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ディーン元気、「父の祖国」目指し投げたヤリ

 1投目のやりはまだ空にある。

 ディーン元気は落下点を確かめもせず、フィールドに背を向けて両腕を突き上げた。「練習で理想の動きをつかみかけていた。それを実現した確信があった」。

 溝口和洋の日本記録(87メートル60)に次ぐ歴代2位の84メートル28は、昨年の世界選手権4位相当の好記録。20歳の新鋭は「自信もあったけど、びっくり」と照れ笑いを浮かべた。

 兵庫・市尼崎高時代から将来を嘱望されてきた。自己ベストを一気に5メートル近く更新、2009年世界選手権銅の村上幸史(スズキ浜松AC)の自己記録83メートル53も上回った。期待の若手を一気に飛躍させたのは、「父の母国」で開催されるロンドン五輪への思いだった。

 英国人を父、日本人を母に持つ。「父が生まれた国の五輪に日本代表として行くのが夢」。2月に強豪国フィンランドなどに単身で遠征。1メートル82の恵まれた体格をさらに鍛え、3キロ増の88キロと一回り大きくなった。

 「6月の日本選手権で結果を出して(五輪)切符をつかみたい。最高の親孝行にもなる」。夢に大きく近づいた。(佐藤謙治)

2012年4月30日07時02分  読売新聞)