勝では強豪・中国の李暁霞選手を相手に、スマッシュを果敢に繰り出し、攻めの姿勢を貫いた。観客席の久美さんは「チャンスがないわけじゃない。胸を借りるつもりで頑張ってほしい」と話し、大舞台で世界に挑む娘を、まぶしそうに見つめた。(梶多恵子、石浜友理)

2012年8月1日05時42分  読売新聞)