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五輪の大学

食事はトレーニング…栄養学

 アスリートは体が資本。栄養科学に基づく食事を取ることで、消耗が激しい競技に耐えうる体を作ることができる。

 日本オリンピック委員会(JOC)ゴールドパートナーの味の素は、2003年から選手強化支援として、「ビクトリープロジェクト」を展開する。簡単に摂取できるアミノ酸などを選手に提供し、同社の調味料などを利用したレシピの提案などを含め、幅広いサポートも行う。

羽生 バテない体作り

 フィギュアスケート男子の羽生(はにゅう)結弦(ゆづる)(ANA)には、海外でも必要な食事が簡単に作れるよう、同行する家族にアドバイスを授けている。同プロジェクトの栗原秀文さんは当初の羽生について、「食が細く、一口食べるともういらない、という感じだった」と振り返る。

 フィギュアスケートのフリーの演技は4分30秒。競技に耐える体を作るのが基本だ。まずは食べることを優先するため、栗原さんはグルタミン酸の豊富な「だし」を使って食欲を増進したり、調味料を利用した鍋物などのレシピを提案した。その中から、羽生お気に入りのメニューがいくつか見つかり、食の細さも改善されたという。「(フリーの)最後で立ち上がれないくらい疲労していたのが、バテなくなったし、大会後に風邪を引かなくなった」と栗原さん。「しっかり練習もできているから、自信もついたのでは」と話す。

高橋 年齢重ね締まった

 同じフィギュアスケート男子の高橋大輔(関大大学院)を5シーズンにわたり、栄養面からサポートしている石川三知さんは、ほぼ週1回、高橋の自宅で1週間分の食事を用意してきた。バレーボールなど他競技での栄養指導歴も豊富だが、「(彼は)特異な例。こんなに食事を作ったことはない」と苦笑いする。

 下調理だけの野菜を除き、スープ、肉や魚のメーン料理、副菜、炊き込みご飯など最低でも10種類は調理。冷蔵庫は保存容器に入った料理でいっぱいだ。メニュー作りは、「いかに疲労から回復するか、いかにダメージのもとから体を守るか」が基本になる。

 「食べるもので体は変わる」と石川さん。指導し始めた当初から比べると高橋は太らなくなり、年齢を重ねても締まりやすい体になっていると感じているという。高橋本人も食への興味を深め、外食する際もサラダバーなどを活用し、石川さんの作るメニューを再現するまでになったという。

 「食べること」は、トレーニングの一環でもある。どんな栄養を取るかだけでなく、食卓の雰囲気も大切。海外合宿にも同行する石川さんは、現地で興味を引かれる食材を取り入れ、食卓に新鮮な話題を提供することもあるという。笑顔や会話など食卓の明るさ、楽しさはスパイス以上の意味を持つようだ。

高梨 遠征支える和食

 スキージャンプの高梨沙羅(クラレ)を栄養面で支えているのが、森永製菓の管理栄養士、細野恵美さんだ。1〜2月にかけて9日間で6戦に出場した厳しい遠征も、細野さんの献身的なサポートで乗り切った。

 1月26日、スロベニアのワールドカップ(W杯)会場。試合前、細野さん手作りのおにぎりとカステラを頬張る高梨がいた。おにぎりの具は、本人がリクエストした昆布。カステラは、糖分と卵(たんぱく質)を補給するのに良く、脂質も入っていない。

 海外遠征中はホテル暮らしで、栄養管理が難しい。「沙羅と細かく打ち合わせして、いつ、何を食べるかを決めています」と細野さん。試合後は約300キロ離れたイタリアへ。移動中の食事用に、ご飯と、ほうれん草のみそ汁、湯豆腐、ヒジキと大豆の煮物のお弁当を作った。「イタリアは標高が高いので、酸素を十分に取り込むため、鉄分を含む豆とヒジキ、ほうれん草をかわいそうなくらい入れました」。見た目は地味だが、栄養と愛情たっぷりの弁当だ。

 試合中に飲むしょうが湯も特別製。「細野さんのおかげで、海外に行っても体調が整うのが早くなった」と高梨。活躍の陰には、縁の下の力持ちの存在がある。

2014年2月19日17時11分  読売新聞)

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