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五輪トピックス

トランポリン…跳び越えられるか、メダルへの壁

編集委員・三宅宏
  • ロンドン五輪のトランポリン男子で4位になった伊藤正樹(2012年8月3日、松本剛撮影)
    ロンドン五輪のトランポリン男子で4位になった伊藤正樹(2012年8月3日、松本剛撮影)

 メダルがもらえる3位と、そうでない4位では印象が全然違う。見る方もそうだし、選手たちの思いも同じだ。時に「金以外はメダルじゃない」と言われる柔道でも、3位決定戦に回れば、がむしゃらにメダルを取りに行く。ロンドン五輪に続く2連覇を逃し、リオでは3位決定戦に勝って銅メダルを手にした女子57キロ級の松本薫(ベネシード)は「何も持たずに日本に帰れない」と言った。やはり、3位と4位以下の差は大きい。そして、その間にある壁を越えられないのがトランポリン男子日本代表なのだ。

 ここ2大会の五輪成績を振り返ってみる。

・2008年北京   外村哲也 4位

・2012年ロンドン 伊藤正樹 4位

 いずれもあと一歩及ばなかった。いまやエース格の伊藤正樹(東栄住宅)は2011年の世界選手権で3位になり、ロンドンでは表彰台を期待されながらの4位だった。伊藤はその後の世界選手権で、「2013年6位」→「2014年4位」→「2015年4位」と、またも壁にぶち当たっている。

 3位と4位を分けるものは、何なのか。

 日本トランポリン界の先駆者で、現在は日本代表コーチの中田大輔さんに聞いた。

 「伊藤は完璧に近い演技をできる。ただ、世界も強豪たちも同じように完璧な演技をする。そこで、何で差がつくかというと、やはりハート。メダルを獲得するには、心の強さ、折れない心が求められる。それから、銅メダルを取りにいってもダメ。金を狙いにいかないと銅も取れない」

 7月15日、中田コーチの指導のもと、順調に調整を進めていた伊藤を悲劇が襲った。公開試技会で腰を痛め、車いす姿で会場を後にした。五輪本番まで1か月を切っていた。落ち込んで当然だ。心境はいかばかりか。ツイッター上の発言を追ってみる。

【7月19日】

【7月28日】

【8月7日】

 折れかけていた心の部分が、強くなってきていることが読み取れる。競技本番は日本時間の14日未明。故障の回復具合によっては、「心」だけではカバーしきれないことがあるかもしれないが、それでもなお、日本のエースは「壁越え」に挑む。

4位に終わった日本選手たち(2000年シドニー五輪以降の夏季大会)
2000年シドニー 北島康介 競泳男子100メートル平泳ぎ
萩原智子 競泳女子200メートル背泳ぎ
高橋有紀子、佐伯美香組 ビーチバレー女子
日本チーム 体操男子団体総合
日本チーム 野球
2004年アテネ 中村礼子 競泳女子100メートル背泳ぎ
田中雅美 競泳女子100メートル平泳ぎ
冨田洋之 体操男子種目別つり輪
杉山愛、浅越しのぶ組 テニス女子ダブルス
日本チーム 陸上男子400メートルリレー
2008年北京 冨田洋之 体操男子個人総合
外村哲也 トランポリン男子
中山由起枝 クレー射撃女子トラップ
竹下百合子 カヌー女子スラロームカヤックシングル
末綱聡子、前田美順組 バドミントン女子ダブルス
日本チーム 野球
日本チーム サッカー女子
日本チーム 卓球女子団体
2012年ロンドン 北島康介 競泳男子200メートル平泳ぎ
田中和仁 体操男子種目別平行棒
伊藤正樹 トランポリン男子
石川佳純 卓球女子シングルス
日本チーム サッカー男子

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2016年08月10日 17時27分 Copyright © The Yomiuri Shimbun